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最新有料メルマガから「リスクを取らず避け続けるなら富を掴むことはできない」

2018/05/10 16:57 投稿

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 今回は特別に、本日配信の有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」のコラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎の最新コンテンツをお楽しみ下さい。


=コラム「リスクを取らず避け続けるなら富を掴むことはできない」=
 (有料メルマガ第480回・2018/5/8配信号)


【前略】


 通常なら避けるべき、決算発表直前のフライング投資を実行するために調べた黒鉛電極の価格動向と日本カーボン、東海カーボン、昭和電工に対する投資作戦に関して書いてみたいと思います。


【中略】

 世界中で不足している電炉メーカーが使用する黒鉛電極の供給不足から前年比で3倍にも値上がりしそうな黒鉛電極メーカーの株価は野村證券の昭和電工に対するレーティングの引き下げで、大きく投げ売りされました。

 野村証券では4月3日付で、昭和電工の投資判断を「Buy」(買い)から「ニュートラル」(中立)に、目標株価を6700円から4700円にそれぞれ引き下げてました。

 引き下げの理由は、中期的に強気としていた黒鉛電極の見方について、今回、19年12月期(=すなわち2019年に入って)から世界の黒鉛電極の需給が悪化するという見方に変更するとコメントしました。

 3月の中国調査により、従来の野村券の想定より早く、中国での黒鉛電極の生産量の増加が見込まれると判断したことを理由に挙げているようです。

 野村証券では、19年12月期以降の業績予想を下方修正、あわせて「ニュートラル」に引き下げるとしていました。中期的な黒鉛電極の利益減少により、18年12月期を起点とする中期の連結一株利益成長率はRN Large Cap(除く金融)平均のプラス5%強を下回るマイナス8%程度とマイナス成長を予想し、適用する18年12月期予想基準PERを従来は12倍と判断していましたが、中期成長率予想の引き下げにより、同平均を下回る7倍程度が妥当と判断したとしています。

 野村証券では連結営業利益について、18年12月期1510億円(前期比1.9倍、従来1276億円、会社側計画は1100億円)、19年12月期1298億円(従来1350億円)、20年12月期917億円(同1372億円)と試算していたようです。

 モーニングスターの情報をもとに作成しました。
https://www.morningstar.co.jp/msnews/news?rncNo=1840088

 昭和電工の2017年12月期の決算短信から確認すると、昭和電工の上記の情報通り昭和電工の2018年12月期の連結営業利益は1100億円の予想です。そして野村證券の予想は会社計画より強気の1298億円です。
 さらに暴落の原因になったレポートでは連結営業利益を1510円に大きく上方修正しています。

 この予想から昭和電工の株価が1月15日につけた5480円という高値から、4月25日に3585円の安値まで1895円(=34.6%)も投げ売りされて暴落し、5月2日の株価も3730円と直近の底値から145円しかリバウンドできていないのは異常だと考えました。


 野村証券は、誰にも予想がつかない、株式投資家にとっては遥かに未来の黒鉛電極の価格予想を行いました。この予想が正しいかどうかは1年以上たってみないと分かりません。

 投機家が、野村證券のレポートを利用して黒鉛電極メーカーの株価を空売りして、一気に暴落させたというストーリーが考えられます。

 少なくとも野村證券レポートの2018年12月期の昭和電工の業績予想は会社予想よりずっと良い予想です。

 東海カーボンと日本カーボンの株価も昭和電工より下落率は低いものの大きな下落となっています。


【中略】


 日本カーボンの株価は決算短信発表の翌日(5月1日)は一時的にストップ高を付けましたが、その後下げに転じ前日比+515円で終わりました。
 決算発表の2日目(=5月2日)にはかなり下げていましたが、最終的に前日比▲110円まで戻して終わりました。


 昭和電工の株価は5月1日には最終的に前日比で▲15円で終わりました。
 5月2日には前日比+90円で終わりました。


 東海カーボンの株価は5月1日には最終的に前日比で+43円で終わりました。5月2日には前日比+61円で終わりました。


【中略】


[昭和電工と東海カーボンを買うための根拠にした情報]

