=東京ラヂエーター製造(7235)の考察=
本日年初来高値を更新した東京ラヂエーターですが、石川臨太郎の有料メルマガでは、7月5日号の研究銘柄として東京ラヂエーターを取り上げ、その理由を以下の通りとしました。ぜひ参考としてください。
まずは7月5日配信の有料メルマガ研究銘柄から引用します。
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東京ラヂエーター製造は、78年の歴史を持ち、「熱をコントロールする技術」をコアに、多様な製品ラインナップで、安定的で高い収益を上げています。
東京ラヂエーター製造の筆頭株主はカルソニックカンセイで、その出資比率は40.06%です。
そのカルソニックカンセイは日産自動車が41%出資していますが、日産自動車はカルソニックカンセイの全ての株を売却する方針です。
6月11日の日本経済新聞の記事を引用させていただきます。『日産自動車は10日、系列最大の部品メーカー、カルソニックカンセイの保有株式売却に向けた1次入札を締め切った。海外の投資ファンドなど複数の企業が応札したもようだ。日産は各社の提案内容を吟味し、年内をメドに売却先を決定する見通し。売却によって得た資金は電気自動車(EV)や自動運転分野の成長投資に充てる。
日産は現在、カルソニックカンセイに41%を出資しており、入札参加者には全株式を売却する意向を伝えている。ただ、熱交換器やカーエアコン、マフラーなど事業ごとにほかの車部品メーカーに売却する案も並行して検討している。
10日までに米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やベインキャピタル、アジア系のMBKパートナーズなどが応札したことが明らかになった。ファンドの中にはTOB(株式公開買い付け)によって全株式の取得を目指す動きもあり、買収額は3000億円規模に達する可能性がある。
カルソニックカンセイの2016年3月期の連結業績は日産の北米事業拡大が寄与し、売上高は1兆533億円、営業利益は382億円とともに過去最高を更新した。現在は日産との取引が全体の約8割を占める。日産系列からの離脱後は他の車メーカーに販路を広げ競争力を高める考えだ。
日産は34%の出資を決めた三菱自動車と連携し、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の開発体制を強化する。』
東京ラヂエーター製造とカルソニックカンセイとは、共にラジエーター製造メーカーですが、東京ラヂエーター製造は日産自動車グループに対する売上は全体の約1%程度です。
このあと、具体的に確認しますが、東京ラヂエーター製造はキャッシュ・リッチで時価総額以上の現金性資産を蓄えており、そのかなりの額を日産ファイナンスに預けています。
カルソニックカンセイが日産系列を離れたら、東京ラヂエーター製造の株を売却する可能性も出てくる可能性が、まずあります。また、カルソニックカンセイを外資系のファンドが買収すれば、東京ラヂエーター製造もTOBして傘下にする可能性もでると考えます。
その場合は、東京ラヂエーター製造には投資妙味が出ると考えて、本日の研究銘柄として取り上げました。
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そして、有料メルマガ10月11日のコラムで、そのフォローアップとして以下の通り掲載しました。
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東京ラヂエーター製造の親会社である筆頭株主はカルソニックカンセイで、その出資比率は40.06%です。
そのカルソニックカンセイに対しては日産自動車が41%出資していますが、日産自動車はカルソニックカンセイの全ての株を売却する方針です。
そして投資ファンドがカルソニックカンセイの買収を考えて、入札に参加してきています。そのことに魅力を感じました。
東京ラヂエーター製造は、事業と保有する資産から投資ファンドが親会社のカルソニックカンセイを買収したら、東京ラヂエーター製造を買収しないはずがないと考えたのです。それほど東京ラヂエーター製造の資産価値と株価には落差がありました。
- 東京ラヂエーター製造は非常にキャッシュ・リッチな企業であり、時価総額以上の現金性資産を保有しているので、東京ラヂエーター製造をTOBで完全子会社化すれば、利益が大きいこと。
研究銘柄の原稿を書いた7月1日の終値は433円でした。
しかしその後に東京ラヂエーター製造の株価は大きく上げて来ました。
10月7日の株価で計算しても、まだ投資ファンドにとっては有り余る魅力がある資産価値があります。
10月7日の東京ラヂエーター製造の株価635円
時価総額は635円×14,388,052株(自己株式を除いた発行株式総数)=91.4億円。
6月末時点の東京ラヂエーター製造の保有する現金性資産
現・預金41.8億円+日産グループファイナンスに対する預け金57.7億円+投資有価証券7.7億円=107.2億円
東京ラヂエーター製造の全ての負債は103.9億円(流動負債96.0億円+固定負債7.9億円)ありますが、受取手形及び売掛金85.0億円+在庫23.5億円=108.5億円という営業性流動資産で全てカバーしています。
(注)預け金について(2016年3月期の有価証券報告書の開示情報を引用します)
『資金の預託及び借入については、日産グループファイナンス株式会社から提示された条件(利率等)を検討し、決定しております。この預託及び借入はキャッシュマネジメントシステムによるものであるため、取引金額については純額で表示しております。』
- 東京ラヂエーター製造の本社工場の土地の含み益の大きさ
(中略)』
- ビジネスにも魅力があります。
販売先はいすゞ自動車です。第2位の販売先はDMAXです。
