今週、6月14日からのサッカーW杯2018ロシア大会に世界の目が集まる傍らで、12日~13日に行われる米国FOMC、14日のECB理事会、15日には日銀の政策決定会合が開かれます。
6月1日に発表された5月の米国の雇用統計では良好な雇用データを確認して、市場では今回のFOMCでの1.75%~2%への追加利上げが予想されています。
FOMCでの注目点は、金融政策を緩和的から中立化へ変更されるか、ということと、FOMC参加者が利上げの見通しを3回から4回に変更するかどうかです。物価目標2%達成でFF金利が2%となれば、まさに中立的となります。中立に戻せば、その後の経済状況次第で柔軟に動きやすくなるとも言えます。
今後は、利上げと共に、バランスシートの縮小プロセスを注視しつつ、金融正常化の仕上げとなると思われます。
欧州に目を移すと、先月末にイタリア政治の混乱によりイタリア国債急落が世界的なリスクオフの原因になりましたが、マーケットの関心事は直ぐにイタリア政治からECBの金融政策に移りました。イタリアの政治動向については、今後「五つ星運動」(ポピュリズム政党)と「同盟」(極右政党)が政策をどう予算に繋げていくのかに注目していきところです。
ただ、今回は危機的な状況は避けられたものの、EU内のイタリア、スペインの政治リスクについては、何かとリスクオフの話題になる可能性が高いと思います。
そんな中で行われる6月14日のECB理事会。一部理事から、「QEの段階的縮小を正当化できるかどうか、6月の理事会で検証する必要がある」、との発言も聞かれることから、今回の理事会でQEの段階的終了が決まるとする予想する向きもあります。
一方で、EU経済の今後については懸念材料もあります。米国の保護主義です。4月のECB理事会では、米国によるEU向けの関税引き上げ措置の影響について話も出ていたようです。また、米国がEUからの自動車輸入への関税引き上げを検討する可能性についても懸念されています。
物価の安定には自信を持ち始めているとも言われているECB。6月14日の理事会での決定事項に加えて今後の景気見通しをどう示すのかも注目されます。
年初、ECBの金融政策正常化への期待からユーロ・ドルは一時高値1.2735を付けましたが、その後、買いポジションが溜まる中で、欧州経済の停滞懸念から相場が高値からポジション取り崩しでズルズルと売られました。
更に5月29日のイタリア政治不安により、ユーロ・ドル相場は下押しして、今年の安値1.1510を付けました。
今週のECB理事会への期待から、ユーロ・ドルは1.18台前半まで買い戻されました。これで年初の急激なユーロ上昇相場の調整が終わって上昇相場に戻るのかを確認するには、もう少し時間が必要だと思っています。
米FRB、欧ECBが金融政策の正常化を進める中で、当面は変化が期待されない日銀。金融政策決定会合の結果は15日に発表されますが、予想は現状維持。日銀の決定は、ドル円為替相場には、特段影響なしと思われます。米欧の金融政策には影響受けつつ、108~111.50水準の当面レンジ内での推移と考えています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※6月13日東京時間18時執筆
本号の情報は6月12日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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