一緒に考えましょう!!というキャッチフレーズでお馴染みの青山繁晴参院議員に倣って、私も「一緒に考えましょう!!株のこと」を始めたいと思います。
ごく当たり前ではありますが、原点に戻って「株って何?」の話から始めたいと思います。
株式に投資したことがないけど何だか面白そうと考えておられる皆さんも、株式投資を既になさってはいても、なかなか成果が上がらない、どうしたら良いのか・・などと悩まれている方もお見えになるのかも知れません。
最近、私のところにも「まとまったお金ができたけど、どうしたら良いでしょうか?」というご相談が来るようになってきました。このところの株式相場の調整を受け、こうした皆さんが増えているのではないかと株式投資のアドバイザーとしての立場もある私から、億の近道の読者の皆さんにもお悩み事相談を承ろうと考えております。
読者の皆さんは千差万別のお悩みを抱えておられるのかも知れませんが、本日のコンテンツが資産運用の参考になれば幸いです。
1)お金と株は行ったり来たり
皆さんがお持ちのお金(現金)は黙って保有していても利息はつきませんが減ることもないモノに換えることができる国のお墨付きとなっているリアルな通貨です(これは当り前の話です)。
インフレが激しいと只の紙切れにもなりやすいのですが、現在はデフレの状態が長期に続いていて、お金はどこかに滞留した状態となっています。
何らかの理由(不動産の売却など)でモノから金融資産に換えた方はまずは銀行に預けて様子見しますが、このデフレ時代に金融政策はマイナス金利という極端な手法に及び、それでもデフレがなかなか脱却できない状況が見られます。
デフレというのは一般消費者の購買意欲がない状態であることを示していますので宝石等の一般的にはぜいたく品には向かわず、できるだけ最小限の消費に留めようとするのが消費者の心理です。これは収入が増えないことの裏腹でもあります。
一方で金融資産の原点とも言うべき現預金は銀行に預けていても金利はゼロに近く、増えることはないので何かリターン上がる商品を求めて動くことになります。不動産や為替という手もありますが、最近では仮想通貨にも関心が及び、話題になっているのは皆さんご存知の通りです。
そうした新たなアイテムも出てはきていますが、もう一つ理解ができないので、いろいろ考えてみて辿りつくのが結果として株式になります。
ということでお金はリターンを求め別のリスク商品に一時的にしろシフトされ、投資家は少しでもリスクテイクしてリターンを上げようとしている訳です。
つまりお金と株は行ったり来たりしているということになります。
投資家は黙って保有していても良さそうですが、気軽に売り買いできるのが株式であり、この変動には様々な要因や理由があることになります。
2)株は買わないとリターンが上がらないの嘘
投資家の多くはその銘柄というか取引所から承認を得てIPOした企業が発行した株式を売買しています。黙って現金を持っていてもお金はそのままです。
ところがひとたび株に変わると買った時点から株価が上がって上がったところで売却すればリターンが得られるという仕組みですので何だか楽しいと感じられる投資家も多いのかと思います。
ところが反対に買って(投資して)から値を下げることもあるので、そうした銘柄選択やタイミングを間違えると悲しい気持ちにもなったりします。
下がることを利用して、買うのではなく空売りをかける投資家もいておかしくないということで最近は空売りで儲けよう、ないしヘッジしようと取り組まれている投資家も多いのかと思います。
ですから株は買わないとリターンが上がらないというのはまやかしです。
割高な銘柄を売って割安な銘柄を買うというヘッジファンドもたくさん出てきているようですが、考え方は多種多様。いつまでも上がる株がないのと同様に倒産しない限りはいつまでも下がり続けることがないのが株価の特性です。
3)株のリターン
現金で保有すると何も生まないが株式投資するとリターンとして値上がり益(キャピタルゲイン、売却株価-購入価格)か会社が継続していくための内部留保(主に期間利益)の中から配当金なるものが送られてきます。
個人投資家には株主優待制度もあってクオカードや商品券、商品、割引券などが送られることが多いようです。中にはこの優待制度を利用しながら楽しんでおられる個人投資家がメディアで話題になっています。
基本的な株式投資のリターンは配当金がメインですが、現在の平均配当利回りは1%半ばにしか過ぎず、中には無配に甘んじている銘柄も多く、このモノサシだけでは投資意欲がわかないのも事実です。
投資家にとっては理屈抜きでキャピタルゲインが狙える魅力が株式投資にはあると信じておられるものと思いますが、投資の世界では必ずキャピタルロスも生じます。
そこで単純な株式投資ではなくリスク分散のためのポートフォリオの発想が必要になってきます。
4)株って何?
