報復には報復、とばかりに米中貿易摩擦が収まるどころかエスカレートする中、このところの金融市場はリスクオンの動き。株式市場では、ニューヨークも上海も、更に日経平均も強い。為替市場では、ドル安・円安と言うリスクオン時のパターン。
米中貿易摩擦問題のインパクトが薄れてきたのもありますが、13日にトルコ中銀の予想を上回る大幅利上げ以来、トルコ・リラ安懸念が一服して、新興国通貨、株もリカバーしてきたことが安心に繋がっていると思われます。
リスクオンの市場心理を背景に、9月に入ってからの円相場は円安で動いています。と言っても、値幅は大きくはないのですが。ブラジル・レアル、南アフリカランド等幾つかの例外を除き、殆どの通貨に対して円安です。
ドル・円相場は、111円05銭に始まり、安値110円38銭、直近がほぼ今月の高値である112円30~40銭台で、未だ高値を示現した年初の113円39銭を抜く勢いは見られません。
この上にも下にも動意の乏しいドル円相場は、9月に限ったことではなく、かなり長期化しています。
米国の利上げ、日銀の金融緩和継続は織り込み済。日米通商問題は円高要因でありながら、反応は薄。その一方で、実需のドル買いは堅調ながら、上値を追うほどではない。大きく動く理由が顕在していないのかもしれません。
18日~19日の日瓶政策決定会合も、前回の会合での変更の直後でもあるので、予想通りに現状維持で材料にはならず、むしろ21日に行われる第二回日米通商協議が材料として注目されます。注目とは言え、この協議、そんなに簡単に妥協成立するとも思えず、協議継続になる可能性が最も高く、結局、ドル円相場には大きなインパクトはないと見るのが妥当かもしれません。
ドル円相場の年間の変更幅が10%以下だったのは、2000年以降、2006年、2015年、そして昨年2017年とあり、特に今年、このままのレンジで終わった場合、113.39高値、104.56銭安値の約8%の変動幅。昨年に続き、2年連続の10%以下の変動幅は、変動相場制になってから初ではないかと思います。
これが何を意味しているのか。
変動相場制導入以来、高度成長経済、日米貿易摩擦、安全志向として円高の歴史を通ってきた円相場。踊り場なのか節目の時期なのか。今後、注視していきたいところです。
20日の自民党総裁選では安倍総裁続投が濃厚です。3期目の最終章には、アベノミクスの矢であった大胆な金融政策も畳んでいくものと見られます。それは、もう徐々に始まっているとも言えるでしょう。その面からも相場を見ていく必要がありそうです。
節目と言えば、リーマンショックから10年。
1987(ブラックマンデー)、1997年(アジア通貨危機)、2007年(パリバショック)と10年ごとに金融危機を経験してきました。
リーマンショックでは、ECBを皮切りに、FRB、日銀他、主要国は、大胆に公的資金を使って、これまでになかった金融量的緩和政策、財政政策を展開して、世界経済はリカバーしてきました。
過去の金融危機には正確には共通性はあまりなく、バブルも破裂してみるまで分からないことを経験もしてきました。
過去3回の10年危機説が単なる偶然だったと証明されるのが一番ですが、もし危機が起こった時に、公的債務も未だ解消の途上であり、中立に戻した米国以外、金利の下げ余地も限られる中銀が殆どの現在、どのような対応が可能になるのか。
貿易摩擦問題、少し落ち着いたものの新興国通貨懸念の一方で、世界経済の好調さを理由に楽観的観方も優勢な今。少し長いスパンでの市場の現在地を確認してみるのも必要かなと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
豪雨、台風、地震災害の復興を心から祈っています!
※9月19日東京時間12時執筆
本号の情報は9月18日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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