産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
12月号連載記事
■責任を負わなければ権限は無い。危機においてこそリーダーの真価が問われる
●古代では暴力と恐怖による支配が当たり前だった
人間社会が始まった時から、常に権力者は存在しました。秦の始皇帝、アレクサンダー大王、カエサル(シーザー)、ナポレオン等々数限りありません。彼らはほぼ例外なく、本来外敵から自国を守るはずの軍隊を国民に向け、「暴力とそれに伴う恐怖」で人々を支配しました。今から考えればひどい話ですが、古代社会から近代の初期に至るまでは「法の支配」などという考えも確立されず、権力者が権力と恐怖で人民を操るのはごく当たり前のことだったのです。
しかし、近代に入ってからは、すくなくとも先進国では、「法の支配」が優勢となります。どのような権力者でも、まったく人民を無視した政治を行うことは不可能になりました。これには、グーテンベルグ以来の活版印刷技術の普及も大いに貢献しました。それまでは一人が1年に一冊しか作成できない(そのため現在の価値でいえば一冊数百万円以上した)写本でしか知識を得ることができなかった(実際には購入できず知識を得ることはできませんでした…)人民が、数百部・数千部単位で一度に印刷できる印刷技術を手に入れたのです。まさに「情報革命」です。
知識を持たない人民であれば恐怖と暴力で支配するのはたやすいでしょうが、知恵をつけた人民は権力者にとって厄介な存在で、彼らの意見もある程度取り入れなければ、政治がうまく運ばなくなります。
●知識社会では暴力と恐怖による支配は通用しない
ただ、西洋を中心とした先進国では「法の支配が」確立しているにもかかわらず、発展途上国や後進国では相変わらず暴力と恐怖による支配が圧倒的に優勢です。特に共産主義国家のほとんどが恐怖と暴力による支配を基本としています。
近代の三大虐殺王は第1位・毛沢東、第2位・スターリン、第3位・ヒットラー(虐殺した人間の多い順)ですが、このうち二人が共産主義者であり、ヒットラーも「国家社会主義」を標榜していました。
私は「アラブの春」は大失敗であったと思います。西洋的基準で言えば「民主主義は至高のもの」ですが、民主主義は社会的基盤などの条件がそろわなければ、むしろ害悪となりえると考えています。
その意味で、今でもチャイナなどの発展途上国や後進国が暴力と恐怖で支配されているのは、歴史的必然です。
しかし、恐怖と暴力で支配されている国が、経済的な部分において先進国となることはありえません。それは次のたとえ話でよくわかると思います。
王様の壮大な陵墓を建設するために人民が集められます。彼らは心の中でどのように考えていても、監督官の鞭におびえながら、過酷な環境な中で重い石を運ぶ重労働を行うでしょう。
それに対して、現代の最先端のバイオ研究所をイメージしてください。豊富な知識と高い教養を備えた研究員の周りを、マシンガンを持った監督官が取り囲んだ場合、仕事の効率は上がるでしょうか?むしろ研究の邪魔になって、出るはずの成果も出なくなるはずです。あるいは、創造性を要求される広告グラフィックやコピーの制作現場でも一緒です。
チャイナなどでは、海外に留学してそのまま研究を続けるチャイニーズに対して「本土の家族の安全は保障できないよ…」などという脅しをかけて帰国させるようですが、そのような脅迫行為も長期的には無意味でしょう。
続きは「産業新潮」
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12月号をご参照ください。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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