 まず黒鉛電極の価格は2018年12月までは野村證券も高くなると考えているようだということ。

【情報1】中部鋼鈑の重松社長「原材料価格が異常な上昇」
 2018/5/2 19:04 日本経済新聞 電子版の情報

 「こんな異常な上昇は入社37年で初めて」と電炉大手、中部鋼鈑の重松久美男社長がやり玉に挙げるのは黒鉛電極の単価。電炉で使う資材で「2018年度の単価は前年の3倍になりそうだ。」と発言している記事があったこと。
 2018年の黒鉛電極の価格は大きく上がることが需要先の電炉大手の社長も認めていること。

 【情報2】昭和電工は独SGLの買収により黒鉛電極のシェア30%。世界トップの座を獲得しました。

 昭和電工が独SGLの買収時に米国政府の許可がでないので東海カーボンに米国の分を買ってもらったので東海カーボンが得をしました。

 世界主要7社生産量 会社名/工場数/年産量
 昭和電工/8工場/259千トン
 東海カーボン/5工場/96千トン
 Graftech International/4工場/191千トン
 Graphite India/4工場/98千トン
 HEG/1工場/80千トン
 日本カーボン/1工場/30千トン
 SECカーボン/1工場/30千トン

 昭和電工は日本カーボンの8.63倍の生産能力、東海カーボンは日本カーボンの3.2倍の生産能力を持っていること。さらにトランプ大統領の鉄鋼などの輸入関税引き上げで生産が増加する可能性が高い米国内に昭和電工も東海カーボンも生産工場を持っていること。

 【情報3】明治安田アセット・マネジメントのアナリスト・コラムの意見が参考になったこと。

 a:環境を配慮し粗鋼生産における電炉への変更が進む。
 b:過去10年間の事業環境から黒鉛電極メーカーが能力拡大する可能性は低い。
 c:原料であるニードルコークスの生産拡大余地乏しく、EV化進展によっては原料不足が深刻化する。
   (原料のニードルコークスの世界生産量は約100万トンで、うち80万トンが黒鉛電極用、10%がリチュウム電池の正極材用などに使用されているということ)
 d:これら需給のタイト化より「黒鉛電極の価格上昇はまだ初期段階に過ぎないのかもしれない」。

 【情報4】2016年まで価格下落で赤字になり設備廃棄に追い込まれた黒鉛電極メーカーが1年くらいで設備増強に動くとは考えられないこと。

 【情報5】黒鉛電極高騰の原因となった中国の地条鋼は鉄鋼市場の秩序を乱すだけでなく、環境問題も引き起こすので中国政府に生産を禁止されたこと。

 地条鋼は、1トン生産するのに700KWh-800KWhも電力を使うと言われており中国政府のCO2削減および電力需給政策に悪影響をあたえていたので今後また許可されることは、まず無いと考えられること。

 2016年から中国政府が動き出し、一挙に地条鋼の製造業者600社余りの水や電力の供給を停止して閉鎖させました。非合法企業も含めると中国全土の地条鋼生産能力は年間1億トン以上あると言われていました。これは2016年度の日本の粗鋼生産量1億516万トンに匹敵する生産量です。

 大きな市場をもっていた地条鋼が手に入らなくなったため、正規鉄鋼メーカーへの注文が殺到しました。正規鉄鋼メーカーの多くは、アーク式電気炉を使っていたため、放電に使われる消耗品の黒鉛電極が品薄になり価格の暴騰を引き起こしました。

 野村のレポートはかなり間違っている可能性が高いと考えました。
 黒鉛電極は消耗品であり、黒鉛電極メーカーは過去に酷い赤字に苦しんだので、すぐに設備新設、増強をするつもりは無さそうです。

 黒鉛電極の材料のニードルコークスの生産メーカーも増産するつもりが薄いようです。そうだとすると黒鉛電極の需要は、そう簡単には衰えず、価格も下がりそうもありません。

 鉄スクラップを溶かす電気炉に使う黒鉛電極が値上がりしている理由は、中国で違法鋼材の排除が進み正規品の需要が高まっていること。したがって電炉の増産で電極の引き合いも強いこと。

