師走も中盤となり、今年最後の重要イベント、米FOMCが13日~14日と開かれます(結果発表予定は日本時間15日午前4時)。
現在の政策金利0.25~0.5%から0.25%追加利上げが決定され、0.5~0.75%への利上げ確率は100%と予想(うち0.25%の利上げ94%予想)(数値はBloomberg社情報)と市場は既に利上げを織り込済みで動いてきました。なので、利上げ発表には反応は限られるでしょう。
一方、利上げの有無の発表と同時に注目したいのが、理事による来年の金利予想(ドットチャート)です。来年からの金利予想が上向きに修正されるようなら、ドルの下値もサポートされドル上昇の可能性は高まるでしょう。
今日のFOMCが終わると、年末にかけて大きなイベント予定は見当たらないことから、来週から海外の市場参加者の多くがクリスマス休暇入りとなり、11月のトランプ次期大統領誕生祝い相場は一服していくのかと推測します。
そして、注意したいのは、欧米のクリスマス休暇明け後です。
日本が今年を〆め括り、ゆっくり年始を迎えている間に相場基調ががらっと変わることが過去には多くありました。家で休み中に情報モニターを見てびっくり正月どころではない場合もありました。
クリスマス休暇中に相場と離れて冷静に考えてみると、、、などもあるかもしれませんし、薄い市場への短期的仕掛けということもあります。
さて、先週8日に行われたECB(欧州中央銀行)理事会では、量的緩和の減額が決定され金融緩和を規模縮小になりました。ただ、いわゆるテーパリングではないことは強調され、緩和期間の長期化、状況によっては再度拡大する可能性も確認され、市場に安心感を与えました。
この決定の背景には欧州でのインフレ率の改善があるとされますが、加えて、世界的に金融政策の限界、特に過度な緩和姿勢からの転換を模索す動きもあるかと思います。中央銀行頼みから、財政なり構造改革なりの政府の政策へとバトンタッチされていく方向に行かざるを得ない時期に来ているということかもしれません。
政治に注目が向く中、欧州では来年は選挙の年。
フランスの大統領選挙、オランダの国政選挙、ドイツの地方選挙があります。また、憲法改正が否決され、改革の芽が摘まれてしまったイタリアでも総選挙の実施がありそうですし、銀行危機の問題も未だ残っています。
今年の不安を残しつつ始まる来年。欧州の政治には特に注目していきたいと思います。
米国では、トランプ新政府の閣僚が次々に発表されています。
投資銀行出身者2名、エネルギー関係者2名(エネルギー長官、国務長官)などの面子を見ると、金融機関への規制緩和、エネルギー政策、外交政策の転換を連想させます。
実業家が目立つことから、これまで政治の中核になっていた所謂エスタブリッシュメント面々との軋轢も言われます。特に現実問題として懸念されるのが議会との関係です。
両議会の多数派は共和党ではありますが、例えば、共和党が財政健全化を伝統的考え方としている一方でトランプ次期大統領は財政拡大路線。
大統領が高支持率の間は議会も反対しずらいかもしれませんが、選挙中のセールストークが剥がれ支持率が低下していった場合には議会を味方にできず、自らの政策を実施できなくなる壁にぶつかるかもしれません。
共和制であるアメリカでは立法権は議会の権限で、大統領は(拒否権はあるものの)議会の立法に基づいて行政を行う(教科書による)ので議会との関係は重要です。
トランプ政策、議会を通せるのか?
1月20日就任後、100日の蜜月期を経て、トランプ大統領相場#2バージョンを冷静に見ていく必要性がありそうです。
最後にドル円相場について。
トランプ氏勝利後、主要通貨の中で対米ドルで最も弱くなったのはダントツ、円(8.3%下落)でした。逆に買われたのは、原油価格上昇を受けてカナダドル、英国ポンドです。
昨年120円乗せを果たしてからの相場で115円台は強い支持エリアでした。
そして、その後ドルが下落した後は強い抵抗線として働いてきました。
今回、これをブレークして116円台まで示現した勢いは膨大なエネルギーです。
ドル高方向へのポジション変更と積み上げが急速に行われた背景には、新政権への期待先行があります。財政拡大路線、米国への資金回帰などへの期待が大きく先取りされています。
加えて、年末は海外利益の米国への資金回帰、年越しのドル資金手当て等のドル需要も強いので、当面ドルの下値はかたいだろうとは思います。
ただ、上述したように、クリスマス明け年末年始の相場に基調転換のリスクも過去多くありました。油断しないように気をつけたいところです。
諺に「さるとり騒ぐ」とあります。
来年の酉年も騒ぎには事欠かない年なのかもしれません。
今年も半月になりました。
忙しさが重なる時期。健康には十分お気をつけてお過ごしください。
(今年の風邪、しつこいですよ)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※12月14日東京時間午後1時執筆
本号の情報は12月13日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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