いすゞ自動車の国内向け商用車トラックに搭載される「ラジエーター」は全て東京ラヂエーター製造で生産しているということです。
いすゞ自動車への売上は、東京ラヂエーター製造の2016年3月期売上高の42.9%(2013年3月期売上高の42.9%、2012年3月期は40.1%、2014年3月期42.2%、2015年3月期42.1%)を占めています。
なお第2位の販売先はDMAXです。2016年3月期のDMAXへの売上は売上高の10.4%(2015年3月期8.4%)です。それ以前にはDMAXへの売上高は10%未満なので、有価証券報告書には販売先として出ていません。ここ2年間でDMAXへの売上高が着実に伸びてきていることが分かります。
(注)DMAXはアメリカにおけるいすゞ自動車と、ゼネラルモーターズとのディーゼルエンジン生産合弁会社です。つまり、いすゞ自動車という日本の大手のトラックメーカーは、東京ラヂエーター製造の製品がないとトラックが作れないということです。
東京ラヂエーター製造は収益力も安定していて強い企業です。
東京ラヂエーター製造の純利益と一株利益の推移です。
2014年3月期 11.81億円(一株利益 82.2円)
2015年3月期 13.45億円(一株利益 93.5円)
2016年3月期 13.88億円(一株利益 96.5円)
2017年3月期予12.00億円(一株利益 83.4円)
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その後、有料メルマガ11月1日のコラムでも、以下の通りフォローしています。
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東京ラヂエーター製造の株価は、676円で寄り付いてから上下に動いて、終値は663円の前日比50円高で終了しました。
東京ラヂエーター製造を研究銘柄にしたのは、7月5日号において株価が436円の時ですから、株価の上昇額は227円で、上昇率は52%ですから、それなりの上昇です。
しかし上記で確認したように、まだ東京ラヂエーター製造の株価は安すぎると思えます。ファンドは資金力があり、カルソニックカンセイの買収により東京ラヂエーター製造の株を40.6%手にするわけですから、東京ラヂエーター製造も買収するか、カルソニックカンセイの高くなった株と交換で100%子会社にするなど、東京ラヂエーター製造を安く手にする手段はいくらでもあると考えます。
ただ最近の投資家は、実際に何かの発表があってから動くことが多いために、しばらく東京ラヂエーター製造の株価の動きにも注意をしておく必要があると考えています。
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研究銘柄を選ぶときに常に心掛けたいと考えていることは、『偶然上がる株』を研究銘柄にする確率の方が多いけれど、なんとか『必然的に上がる要素を持つ企業』をできるだけ多く選んでみたい。そんなことを願って努力しています。
具体的にはPERが低くて、増益を続けている企業で、配当も業績に連動して増配を続けている企業。
時価総額の数倍の現金性資産や、含み益の大きな企業でPERが一桁台の低PERの企業など。
このような企業が必然的に上がる可能性が高いと考えて、研究銘柄に選ぶように努力しています。
しかし投資環境に大きく影響されて、このような条件に当てはまっている企業でも、株価が下げてしまう場合も多いです。
だから株式投資には運がとても大事だと痛感しています。
つまり運が無いと儲けられないし、いくら企業分析をして努力を積み重ねても、運には勝てません。
これは当たり前のことかもしれません。
『運用』というのは『運』を『用』(もち)いるということだからです。
昔、誰かの本に書いてあったな~ということを、ある投資家さんがブログに書いておられたので思い出しました。
東京ラヂエーター製造は業績がすこぶる良いうえに、現金性資産を時価総額以上に貯めこみ、本社工場の底地が公示地になっており、その公示地価格を現在の土地価格だと考えて計算すると、時価総額以上になるような資産の割安株でもありました。
しかし配当性向が低いので投資家に全く評価されずに、株価は下げて上がる気配も見せませんでした。
その時、親会社のカルソニックカンセイを日産自動車が売却するというニュースを見ました。
これが本当なら、連結子会社の東京ラヂエーター製造にも投資家の注目が集まり、株価が上がる可能性が高くなるのではないかと考えて、研究銘柄として取り上げました。
【参考】
東京ラヂエーター(7235)
7月 5日終値 436円(研究銘柄掲載時)
10月11日終値 647円(フォローアップ時)
11月 1日終値 685円(同上)
11月22日終値 858円(7月5日比 +96.8%)
年初来高値 893円(同上 +104.8%)
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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また、コラムでは、「トランプ新大統領が決まり、多くの投資家の予想に反してリスクオンとなりました。日本のメガバンクの株価が急速に上昇し、日本を代表する輸出株にも資金が流入して株価が上昇しています。このメルマガの9月27日号に書いた日本株の大相場が始まるかもしれないという夢が実現するなら、いい流れに乗りたいと気を引き締めています。」と題し、リスクオン状態の相場が続いた場合の投資上の注意点、心理上のポイントなど、過去の経験則から学んだ、実践で役に立つノウハウが満載です。
さらに、大相場が来た場合の上昇が見込める銘柄を、業種別に10社ピックアップしており、打診買いや銘柄研究用に大いに参考となるはずです。
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