久しぶりの投稿です。ぢんぢ部長です。
調べてみると、何と約6年ぶりのコラムです。
前回コラムでは、インドのTATA財閥トップ交代について書いています。
前回コラム:http://okuchika.net/?eid=4266
あれから6年。
インドも大きく変わりました。
現在では、「Make in India」「Invest India」など、多くのスローガンを掲げて経済成長と産業振興を力強く進めており、それとともにインド国民の生活も大きく変わりつつあります。
日本では消費増税に関して、電子決済での優遇案が出ているようですが、インドではロードサイドの小さな商店にまで電子決済が浸透しつつあり、小規模商店でのそれの普及は遙かに日本を上回っています。この分野ではインドに対して日本は非常に遅れている印象です。
さて、私はインドの経済成長や変化を話す例示として、よく自動車産業を利用します。自動車製造は、原材料から部品調達、設計や製造や品質管理、販売など、総合力が必要な産業ですから、国力と経済力を考えるのに非常に分かりやすいと思っているからです。
ご存じの通り、インドではスズキがトップシェアを長い間堅持しており、その存在感はかなりのものです。50%近くの圧倒的シェアを誇ります。2位は韓国のヒュンダイ、3位は国産車のマヒンドラとなっています。
2017~2018はインド国内で328万台が売れ、世界第3位の乗用車市場となっています(BMW、アウディ、メルセデス、ジャガー、ランドローバーなどのプレミアムカーを除いた数字)。
[インドの自動車シェア]2017~2018
1.スズキ 49.98%
2.ヒュンダイ 16.30%
3.マヒンドラ 7.56%
4.タタ 6.39%
5.ホンダ 5.17%
6.トヨタ 4.27%
7.ルノー 3.10%
8.フォード 2.73%
(以下、フィアット、日産、VW、スコダ、GMなど)
現地でヒアリングしても、スズキの強さは皆一様に認めていて、近い将来、スズキ単独で500万台はもうコンセンサスのようです。さらに高級ブランドNEXAを展開し、こちらも絶好調とか。ロードサイドに広告が目立ちます。とにかく作れば売れるという状態だと聞いています。
世界の王者トヨタは苦戦していて、先のスズキとの提携で生産協力が…(謎
その自動車産業で直近にニュースが飛びこんで来ました。
インド国内調達率75%超のSUVタイプ電気自動車が2020年第2四半期にローンチされるとのこと。中国の企業が、中国のお金と中国の部品企業をインド国内へ持ってきて、元GMの工場を取得して製造するのです。
すでにインドへ500億ルピー(約750億円)の投資をしており、インド国内の電気自動車市場を創造しようと目論んでいます。
これは、インド政府の掲げる「Make in India」に呼応して中国企業が進出した大きな事例と言えます。歴史的に中国とインドは仲が良くありませんが、経済的結びつきは近年非常に強固になって来ています。
なお、イーロンマスク率いるテスラは、2019年12月23日にモデル3(480万ルピー:720万円)とモデルX(550万ルピー:825万円)をインドでデリバリーすると既に発表しているので、2020年はインドの電気自動車元年になるかも知れません。
ただし、インドの電気インフラは未だ万全とは言えず、燃料たる充電ステーション網を構築していくのはまだ時間がかかるでしょうね。多くの村落でまだ電気が来ていないですから、遠乗りと言うよりは都市内での移動が中心となるでしょう。
一方、インド最大の財閥TATAは、傘下に英ランドローバーとジャガーを持っています。そのTATA自動車の新型SUVが、ランドローバーのシャーシーや技術を導入したことで話題になっています。
ランドローバーといえば、イギリス発祥のオフロードブランドです。堅牢で本格的な悪路走破性能と、高級な内装などで世界中にファンが多いのですが、それが関連会社のシェア4位のTATA自動車へ技術供与というシナジーを発揮したことになります。
ブランドの最高級車レンジローバーは2000~4000万ルピー(3000万~6000万円)ですが、TATAの新型SUVは140~180万ルピー(210万~270万円)ですので、およそ14~20分の1の価格でエッセンスを味わえることになりますね。
ガソリン車ですが、インドでのSUV人気を背景に、今後が楽しみです。
買収から10年。やっと具体的な効果が出てきましたね。
ちょうど今月の27~28日にインドのモディ首相が来日します。
インド関連の報道が増えると思いますので、皆さんもチェックしてみて下さい。
次回は、インドのお酒事情を書いてみます。
(ぢんぢ部長)
■皆さんからのインドに関するご質問などを受け付けます。
全てのご質問は、コラムを通じて回答する形式を採りますのでご了承下さい。
質問、お待ちしております。
okuchika.mail@gmail.com
■プロフィール:億の近道編集長。本職は、インドと日本のビジネスブリッジ
が中心。インド国内に強力な人脈を持ち、インド進出のバックアップを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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