企業が発行した株式をめぐってリスクマネー(値下がり覚悟のお金)を投じる投資家には様々な思惑が働きます。
企業は運営するためのお金を株式発行(無配でも問題はなく将来発生した利益で配当という形で還元する)で賄うか銀行融資(一定期間借りて一定の金利を支払う)で賄うことになります。
投資家は投資したお金をその株式を売却することで回収できますし、その回収した金額が投資した時点より大きいとキャピタルゲインを得ることになります。
企業にとってはどちらが自社にとって有利なのかを考えながら資金調達をしますが、いくら金利が低いからと言って銀行融資では当然のごとく期限が来たら返済しなければなりませんので、後の資金繰りを生じることになりますので上場企業にとってはエクイティ(株式)での調達が良いのか銀行融資が良いのか財務戦略を打ち立てていく必要があります。
投資家にとっての関心事は希薄化という点です。株式分割やファイナンスによって流動性は増しますが一株当たりの価値が減少して株価の下落を招く可能性もあります。
発行済み株式数×株価=時価総額という単純な数式を投資家の皆さんは絶えず頭に入れて、その時価総額が企業が生み出す利益やキャッシュフローに見合ったものかを考えていく必要があります。
株というのは発行体の事業活動で得られた収益を細かい単位に分けられた不特定多数の投資家の持分に配分する仕組みということになります。企業の運営を経営者に託して投資家は分け前である配当を享受することになりますが、その配当金が市場金利に対してどういう位置付けになるかが関心事になります。
企業収益が上がっていけば増配の余地が増え、下がると減配の可能性や無配の可能性が出てきます。
そうした未来の業績を先読みしながら投資家はアクションを起こすことになります。
5)下方修正は嫌われる
投資家にとって投資したことによるリスクは予期せぬ株価の下落です。
悪材料が株安の背景になりますが、最も株価に悪影響をもたらすのは期初計画に対しての大幅な下方修正ということになります。企業を運営する経営者にとって予期せぬ業績の下方修正は投資家にとっては怒りにつながり許されませんが、それが未来に向けた先行投資によるものであったり、納入の期ずれや為替の予期せぬ変動によってもたらされたものだとすれば投資家は寛容であるべきかと思いますが、往々にして起こりやすいのは期初計画の甘さになります。
期初はどうしても経営者は強気に描きがちですが、そうした社歴が長期的な企業評価にもつながっていきます。
長期投資家と発行体企業との長期的な業績への見方についてのやり取りが日夜続くことになります。
反対に上方修正は歓迎されますので期初慎重で結果上方修正が繰り返される銘柄には期中における上方修正期待が生じることになりますが、株価には既にそうしたことが織り込まれている可能性もあります。
6)投資家は成長性に高い評価を与える
投資家が個人だろうと国内機関投資家だろうと外国人投資家だろうと投資している企業の成長性が最大の評価ポイントとなります。
毎期30%の利益成長が想定される場合と3%程度の成長ではPER(株価収益率=株価/EPS(一株当たり予想利益))に違いがあって当然です。
但し、利益成長が毎期順調に続く場合と、成長期特有の先行費用(減価償却など)が発生して見かけの利益が小さい場合は評価が難しいので、投資家は別のモノサシで評価する必要があります。
企業買収を意図する場合などPCFR(株価キャッシュフローレシオ=株価/CF)といった指標を用いて評価します。
一方、利益成長力が小さな企業はバリュー価値に評価が依存しますので、PERは低水準に甘んじて当然で、内部蓄積が厚い場合は結果としてPBRは1倍以下だったり、配当利回りが3%以上になったりします。
投資家は自らが企業の成長に視点を置いて評価しているのか、バリュー価値にポイントを置いて評価しているのかを考えてみる必要があります。
日本株全体ではGDPが低成長なのでバリュー株の比重が大きい状態が続いています。とりわけ成長意欲が見えない銀行株などが株式市場にどういう訳か(国策的な国債を買って鞘を取るだけの地銀を中心にした銀行株が上場している意味が果たしてあるのかは不明です)86行ほど上場して極端にPBRが低い評価をされています。
また、同様にキャッシュフローを生まない財務内容の悪い低PBR銘柄も数多く存在しています。これらはPBRが低くて当然なのかも知れませんが、中には成長指向が多少でもあってPBRが1倍割れでしかも保有する現預金よりも時価総額が低いという企業も見出せます。
とは言え、最終的には投資家の判断に評価は委ねられています。
日本株全体では実質PBR1倍割れのバリュー銘柄が3分の1、安定成長型のPBR2倍以下の銘柄が3分の1、残りは成長期待の高いPER20倍を超える成長銘柄が3分の1に市場になっていると推察されます。
また、毎年90程度のIPO(新規に株式を公開する)銘柄が登場し、そのうちの8割以上がマザーズ市場にIPOし、そこから更に2,3年で東証2部、1部へと昇格していくパターンが見られます。
7)投資家の悩みは何?
