日本の上半期、欧米の第3四半期である9月が過ぎ、10月からは年末相場入りです。
日米同日の金融政策会合というビッグ・イベントが注目された9月は、その事前の読みと事後の解釈で揺れました。
ドル円相場は9月月初、103円43銭を始値に高値104円32銭をつけた後は、米国の重要経済指標が冴えなかったことから上値が重くなって、9.21イベントを迎えました。
日銀の決定会合前には、「マイナス金利の深堀りを軸にした更なる金融緩和」が観測報道がありました。そして、7月会合で言われた従来の政策への「総括的検証」を経て今回出された結論は「長短金利操作付の量的・質的金融緩和」という政策モデル変更でした。
イールドカーブをコントロールする今回の政策により、量的部分(年間80兆円)の目標値はなくなったものの、イールドカーブをコントロールするためには目標値に関わらず量を増やすこともあり得ることになります。
また、この政策をいつまで続けるか?という目標時期を「消費者物価上昇率2%を「超える」(これまでは「実現」)まで」となったことで、金融緩和の継続がそのうち変更されるのでは?という不安感はいったん払拭された印象を与え、発表直後は市場に好感されはしました。
ただ、現在の相場水準を大きく円安方向へ修正するためのインパクト不足は否めず好感は短時間で終わりました。
さらに、日銀の政策発表後の夜に行われた米国FOMCでは、事前予想通り利上げは見送りましたが、年内に一度は利上げする可能性には触れました。
ただ、注目された金利予測(ドットチャート)は下方修正され、来年の利上げは3回から2回としたことや、再来年以降の金利見通しもやや下げられたことは、ドル売り材料になり100円大台割れトライに向かいました。
翌日22日は日本の祝日で投機筋に狙われやすい日柄でしたが、日本の通貨当局者が会談を開き財務官から円高けん制発言がメディア経由で伝わったことで二ケタ相場は辛うじて避けられた格好になりました。
さて、10月に入り、先般発表された米国の重要な景況感指数であるISM製造業指数が予想を上回っていたことから、12月の米利上げ期待が再び台頭してきました。米国債相場も利回りが1.7%直前まで反騰してきました。
FRB一部理事からも年内利上げについてコメントが聞かれるという、よくあるパターンが出てきています。ドル高要因です。
そんな中、100円~101円レンジを上下していたドル円相場も直近102円台後半に上昇してきて103円台も伺う動きになっています。
チャートを見ると、6月以来3回100円レベルをトライ&キープし、50日移動平均101円70銭を上回ってはきました。次の節目の移動平均100日は103円75銭、200日は108円47銭。ここからは上値が重くなってくるエリアですので、103円台では一旦ドルの買いクローズをしておきたいところと思ってはいます。
9月の高値104円前半が抜いてくる材料が出てくるのか注目していきたいと思います。
このところのドル上昇の背景は、米国利上げ要因、トランプ候補やや劣勢、ドイツ銀行問題和解金の減額によるリスク緩和、また年度後半期入りの日本の機関投資家による外債投資?という話も聞きますが、もう一つ大きな影響を及ぼしているのがポンド安でしょう。ポンド安が起因した米ドル高です。
ポンド下落については、前回の拙コラムでも触れましたが、直近1985年以来31年ぶりの対ドル安値1.27台前半までありました。個人的には1.25水準がショートカバーする水準と考えていますが、ポンド相場は往々にして勢いオーバーシュートがありがちです。
メイ英国首相は、2017年3月までにEU離脱交渉を始めると言及したことや、英国の経済指標に悪化が見られることなどがあります。追加金融緩和期待もポンド安に影響しています。
早期離脱派の強まりが、ハードランディング離脱を連想させ、英国市場に対するリスクは高まってしまいます。英国のウリである「金融街」軒先貸しも撤退が増加するなど悪影響が顕著になる可能性が高まるでしょう。
EU離脱交渉開始時期が現実化してきたことでGREXITがどのような形で行われるのかは金融市場に大きな影響を与えると思います。引き続き注目しておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※10月5日東京時間13時執筆
本号の情報は10月5日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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