色々と調べていると、3Q発表企業の中には円安で足元業績が相当改善しているにも関わらず年度予想がコンサバなままの企業も多いため、石川臨太郎さんではないですが、割安銘柄研究には最適な時期と思います。2~3年前の為替の位置、部門別売上動向、業績推移、当時の株価動向などを比較してもヒントがあります。様々な思惑で動く市場ですが、荒っぽい投機家(ファンドなど)の行動には惑わされないように注意しつつ。

 気になるのは、インデックス銘柄で出来高の多い銘柄の中には値付けは少ないものの売り買いの板が目まぐるしく動いているものがあることです。多数のプロ グラム売買業者が参加していることが分かります。個人投資家の皆様には、違和感を伴うほどのインデックスの頻繁な上下動があるときなどは特に注意をお願い したいと思います。上がったから、下がったからと慌てて売買をしないことですね。自身の経験からも(苦笑)。

 先日は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産別運用比率を見直し、国内株式での運用比率を上げる可能性があるとのニュースがありました。 「あぁ…、やっと動くのか」との感想ですが、最後の最後に動き始める役所の権化のような存在です。年金ですから慎重なのは止むを得ませんが、資産比率の変 更は9年ぶりでしょうか。ここ数年の円高局面では「もっと海外運用を増やしておいた方が利回りが上がって良いのでは?」などと感じておりましたが。市場が 大きく動いてから、やはり、動きが出て来ました(笑)。
 数十年前から金融、運用に携わっていた方々は「年金福祉事業団(年福)」と聞けば懐かしさを覚える方も多数いらっしゃるかと思われます。当時も運用エン ティティーとしては国内最大規模(世界的にも最大クラス)の運用者で、1990年前後のバブルのさ中、海外からも「ザ・セイホ」と呼ばれた生命保険会社以 上の存在として君臨していた巨大運用機関です。当時の大蔵省の2階(だったかな?)では毎日、アチコチの金融機関担当者が廊下に列をなして順番を待ってい た光景が思い出されます。
 年福の若い運用担当者相手に証券や銀行のおじさん達がやたらペコペコと頭を下げていたのが印象的で、その後にノーパンしゃぶしゃぶ接待問題が発覚した時 には、さもありなんと納得した次第です。自分の金を運用している訳でも無いのに、右も左もわからない若いうちからおだてられ、ヨイショされまくっていると 誰でも「あ~なっちゃうのかな?」と言ったところです(笑)。

 漸く運用比率の見直しに動く様子ですが、もっと機動的に動けないのか?と感じるのは小職だけではないのでしょう。海外でも政府系運用機関のプレゼンスや 機動力が評価されていますし、小泉改革の最中にももっとアクティビティーの高い組織運営、投資運用を出来ないかとの議論がありましたが、竹中氏をはじめと した小泉チームが政府を離れるとともにそれらの話も立ち消えとなりました。
 とは言え、少なくともリーマンショック以降の円高局面や、腕白外資系ファンドが国内市場を食い散らかしていた時期から金融当局や関連機関が(当然の)責 任感を持ち、そしてGPIFのような組織と協力して国の資産管理、資産保全の代弁者として行動していたなら、金融市場の景色はもっと違っていたのでしょ う。

 GPIFは勿論のこと国内大手運用機関も年金を始めとして様々な形で国民資産を預かり運用しています。素人の国民に代わって金融のプロフェッショナルと して運用に携わっている訳です。それ故、過去のメルマガでは何度も、それらプロ集団こそが国民に代わって金融市場の動向に目を凝らし、リーダーシップを発 揮して監視していかなければいけないと書いてきました。
 彼らがプロとしての仕事をしてこなかった代償として国内市場の未熟さは改善されず、大手証券のインサイダー事件、監督当局の怠慢、AIJの年金不正運用 事件、増資等に係わる様々な不正相場操縦、株式市場の長期低迷、ブックバリューを大幅に割り込んだまま放置されている上場意義の無い銘柄(市場活性化の阻 害銘柄)、Etc…などが引き起こされたと考えています。
 あれから随分経った今でも依然として彼ら運用担当者は上(財務省)を向き、または親会社(大銀行)を向いた仕事しか出来ていないようですが、そのような内向き組織にさせている元凶が財務省であり日本の監督官庁(及び官僚組織)です。
 彼らは監督先企業に対して独自の思惑による様々な規制が可能であり、業界を牛耳っています。また予算執行権を持ち、税金に限らず国民の財産である年金や 社会保険からも痴呆議員に予算を廻してやり、箱モノを建ててやるなどの便宜を図ることで、その見返りとして組織を巨大化してきました。俗に言う政官財のト ライアングルと天下り組織が一体となっている構図ですね。

 先日、勢いついでに電力会社OBの年金も調べてみたら、あらら…、我々の年金に比較して随分と優遇されていること…。今後はどうなるか分かりませんが… 生涯安泰が保障されている「親方日の丸&天下り多数」会社の福利厚生とはたいしたものだと感心してしまいます。こりゃ破綻する訳だと。

 地方公務員人件費の引き下げ問題についても同様の構図ですね。コストダウン分は全て非正規公務員に負担を押し付けているだけで、従来の職員(既得権者)の待遇にさしたる変化はありません。財源など日本にはまだまだ幾らでもあります(笑)。
 機会があれば週刊ダイヤモンド誌などでも業界別年金額の実額比較などを取り上げても面白いかも知れません。この辺りの問題については、城繁幸氏(株式会 社ジョーズ・ラボ代表)の主張はいちいちもっともだと感じる今日この頃です。自民党の規制改革会議などではこういう方の意見をもっと積極的に取り入れるべ きと思います。

(街のコンサルタント)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)