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9月号連載記事
■競争戦略の核心その4 社風
●決算書や数字のデータだけで企業の良し悪しはわからない
バフェットやドラッカーは、現代の会計システムの問題点をしばしば指摘します。バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムは、その名著「証券分析」などで、具体的な事例を使って、合法的な会計基準の変更をいくつか行うことで、高収益会社をぼろ会社に見せたり、その逆にぼろ会社を高収益会社に見せかけることがいとも簡単にできることを証明しています。
また、ドラッカーは、「会計を学んで1年もすれば、減価償却の基準を変えることによって、ほとんどあらゆる利益を損失に変えることができることを知る。 また、近い将来と遠い将来のニーズの評価次第でいかようにも会計を操作でき、これらに大きな影響を与えることのできる支出項目はとても多い」とその著書「現代の経営」の中で述べています。
そのため、バフェットは「本質的価値」という概念を用いて、バークシャーなどの企業を「会計上の価値」ではなく、「本当の価値」で評価する試みを続けています。
また、ドラッカーは「税務当局や株主に過去の事実を報告するための会計」ではなく、「経営者が会社の将来のために何を行うべきか判断するための会計」を提唱しています。
例えば、「間接費」とひとくくりにされてしまいがちな費用こそ「知識労働者」の労働の質を分析するために詳細に分析する必要があるデータです。また、新鋭の設備を導入したことによって、生産性が向上し費用が低減したことなども会計に反映しなければなりません。
その他、改善すべきポイントは無数にあるのですが、最も重要なことは「今の企業の運用のための費用・資源と、企業の将来の発展のための費用・資源は完全に分離しなければならない」ということです。
教育研修費用を例にとりましょう。社員の教育研修をしたからといって、今年の決算の売り上げがすぐに向上すると考える経営者はいないでしょう。あくまで企業の将来の発展のための投資です。
新卒の採用も同じ理屈です。彼らが、入社してすぐに稼いでくれるわけではありません。しかし、その費用は現在の会計では「今年の費用」として計上されます。
ドラッカーが例示するある米国企業では、新事業を一生懸命推進しようとするのですが、何年たっても一向に進みません。なぜなら、その会社の幹部の給与は 毎年の担当部署の業績によって決定するのですが、当面の間たいした売り上げを見込めないのに対して巨額のコストがかかる新事業を積極的に推進すると、彼ら の報酬が下がるのが分かっていたからです。
この問題は、新事業に関する売り上げと費用の数字を、幹部の報酬を決定する業績の数字とは別枠で扱うことで解決しました、つまり、「今の企業の運用のための費用・資源と、企業の将来の発展のための費用・資源を完全に分離」したわけです。
●社風は最高の競争力
数字やデータだけで、企業の実力を判断できないとしたらどこを見たらよいのでしょうか?
計数化が困難な競争力はたくさんありますが。その中で最も重要なのは「社風」だと言えるでしょう。
<続く>
続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/9月号をご参照ください。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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