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 今年も残すところ4日、市場は2日半でクローズを迎える頃になりました。
 読者の皆さまには、今年はどんな年だったでしょうか? 


 米国の次期大統領にトランプ氏が選ばれて以来のトランプ・ラリー相場は、海外のクリスマス休暇入りで一服。年末と正月休みを控えてクローズ体勢に入った日本市場。一方で、休暇明けの海外プレーヤー達が入れ替わりに参加してきます。彼らがどう出てくるかが注目される中、市場が薄くなるので急激な動きに要注意でにあります。


 さて、今年のドル円相場。年末、このままで終われば、ほぼ『往って来い』に近い相場になります。それにしても、今年は事前予想に反することに振り回された一年でした。終わってみれば、長い相場の流れの中で必然的に起こった事象とも思えます。

 年初は120円台から始まり、原油安や中国株安によるリスク回避で2日後には117円台へと。1月に日銀のマイナス金利政策が導入されるも結果として相場には逆効果。
 その後は、数々のチャート上の支持線を破り、極め付けは6月の英国のEU離脱の是非を問う国民投票で大方の予想に反して離脱派勝利。ドル円は99.02という今年の安値を示現。今年前半は、昨年までの相場を崩す相場が続きました。

 年央に政府・日銀による『ヘリコプターマネー』政策導入か?の憶測が飛び出しました。円安反転する場面もあるも、パワーは限定的。その後は100円~105円のレンジ相場を続け、11月のあの米大統領選に。

 トランプ氏が大統領になる予想をしていた人たちは結構いたと思いますが、その後のトランプ・ラリーを予想していた人は少なかったと思います。だからこそ、これだけのエネルギーで市場が動いたとも言えます。


 ところで、今年も常に注目された米国の金融政策。
 年初の利上げ予想は2~3回でした。政策当局は、米国経済指標次第で判断すると繰り返しました。しかし、中国経済やGREXITによるリスク懸念にも考慮して、結局年末の1回に留まりました。

 12月14日のFOMCで来年の利上げペースを3回と考えていることが伝わり、ドル金利は長期金利(直近の10年物米国債は2.57%)のみならず、短期金利も上昇ペースを速め、直近(年末越え要因もありますが)3か月物LIBORは1%まで上がっています。
 ドル金利の上昇は、ドル相場の下支えとして働きます。対円だけでなく、ドル指数(貿易相手国の貿易規模等も含めた総合的なドル価値)は2003年以来の103台をつけ強い展開ですが、スピード早過ぎでもあります。


 11月からのトランプ・ラリー、政策効果の先行期待で超スピード展開。
 普通ならどこかで調整が入ってもおかしくないと思います。

 1月20日の就任式を経て、まず注目されるのは、2月から3月あたりに発表される予算教書。その後、議会との協議が続き、オバマ大統領旧予算からトランプ大統領新予算へと移行するのは新年度入りの10月になります。

 議会の多数派は共和党。共和党は、基本的に小さな政府、均衡予算を支持します。共和党主流派とトランプ新大統領がどう渡り合うのか?
 注目は実務に移っていくものと思います。相場もそれを見ながらの展開になるでしょう。

 また、初のビジネスマン出身大統領。経済のみならず、外交にどうでるか?
 トランプ流やりかた、これまでの知識で予想を立てない方が良さそうです。
 利益優先だけは確かでしょうが。


 一方、前回のコラムでも記しましたが、来年は選挙が続くEUにも注目です。

 イタリアの問題金融機関への公的資金導入が当初の予想よりも多くなることが昨日報道されました。欧州金融危機以来、さまざまなサポート体制を整えてきたEUなので、金融危機のリスクは減少していると思います。
 一方で、今月初のイタリア国民投票では、結果、改革頓挫することになりました。今後のEU不安は金融不安というよりも、政治に注目が集まることになるでしょう。難民問題やテロ事件による社会不安で閉鎖的な傾向も伝えられていますので尚更です。

 3月のオランダ総選挙、5月はフランスの大統領選挙と6月の議会選挙、また8月にはドイツの総選挙も続きます。3月末は英国のEU離脱申請期限です。離脱にからんだ交渉も本格化しますし、動きも見えてくるでしょう。


 来年は日欧の金融緩和政策の変化にも注目しておきたいと思います。更なる緩和期待は後退して、新しい年は過去に類を見なかった金融政策の出口に注目されるのではないでしょうか。


 来年は酉年。『申・酉騒ぐ』の格言通り、予想だにしない事象でさらに騒がしい年となるかもしれません。

 冷静に見極める目を持って、チャンスを逃さず参りましょう。


 今年もご愛読ありがとうございました。
 皆さまにとって新しい年が素晴らしい年でありますように、
 健康と幸運を祈念申し上げます。

※12月28日東京時間午後1時執筆
 本号の情報は12月27日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)