私は先般来、講演会で3つの投資尺度を用いて割安銘柄を見出して運用成果を高めようと呼びかけました。
これには一定の企業分析が必要であることは言うまでもありませんが、このことは実際には投資に際してかなりの困難さをもたらしています。つまり右から左の安易な投資ではなく相応の時間をかけた財務分析や同業他社比較、セクター分析更にはマクロ経済分析を踏まえた投資タイミングの良否なども念頭に置いておく必要があります。
そうしたことを言っているとなかなか結論が出ないので、現実には割り切った簡便な分析手法で投資に踏み切っておられる投資家の方が多いと考えられます。
3つの投資尺度は言うまでもなくPER、PBR、配当利回りですが、これらに加えて期間利益に減価償却費等を加味したPCFR(キャッシュフローレシオ)に基づく評価を行うべきかも知れません。
投資の世界の先人たちはこれらの投資尺度の存在を投資家に明示し、多くのプロ投資家もそれを駆使するか念頭に入れた運用に努めているものと拝察致します。
株価の評価を巡っては戦後の株式市場発展の中で繰り広げられたことは多くの学者先生の書かれた書物でも明らかです。
私は実は運用者としての感覚を身につけるためにPERに類似した評価手法として時価総額/経常利益(時価総額経常利益倍率)のデータを参考にしてきました。法人税率や特別損益によって変動する当期利益に対する指標よりも安定的な比較ができやすいためです。
例えば経常利益10億円の会社の時価総額は100億円が妥当だとか、経常利益の10倍を時価総額の妥当水準と簡便に考えていく方法を数多くの銘柄比較で知らず知らずのうちに用いています。
上場企業は小規模な時代から大規模なビジネスに至る発展期、マクロ経済の影響を受けた停滞期、技術革新による再成長気運など、それぞれの時期に様々な投資家からの評価を重ねて参ります。時価総額経常利益倍率は、どのような企業にも当てはまるどちらかと言うとM&Aの視点での評価かも知れません。
山本さんが取り上げていた日本板硝子も本日相川氏が取り上げている新報国製鉄もどちらかと言うと老舗の企業でありその評価の手法は再成長へのヒントがそこに見出せるかというもの。
その再成長がどこまでの経常利益が見込めるかを予測しながら未来の時価総額を考えることになります。
これまで本メルマガで中長期的視点で取り上げられてきた多くの銘柄がこのような発想で取り上げてきました。
これらの分析は評価の基本的なものであって現実には未来に向かっての明るい世界を予測することが株価の形成では圧倒的な価値を持つ点を理解して頂くと幸いです。
また企業の方がその未来を十分に理解していないケースもありますので分析者(投資家)が大胆な発想で未来の変化を予測し、自己責任の下で投資行動に移していくことが株式市場で取引される株価に反映されることは意義深いことでもあります。
つまり未来を予測することができればあなたはお金持ちになれる・・。
本日は相川伸夫氏が積極果敢に新報国製鉄(5542)の未来の業績予測を試みていますが、過去から現在を踏まえて未来を予測しそれが現在の価値よりも高まることが株価の押し上げにつながるということになります。
過去が停滞続きでも未来は明るい。そんな企業を見出す作業を引き続き行っていきたいと思います。
(炎)
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