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日本の銀行ビジネス

2016/05/06 16:09 投稿

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初めに。相変わらず日本のメディアはその低質性をまき散らしています。
 上からの命令なのでしょうが、どの民放も似たような震災映像のレポートばかりで(大変だ、大変だと騒ぐだけで)他にニュースは無いのか?と、毎度ウンザリします。

 ネットの書き込みには、視聴率を取れそうな映像を求めて立ち入り禁止区域に入り込み嫌がる被災者を映したりインタビューを試みたりと、救助や被災者の生活に障害となる行為にまで及んでいると書いてあります。

 これらが本当なら、立ち入り禁止区域に侵入したレポーターは棒で叩いて良い…くらいの法律でも作らない限り止まらないのでしょうか。この体たらくの責任 も電波利権にしがみ付く総務省と関連(利権)団体にあります。これを書きはじめるとキリがなく読者の皆様に怒られそうですので…済みません(^^;)


 ところで今年の日銀の金融政策について予想していたところでは、まずは0.1%だった当座金利の若干の引き下げ、加えて社債買い入れなどを含めた買取り 資産の拡大策くらいかな?・・・と考えていましたから、2月のマイナス金利の導入は随分気が早いとの印象を持っています。

 マイナス金利となると急には銀行の準備が間に合わないだろうし、日本は日銀券の信用力がとても高い国ですから効果も未知数と感じていた訳で、導入するにしても十分な検討や準備期間を置いてから?と考えていたためです。


 漸くここ10年くらいは銀行の海外ビジネスが拡大してきましたが、依然として国内での金融事業の将来性が見通せません。どちらかと言えば今のままでは市 場が縮小していくだけのイメージです。それ故、日銀の発表と同時に「当座金利すら稼げなくなる」との連想もあって銀行株は急落したのでしょう。


 産業が拡大せず企業の資金余剰ばかりが増え続けている現状では(銀行にとっての)優良な借り手が出てきません。それ故、貸付先が少ない地方銀行では止むを得ずREITや長期債への投資などで凌いでいる訳です。
 貸出しすら出来ず運用難のゆうちょ銀行に至っては預金限度額を引き揚げてどうするんだ?将来の国債購入準備金か?と、こちらも何とも意味不明です。政治面からの決定なのでしょうけど(呆)


 ただでさえ担保主義で事業評価(リスク評価)が苦手なのですから、担保の無い新興企業や中堅企業への融資は腰が引けています。協会保証を除いて伸びてい るのは(当たり前ですが)担保を確保できる不動産業相手や個人の住宅ローンくらいです。しかも最近の傾向は融資条件の緩和を踏まえた案件ばかりですから、 幾ら担保があるとは言えこの先不動産が値下がりすれば担保不足に陥る訳で、いつか来た道となる懸念があります。


 つまり今の事業思想では産業育成に繋がる融資(銀行本来の収益事業)は増えないという事です。そんな中で何をしようとしているかと言えば、債務履行にやたらと責任感の強い個人向けに如何にローンを拡大するかを競っています。

 TVをはじめ各種メディアでは個人向け高金利ローンの宣伝競争が凄まじいですね。メガバンクならこのローン事業だけで数十億円単位の広告宣伝費を注ぎ込んでいるのでしょう。まあそれほど儲かる(はずの)ビジネスという事なのでしょうか。


 以前から気になっているのは、日本のローン市場には個人や中小法人向けでは不動産担保を取れる、または返済可能性の高そうな法人融資先(もちろん連帯保 証付き)にはプライムレベルの低利の貸し出しがある一方、相手が個人でも法人でも無担保ローンについてはやたらと金利が高いタイプの2通りしかないことで す。なかなか中間のビジネスが出てきません。


 経営が順調で(出来たら担保もあり)資金繰りが楽な企業または個人の住宅ローンには超低利となりますが、中小企業の資金繰り目的や個人のフリーローンに 対しては10%以上もの「昔のサラ金」さながらの金利となります。上限は法定で抑えられていますが、昨今のマイナス金利の世界では異常な高利と感じます。


 この2通りだけでは優良法人からは僅かな金利しか稼げず、個人についても真面な(優良な)借り手は少ないでしょうから、やっぱり大して稼げない。
 つまり結果として高い金利を承知で借りざるを得ない(優良では無い、立場の弱い)借り手ばかりを相手にするビジネスを目指しているという事になります。 これは視点を替えれば所謂「貧困(弱者)ビジネス」と同類です。詐欺グループが貧困高齢者(本当の弱者)や年金生活者を利用して稼ぐのと本質的には違いま せん。


 メガバンクが注力している理由は、困った人から毟り取るのが最も儲かるビジネスであると言う事の裏付けでしょうか。調べてみると同じフリーローンでもなるほど大手行(及び関連グループ)ほど金利や条件を高くしている傾向が見て取れました。


 21世紀に入り収益事業を探していた大手銀行は消費者金融全盛期の2000年代前半に消費者金融会社への投資を拡大しました。当時はバブル末期 (1990年代前半)の住専(住宅金融専門会社)のデジャブを感じましたが、その後の2000年代半ばから過払い金問題が噴出し各行は大きな痛手を被りま した。武富士など大手も破綻しました。


 メガバンクによる高利貸事業への傾注は当時の損失を取り返そうとしているのか?それとも中流層の減少(=下流層の増加)傾向を見越して「貧困ビジネス」での荒稼ぎを目指しているのか?

 このような前時代的な発想しか出てこない日本の貸金業(銀行業)の思想からも、やはり優良な新興(ベンチャー)企業を育てるプラットフォームが不足していると感じざるを得ません。


 構造改革の遅れによる産業の停滞(=株式市場の低迷)が続いています。
 このままでは国内金融業の将来も全く見通せません。実効性のある第3の矢が出てくるまでは国内投資については慎重にすべきと思います。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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