重要なイベントが続く6月。欧米の年半期決算直前でもあります。
そんな中、世界の債券市場では長期金利が下げ、金融市場ではリスク回避の動きが主流になっています。ドイツの10年国債もマイナス利回りになり、日本国債もマイナス幅を広げていて、マイナス金利は見慣れてきたものの異常さを感じます。
長期金利下げの背景には、5月に再燃した米国の利上げ期待が予想を大きく下回る5月の雇用者数への失望から萎んだこと、さらに先週になって英国のEU離 脱の是非を問う世論調査で離脱派が優勢になったことから、離脱した場合の予想できないリスクに敏感になったことがあげられます。
国の政策が従来のように効を奏していない現実への不安や、世界的に広がる閉そく感もあるように思います。
今月の重要イベントの一つである日米英の金融政策決定会合が今週開かれています。
本日行われる英国中銀のMPCは来週の国民投票を前に政治色との関連を出さない可能性が高く「変更なし」予想。
米国のFOMCは、前述した5月の雇用統計の失望から、利上げ予想はゼロ近くになりました。ただ、今回は、今後の金融政策の方向性を探るためのFRB理事の金利予想が発表されること、またイエレン議長が今後の見通しをどのように話すのかに注目が集まっています。
一方、今日明日開かれている日銀の政策決定会合。期待が広がった中で肩透かしになった4月の会合の経験からか変更なし予想が大勢です。しかし、過去にお いて、予想なしの時にこそ実施することが多かった現総裁なので、ブルームバーグ調査によればエコノミスト予想では40人中11人が追加緩和ありと見ている ようです(発表は明日)。
7月10日の参院選前ということも追加緩和期待に影響しているのでないでしょうか。
先週から連荘で下げてきた相場が、緩和期待で今日は(やや株高、やや円安に)戻しているようですが、金融緩和で好刺激される土壌ではもはやなくなったようにも思います。
さて、このところの最大の関心事は、Brexit。来週23日に控えた英国のEU離脱国民投票の行方です。
一時、残留が主流になりかけましたが、6月13日の世論調査では離脱46%、残留41%、不明13%で、離脱が上回っています。世の中のことは何でも賭けの対象にするブックメーカーの最新予想オッズでも離脱確率が36%に上昇しているようです。
離脱派の関心事として、移民問題、EU補助金負担(負担の方が恩恵よりも多いという不公平感)などがあると言われます。そんな中で最新の英紙FTでは、 国民が思っているよりも実際の数字は英国には不利ではないし、移民の割合も思っているほど増加していないとするグラフが掲載されていて、タイトルには「投 票の前にこれを知っておくべき」と書かれていました。
様々な方向から世論への働きかけが直前まで続くことでしょう。
それが、どう影響を与えるのか投票日ギリギリまで分からないのではないかと思います。まだ決めていない人も多いと思います。
スコットランド独立投票も、実際には事前予想を覆るものでした。最後には国民はEU残留を選ぶのでは?という楽観的な見方もありますが、投票は水物。この材料に投資で賭けるのは報いよりリスクの方が大きいと思います。
ところで、EU離脱の是非を問う国民投票を実施して欲しいとする世論は、他のEU加盟国でも見られるようです。欧州の調査機関によると、フランス、スウエーデンなどはEU離脱国民投票実施への賛成が反対を大きく上回っています。
もし、英国が離脱を決めた場合には、他のEU加盟国への波及も懸念され、飛躍すれば、EUというシステム、そしてユーロという通貨の存続にも影響する可能性を孕みます。
ユーロ終焉のシナリオが出てきた場合には、特に円、スイスフランなどの避難通貨が買われる可能性が高まり日本経済への影響が心配されることになります。 また、残留を決めた場合にも、EUという仕組みに対する不満が各国に大なり小なりあることには注目しておくべきだと思います。
Brexitが市場のリスク回避の背景とされている一方で、中国経済の減速にも注目しておく必要があります。2014年中盤からの資本流出は、数字の増減の変動はありながらも続いています。通貨、中国人民元は5年ぶりの安値をつけています。
昨年来、安値を更新してきたところへ、今日、MSCIのグローバル新興国株指数への中国A株組み入れが再び見送られたことが失望感を呼び、人民元安に影響しました。中国当局の出方も含めて、今後注目しておきたいところです。
今年も前半が過ぎようとしています。
後半には、なんといっても注目の米国大統領選(その前にFRBが利上げするか?も注目)があります。徐々に、影響が高まっていくと考えられますが、まずは、来週の英国国民投票がどうなりますか?