ここまでの話を理解して頂いて、株って何がおぼろげながらおわかり頂いたかと思いますが、それでは投資家の現時点での悩みは何でしょうか。
経済の過去から現在に至る歴史的な経過を踏まえて株式相場と向かい合っておられる投資家の悩みは次なる投資対象をどう考えていくべきか・・といった高度な悩みもさることながら、まとまった資金をどのように運用していけば良いのかといったことになるのかと思います。
投資家はリスクテイクしないとリターンも上がらないので、何らかの形でリスクテイクしないとこのままではお金が目減りしていくばかりだ・・とお話されますが、株式相場を眺めている立場としてはニューマネーの入るタイミングが調整相場が続いた後に必ずやってくるとの思いがあります。
株式相場は単純に山あり谷ありではありますが、その山と谷で売りと買いの行動を取れば高い成果が得られるものと考えられます。山と谷は後から振り返って分かる・・。投資家のうち儲かって大きな資産形成ができているのはほんの一握りとも言われますが、平均以上の成果を上げることができれば黙って現預金で持つよりは投資家にとってはメリットがある世界です。
しかも時には100万円のお金が数年で1億円にもなる世界です。
あせることなく、銘柄分散、時間分散でじっくりとポートフォリオを構築しながら資産形成を図っていくことが求められます。
8)ポートフォリオの銘柄分散
個人投資家で億単位の運用をされているケースが増えてきたのかと思います。
そうした投資家が私の周りに出てきたように感じる今日この頃ですが、そうした投資家のポートフォリオは2種類に分かれます。
個人的なポートフォリオなので私がとやかくいう筋合いではありませんが、注目されている銘柄を50銘柄以上に分散されて、細かくディスプレイで監視しながら動きのある銘柄に短期で乗り、短期で下りるといった運用をされているディーラー型の投資家もいれば、ごく単純に銘柄分散して長期投資しているうちに数が50以上に増えたと言われる投資家もお見えです。
また、彼らはキャッシュポジションの多い、少ないでリスクもコントロールしているようです。また銘柄数を10銘柄以下に抑えてキャッシュポジションを厚くするかどうかを基準にアグレッシブな運用をされている方々もお見えだったりもします。
私が関係する投資家の皆さんは銘柄分散型で過去運用成果を高めてきた方が多いように思われます。銘柄分散と時間分散の併用、配当取り中心のバリュー株投資と成長株投資の併用、IPO投資で短期売買に特化するなど手法は様々です。
その時々で投資アイテムも違ったものとなるのでしょうが、いずれにしても銘柄分散、時間分散を行うことが運用上の最大のポイントになるかと考えられます。
9)発行済み株式数は限られている
投資家には発行体企業とは違って、売買を自由に行えるというメリットが与えられています。損したら損金処理して税金がかからないようにしていく手法もあります。
キャピタルロスは企業の減価償却と同じ発想で潔く負けを認めてしかるべくタイミングで損金処理をするべきです。できれば益金発生と同時に処理を行ってポートフォリオを再構築していくべきかと考えます。
ここで考えないといけないのは個人投資家の資金力の差です。
上場企業の時価総額がピンからキリまであって発行済み株式数も様々にありますが、投資対象は発行済み株数、しかもそのうちの浮動株に限定される点です。
個人投資家の中で1億円を投じることのできる富裕層やそうした投資家を束ねたファンドと、1000万円程度を上限にした投資家とでは運用スタンスに違いが出て参ります。
浮動株比率が10%の銘柄と20%の銘柄では対象となる投資可能な最大株数が異なりますので売買作戦も異なることになります。投資家は自らが経営者の意識をもって最大どの程度まで買えるのかを予め考えておく必要があります。
但し、会社四季報に名前が出るぐらいまで個人投資家が買うと後が大変になりますので、そのあたりはしっかりと考えておく必要があります。
その企業が面白いからとあまり肩入れし過ぎてポートフォリオに入れすぎるのも危険です。企業経営には予期せぬ出来事もつきものだからです。
まずは投資候補銘柄を個人投資家向けIRセミナーや企業のWEBサイト、決算短信、中期計画、アナリストレポート、適示開示情報などを閲覧して100銘柄程度まで絞り込むことが必要です。
投資対象のユニバースとしてはこの程度で十分で、そこから更に50銘柄まで絞り込んでおくと管理はしやすいかと思われます。
SBI証券などネット証券で取引されている投資家の多くは、彼らのサービスをうまく活用されているものと推察されます。PCだけでなくスマホでの売買も含めて運用ツールは多様化しており、最終的なポートフォリオ構築が皆さんの手で行われることが真の投資家の証ともなります。
もちろん投資額が100万円でもポートフォリオは構築できます。5銘柄程度に分散投資して運用成果を高める訓練を始めてみてはいかがでしょうか。
私、炎のファンドマネージャーは有料メルマガ「炎の投資情報」を執筆しておりますが読者大募集中です。 http://www.honohfm.com/
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【例】
1.1年前に1000株投資して株価が買値から半値になってしまいましたがそのまま保有し続けています。今後の見通しは。
2.先日、不動産を売却して現金が手元に5000万円できましたが、どんなポートフォリオを組んだら良いのでしょうか。
3.今春から社会人になったばかりのサラリーマン1年生です。少額投資でまず20万円程度の資金を100万円にしたいと思いますが、どうすればいいですか。
4.100万円で株式投資を始めたいと思っているサラリーマンです。どのような点に心がければ1億円にまで資産が増えるのでしょうか。
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(炎)
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