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為替市場動向~新たな進展待ちで膠着状態?~

2017/06/01 17:15 投稿

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 GWに始まった5月も今日が月末。そして、新年度に入ってから2か月が経ちます。

 この間、フランス大統領選挙で極右(+極左)勢力の台頭による所謂「ルペン・リスク」は、中道候補・マクロン氏の勝利により緩和されたのも束の間、新たな米国発のホワイトハウス「ロシアゲート」疑惑、そして、未だ続く北朝鮮情勢の緊迫化もあり、それらが、マーケットの不透明要因として重石になっています。

 トランプ政権の「ロシア・ゲート」疑惑の関連調査が特別検察官によって始まっていますが、調査結果が出るまでには短くても数か月~半年はかかると言われます。
 支持率が大きく低下する中で、政権に期待されていた税制改革、国内のインフラ整備のための財政支出の早期実現の可能性は更に低下しています。

 ちなみに、トランプ大統領が辞任した場合には、副大統領ペンス氏が、次には下院議長のライアン氏、上院仮議長、国務長官、財務長官が続くという継承順位があります。
 今日も、トランプ政権では広報担当部長の辞任が伝わり、政権内でのゴタゴタによる信頼感の低下がメインである目玉政策への期待を剥がします。


 この間に、主要通貨の対ドルのパフォーマンスで最も上昇したのはユーロとデンマーク・クローネ。最も下落したのはブラジル・レアル、豪ドルが次に続きました。

 ドル・円相場は、フランスで極右極左対決の可能性への反応で安値108.13をつけたのを底に第一回選挙でのマクロン氏優勢を好感したリスクオンの円売りで114.37まで反騰。115円の壁を重く感じている間に、アメリカ発のスキャンダルが引き金となり、5月末の今日は、新年度4月月初の110円後半と同じ水準まで戻ってきたことになります。方向感がはっきりしない膠着相場が続く可能性が高いと思います。状況を注意深く見守る姿勢でいきます。


 スキャンダルはさて置き、米国の金融政策についてみましょう。

 6月は13~14日に米金融政策を決めるFOMCが開かれ,米国時間14日には結果とともに、議長会見も予定されています。
 関係者の発言、市場予想から6月の利上げは有る確率は9割強と高くなっています。

 一方で、今後の利上げ見通しは、9月は確率が低く、12月も以前よりも確率が低下しています。従来の政策へ正常化を図る道は,経済指標次第という文言がこれまで繰り返されています。そんな中、このところの経済指標は、特に個人所得、個人消費が冴えず、物価指標動向も利上げの決め手になるほどの上昇が見られません。
 今年中に始めるといわれるバランスシートの縮小のプランもどうなるのか?
 今後の経済指標次第、特にインフレ関連指標が注目されることになります。
 6月の利上げは期待通りとされ、決定されても相場の反応は薄いとみていますが、イエレン議長の会見での今後への見解は注目されます。

 来年2018年に、イエレン議長が任期を迎えます。トランプ政権では再任はないと見られています。任期までにイエレン議長がどう正常化への道を仕上げていくのか、注目します。


 金融政策の変化で注目されてきたのがユーロです。4月のフランス大統領選挙結果で、ユーロショートは買い戻されました。政治リスク軽減の他に、ECBの量的緩和政策の変更の可能性からもユーロは上昇しました。
 3月にECB筋から出たテーパリング発言からECBの政策変更への期待が膨らんだわけですが、このところ、各方面から様々な要人発言が聞かれます。

 ドラギ総裁の「金融量的緩和は未だ必要」、ドイツ・メルケル首相の「ユーロは安過ぎる」、ドイツ連銀総裁の「インフレは抑制されている」等々。さまざまな見方が示される中で、ユーロ相場は先週央に対ドルで年初来1.1268をつけて以来、1.11台へ押し戻されて調整している印象です。

 量的緩和からの変更の背景とされてきたインフレ指標の持ち直しが、このところ緩んできていること(←原油価格の反落も影響もあり?)も、政策変更は緩やかなペースで行われ、バランスシートの縮小についても、かなりの年月をかけて行っていくイメージを連想させます。その状況が続けば、ユーロ反発ペースも緩やかになる可能性が高まると思います。

 ユーロ関連では、9月にドイツの総選挙、来年前半に任期を迎えるイタリア議会の総選挙が注目されます。特にイタリアは、反ユーロの五つ星運動の支持率動向が材料にされそうです。


 その他の通貨で気になるのは、鉄鋼価格の下げと住宅ブームでの債務上昇が懸念され下げている豪ドル、一方で乳製品価格上昇で上昇しているニュージーランド・ドルのオセアニア通貨の対照的な動向。また、6月8日に総選挙を迎える英国ポンドの動向も注目されます。


 明日から始まる6月は四半期末、半期決算月でもあります。区切りの月特有の調整の動きも出るでしょうし、政治スキャンダルと関連して「まさか」の可能性も否定できません。微妙な状況を見守りつつ、どちらにでも動ける態勢でいようと考えています。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※5月31日東京時間12:00執筆
 本号の情報は5月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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