リスクテイクは控え目に行きたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月15日東京時間14時執筆
本号の情報は、6月14日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
そんな中、世界の債券市場では長期金利が下げ、金融市場ではリスク回避の動きが主流になっています。ドイツの10年国債もマイナス利回りになり、日本国債もマイナス幅を広げていて、マイナス金利は見慣れてきたものの異常さを感じます。
長期金利下げの背景には、5月に再燃した米国の利上げ期待が予想を大きく下回る5月の雇用者数への失望から萎んだこと、さらに先週になって英国のEU離 脱の是非を問う世論調査で離脱派が優勢になったことから、離脱した場合の予想できないリスクに敏感になったことがあげられます。
国の政策が従来のように効を奏していない現実への不安や、世界的に広がる閉そく感もあるように思います。
今月の重要イベントの一つである日米英の金融政策決定会合が今週開かれています。
本日行われる英国中銀のMPCは来週の国民投票を前に政治色との関連を出さない可能性が高く「変更なし」予想。
米国のFOMCは、前述した5月の雇用統計の失望から、利上げ予想はゼロ近くになりました。ただ、今回は、今後の金融政策の方向性を探るためのFRB理事の金利予想が発表されること、またイエレン議長が今後の見通しをどのように話すのかに注目が集まっています。
一方、今日明日開かれている日銀の政策決定会合。期待が広がった中で肩透かしになった4月の会合の経験からか変更なし予想が大勢です。しかし、過去にお いて、予想なしの時にこそ実施することが多かった現総裁なので、ブルームバーグ調査によればエコノミスト予想では40人中11人が追加緩和ありと見ている ようです(発表は明日)。
7月10日の参院選前ということも追加緩和期待に影響しているのでないでしょうか。
先週から連荘で下げてきた相場が、緩和期待で今日は(やや株高、やや円安に)戻しているようですが、金融緩和で好刺激される土壌ではもはやなくなったようにも思います。
さて、このところの最大の関心事は、Brexit。来週23日に控えた英国のEU離脱国民投票の行方です。
一時、残留が主流になりかけましたが、6月13日の世論調査では離脱46%、残留41%、不明13%で、離脱が上回っています。世の中のことは何でも賭けの対象にするブックメーカーの最新予想オッズでも離脱確率が36%に上昇しているようです。
離脱派の関心事として、移民問題、EU補助金負担(負担の方が恩恵よりも多いという不公平感)などがあると言われます。そんな中で最新の英紙FTでは、 国民が思っているよりも実際の数字は英国には不利ではないし、移民の割合も思っているほど増加していないとするグラフが掲載されていて、タイトルには「投 票の前にこれを知っておくべき」と書かれていました。
様々な方向から世論への働きかけが直前まで続くことでしょう。
それが、どう影響を与えるのか投票日ギリギリまで分からないのではないかと思います。まだ決めていない人も多いと思います。
スコットランド独立投票も、実際には事前予想を覆るものでした。最後には国民はEU残留を選ぶのでは?という楽観的な見方もありますが、投票は水物。この材料に投資で賭けるのは報いよりリスクの方が大きいと思います。
ところで、EU離脱の是非を問う国民投票を実施して欲しいとする世論は、他のEU加盟国でも見られるようです。欧州の調査機関によると、フランス、スウエーデンなどはEU離脱国民投票実施への賛成が反対を大きく上回っています。
もし、英国が離脱を決めた場合には、他のEU加盟国への波及も懸念され、飛躍すれば、EUというシステム、そしてユーロという通貨の存続にも影響する可能性を孕みます。
ユーロ終焉のシナリオが出てきた場合には、特に円、スイスフランなどの避難通貨が買われる可能性が高まり日本経済への影響が心配されることになります。 また、残留を決めた場合にも、EUという仕組みに対する不満が各国に大なり小なりあることには注目しておくべきだと思います。
Brexitが市場のリスク回避の背景とされている一方で、中国経済の減速にも注目しておく必要があります。2014年中盤からの資本流出は、数字の増減の変動はありながらも続いています。通貨、中国人民元は5年ぶりの安値をつけています。
昨年来、安値を更新してきたところへ、今日、MSCIのグローバル新興国株指数への中国A株組み入れが再び見送られたことが失望感を呼び、人民元安に影響しました。中国当局の出方も含めて、今後注目しておきたいところです。
今年も前半が過ぎようとしています。
後半には、なんといっても注目の米国大統領選(その前にFRBが利上げするか?も注目)があります。徐々に、影響が高まっていくと考えられますが、まずは、来週の英国国民投票がどうなりますか?
リスクテイクは控え目に行きたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月15日東京時間14時執筆
本号の情報は、6月14日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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