足元の株式市場は売り方の買い戻し中心で、余り強気になれない雰囲気ですね。
振り返れば、1月9日に米国金利が2.5%を上抜けてからの1~2週間ほどは「2.5%~2.6%辺りが上限レンジではないか」と言った声が多かったのですが、その後も徐々に切り上がり、2月中旬に2.9%を突破してからは「いよいよ3%を目指すか?」とのコメントが増えているようです。米国では金利引き上げを嫌気して株が売られているとのコメントとともに。
3%と言えば2013年末から翌年初に一時的に付けた水準ですから4年ぶりの金利水準となります。もっとも2010年以前はリーマンショック後の一時期を除いて3%以上の利回りがありましたし、1980年頃の15%もあった頃を思い返せば、米国では相当低い部類に入るのでしょうけど。
とは言え、イギリスがユーロを離脱した2016年央からの2年弱で2倍にもなったのですから、不安定さは残るものの、それなりの景気回復とトランプ大統領の景気刺激策への期待感が込められていることも確かです。
今年度は世界的な景気回復に支えられて日本の企業業績は押し上げられましたが、「米国金利の上昇=景気回復の継続」の図式を期待して、来期はどの程度の増益を予想できるのか?と言われると・・・、個人的には少々懐疑的です。
2%前半と言われる米国の潜在成長率ではここから先もずっと金利上昇が続くとは考え辛いですし、既に米国は昨年から人件費が上がり始めています。つまり好景気は後半戦に入っているというエコノミストの解説通りに捉えておくのが安全策と考えています。
10年前まで世界をけん引した新興諸国でも高成長の時期は過ぎたと思われますから、今後は以前ほどの成長を期待できません。米国では自動車販売や住宅販売がピークアウトしているようですし、欧州もやっと回復途上へと言ったところで、大きく成長することも無いのでしょう。
以上の観点から当面の間、世界の金利水準が継続的に上がっていくとの見通しには懐疑的です。米国では注意深く金利を上げつつ、その他の地域では金利を中々上げられない期間が長引き、結果として市場資金はダブついたままで資産市場の乱高下が続く可能性が高いと考えておくのが妥当ではないでしょうか。
今年はリーマンショック以降の金利水準を振り返りつつ、日米欧の金融政策を注視していく年になるものと思われます。
(街のコンサルタント)
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