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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「月着陸50周年:地球が静止した1969年7月21日」

2019/08/07 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/08/07

 今日は、2019/07/21配信の岡田斗司夫ゼミ「【月着陸50周年記念】岡田斗司夫が、宇宙開発とアポロ月着陸を語りつくすゼミ、いよいよ大詰め!」からハイライトをお届けします。


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 今日は、いよいよ1年前から話し始めたアポロ計画です。
 ちょうど50年前の今日、1969年7月21日に、アポロ11号は人類で初めて月に着陸しました。

 NHKとかニュースの報道なんかでは「7月20日」と報道している番組が多いんですけど、じゃあ、なんで僕は「21日」と言っているのかと言うと。
 正確に言えば、アメリカの現地時間では「7月20日日曜日の夜11時」だったんです。だけど、日本にいた僕が、それを生きて体験したのは「7月21日の昼間」だったんですよ。
 だから、僕は「7月21日」と言うんですけど。もう、本当に大騒ぎでした。

 これは、アリゾナ・デイリースターという新聞の号外版です。
(古い英字新聞を見せる)

nico_190721_01423.jpg【画像】アリゾナ・デイリースター

 こんなふうに1面の記事に載っています。
 もう本当にねこんなに絵が荒いんですよ。何が何かわからないですよね? 上が「はしごを降りているアームストロング船長」で、下が「ようやっとカメラを定位置に置いて、アームストロング船長とオルドリンの2人が月面歩行している」というシーンなんですけど。やっぱり、当時、送られてくる映像の技術では、こんなもんでした。
 この新聞は本物です。アリゾナ・デイリースターの「July 21、1969」ですね。この日の号になってます。

 日本でも、アサヒグラフという朝日新聞の雑誌が、8月15日というと毎年毎年、絶対に終戦記念の特集号だったのが、この月の号に関しては「緊急特別号 全ページカラー 人類初の月着陸」というふうに特集しています。

nico_190721_01513.jpg【画像】アサヒグラフ

 ちなみに、表紙は有名な、アームストロング船長がオルドリンを撮影した写真ですね。アームストロング船長ってね、こういう時でも、自分が歴史に残るとか考えない人なんですね。ひたすらミッションを淡々とこなしている。
 なので、実は月着陸の際に撮られた写真の中には、アームストロング船長の写真は1枚もないんですよ。全て自分が撮っていたので。だから、偶然、このヘルメットに映り混んでいたこの1枚しか、あの人の姿が写っている写真がないという。
 そんなアームストロング船長に対して、オルドリンの方は「自分が映ってて大喜び」で。まあ、なかなか2人の性格を表しているような感じなんですけど(笑)。

 日本では、7月21日月曜日の朝、午前5時17分という早朝に着陸しました。
 7月21日って、まだ学校があったっんですよ。7月24日ギリギリまで夏休みが始まらなかったから。なので、朝のニュースで「人類ついに月に到達!」というのは見たんです。
 だけど、そう言われても、ぼんやりとして実感がわかない。でも、そのまま学校に行ったら、なんか先生にも「見たか、見たか?」と言われたし、みんなその話ばっかりなんですよね。
 「月着陸船の後、宇宙服で外に出て月面歩行をするのは今日の夕方か夜になるんじゃないか?」と言われてたので、学校でも、みんなも先生もアポロのことばっかり話してたし、教室に置いてあったテレビでニュースをつけて、もう、授業も放ったらかしで、みんなで見てました。

 当時の小学校は、短縮授業といって、夏休みに入る1週間か2週間くらい前から、午前中で学校が終わりだったんですよ。だから、12時を過ぎた頃には家に帰れたんですけど。
 ところが、そのニュース見ていた先生方が「もうすぐ月面歩行がある」ということで、ちょっと会議をした結果、「みんな、もう家に帰っていいよ」って言われたんですね。まだ学校があるのに。まあ、「おおらかな時代」と言えば、おおらかな時代だったんですけども。
 でも、当時の僕らにしてみれば、それくらい人類の歴史に残る事件だったんですよね。なので、先生に「もう家に帰っていいよ」って言われた。まあ、学校でもテレビは見れたんですけど、みんな家に帰されたんですよね。

 もう、僕は、本当に慌てて走って家に帰りました。
 通学路には遠里小野商店街という、街の商店街としてはそれなりの規模のものがあったんですけど。いつも、昼間にそこを歩くと、買い物をしてるお母さんとかがいっぱいいたんです。だけど、その日に限っては商店街に人気が全くないんですね。
 もう、みんな、家でテレビを見てるんですよ。商店街中の店を見たら、奥の方でテレビがついているのが見えたり、もしくは、テレビがないお店ではラジオをつけっぱなしにして、おじさんもおばさんもみんなでラジオを聞いてたり。電気屋さんのショーウィンドウには、やっぱり人がたかってて、みんなずーっとテレビを見てました。我孫子前駅という南海高野線の駅の前を通ったら、駅員さんは、本当に、駅員室の中でラジオのボリューム最大にして聞いてたんですね。
 僕はあんな光景を、それ以前の東京オリンピックでも、その次の年の大阪万国博でも、その後の日本や世界を揺るがす大事件、例えば浅間山荘もそうですし、9.11 世界貿易センターのテロ、東日本大震災と、いろんな事件があったんですけど、それでも、あんな光景は見たことないですね。
 とにかく、街に誰も人がいなくて、たまにいる人達はみんなテレビを見たりラジオを聞いていて、もう全部が止まってたんですよ。

 「世界が今、どんな状況になっているのか?」っていうのも報道されてたんですけど、ニューヨークのタイムズスクエアでも、パリでも、メキシコでも、とりあえず世界中の人が、その場にあるテレビに見入ってて、誰も動いてないんです。
 その映像を見て、本当に最初は「写真か?」って思ったんですけど、たまに車が動いてて、「うわぁっ! これ、本当にみんな止まってるんだ!」とわかったんです。
 やっぱり、後にインタビュー映像とかを見たら、「1969年7月のアメリカ時間でいうと7月20日、日本時間でいうと7月21日、この日に何をしていたか? その時間、何をやっていて、それを止めてテレビを見てたのか?」というのを、やっぱりみんな覚えているんですよ。

 あの瞬間、いよいよアームストロング船長が月着陸船から降りて月面を歩くという瞬間、地球は止まってたんですよね。
 「地球がピタリと静止して、その日に人類は月に到達したんだな」と、すごい思いました。
 お昼時にはいつも人が多い商店街を抜けても、本当に、誰も歩いてなかったんですよ。みんな、止まってて。

 走って走って、やっと家に着いて。僕がドアを開けて「もう歩いた!?」って聞くと、奥のお茶の間の方から「まだや!」って声が帰ってきたんです。
 急いでお茶の間の方に走って入ったら、父親と母親とうちのお婆ちゃん、あとは、おじさん夫婦、うちで働いてた四国から出稼ぎで来ていた当時16歳17歳くらいのお姉ちゃんたち、あとは近所に住んでた従業員のお兄ちゃん達が、みんな本当にテレビに見入ってるんですね。


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