 中国から安い半製品(ビレット)が輸出されなくなり、ビレットから鋼材を造っていた東南アジアで鉄スクラップを使う製鉄所が増えたこと。

 電極メーカーと電炉の交渉に基づく2018年の国際価格は、主要な取引が1トン8千~1万2千ドルと17年の3倍以上で決まりました。アジアや日本でも需要が高まりました。

 電極大手の東海カーボンも2017年に日本国内値上げを発表しています。
 2018年4月納入分から値上げします。新価格は日本で多く使う18~24インチ品が1トン90万円。日本では4月と10月に価格を改める場合が多いです。この値上げで価格は現在の2倍強になるとみられています。

 黒鉛電極は消耗品のため、電炉が定期的に電極メーカーから買います。
 海外の電炉は1月からの1年契約が主流とのこと。2017年の国際価格は約2500ドルだったようです。東海カーボンの立花善治電極事業部長は「過去最高だった2009年の価格を超えるのは間違いない」と取材で回答しているようです。

 電極メーカーはここ数年の市況低迷で大赤字に陥って生産能力の削減を進めました。中国の電極メーカーも環境規制で生産を抑えています。

 黒鉛電極の材料となるニードルコークスの製造も大手企業の寡占体制にあり、増産する気は薄いようです。だから簡単には増産できません。

 【情報7】みずほ証券の最近のレポートでは黒鉛電極の生産増強にはノウハウが必要であり、一定の時間がかかることから、需給ひっ迫が最短でも2020年ごろまでは続くと分析している、という情報があったこと。

 【情報8】昭和電工は黒鉛電極以外にも世界シェアの高い事業や、これから大きく伸びる事業を持っていることが分かったこと。

 昭和電工の中期経営計画”Project 2020+”本年の成果と2018年の戦略を確認して、中長期投資の対象としても投資できる企業だと判断しました。

 【情報9】週刊エコノミストで昭和電工の森川社長のインタビューの記事

 [経営者・編集長インタビュー]森川宏平 昭和電工社長
  2018年4月17日号 週刊エコノミスト
 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180409-00000001-economist-bus_all&p=1

【中略】


 5月7日の東海カーボンの決算発表を確認するまでは、投資行動を抑えて行こうと考えています。予想が外れたら大きく下げる可能性もあるからです。


 空売りネットでは、特に東海カーボンに対する外資証券が大きく空売りをしていることが分かります。

 東海カーボンの空売りネットの毎日の空売り情報サイトの数字です。
https://karauri.net/5301/

【中略】

 野村レポートに便乗したのがクレデイスイスでしょうか。
 モルガンスタンレーは踏み上げられつつあるように感じられます。
 メリルリンチは何時買い戻すのでしょうか。
 野村證券の別動隊Nomura Internationalは4月27日に空売りを手じまったように見えます。

 このカーボン各社への投資の状況は、今後のコラムでも時々報告していこうと考えています。


【後略】


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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 また、コラムでは、「株式投資においては人生とは違って、チャンスは何度でも巡ってきてくれます。だから焦る必要は無いしフライングをして、手痛い打撃をうけることを避ける、克己心も必要になります。しかし、いつまでもリスクを避け続けて、取ることがないなら富を掴むことができないことも忘れないことが大事です。」と題し、本日億近掲載のカーボン関連企業への投資作戦に加え、現在の市場に対応する投資作戦を具体的に書いています。


 さらに、今後の研究銘柄候補を3社、ある程度の分析とともに取り上げています。
 加えて、3月に取り上げた3銘柄についても、フォローアップの追加調査を行っています。


 決算発表前と、決算発表後の、2つの投資作戦を使い分ける参考情報として、ぜひご活用下さい。購読をお待ちしております。


有料メルマガは週1回・火曜日配信です。
詳細は http://www.iforum.jp/magazine.htm をご参照下さい。

過去サンプル(研究銘柄)
 銘柄研究 ニチリン(5184)
 ]銘柄研究 帝国電機製作所(6333)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)


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