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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『なつぞら』解説:謎のアニメ『どうぶつ三国志』とは?」

2019/07/22 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/07/22

 今日は、2019/07/07配信の岡田斗司夫ゼミ「新スパイダーマン+都市伝説「NASAとLINEの陰謀」&70年代トラウマ・マンガ〜今夜のゼミは甘辛ミックス!」からハイライトをお届けします。


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nico_190707_00338.jpg【画像】スタジオから

 最初の話題は『なつぞら』からいきましょうか。
 先週は、ハッキリ言って、アニメ制作的な動きというか、アニメファンとしての『なつぞら』の見どころは、あんまりなかったんですね。
 昭和34年の5月になって、ドラマの中では1年経って、なつも動画班に配属されてから、もう1年以上。いつのまにか入社から3年が経っていました。

 そんな中、これは、なつが「君も原画をやってみないか?」と言われるシーンなんですけど。
(パネルを見せる)

nico_190707_00409.jpg【画像】会議室 ©NHK

 なんか、この呼び出された会議室の背景をよく見てみると……あれ? ちょっと待って。今まで劇中で制作風景が描かれていた『白蛇姫』と、『わんぱく牛若丸』以外に、もう1枚、別のアニメのポスターがあるぞ、と。
 そう思って拡大してみたのがこれです。
(パネルを見せる)

nico_190707_00435.jpg【画像】どうぶつ三国志 ©NHK

 ここに『どうぶつ三国志』という、これまで見たことのないアニメのポスターが貼ってあったんですね。
 どんな話かメッチャ気になるんですけど、今のところ、この『どうぶつ三国志』に関する資料は出ていない状態で、ちょっと悔しいです。気になりますよね。

 ここで、なつは、坂場さん……つまり高畑勲と、マコさんと、3人で短編の企画をやれと言われるんですけど。
 この短編のために、なつが自分で集めた資料というのがこれです。
(パネルを見せる)

nico_190707_00518.jpg【画像】資料 ©NHK

 『グリム童話集』、『イソップ童話集』まではわかるんですよ。だけど、この間に挟む形で、さりげなく『東方見聞録』が入っているんですね。
 これ、不自然なんですよね。この時のなつは、子供向けアニメの短編を企画するはずなのに「これ、なんなのかな?」って思うんだけど。
 これ、たぶん、『太陽の王子ホルス』に繋ぐための伏線じゃないかな、と僕は思っているんですね。
 なんか、徐々に徐々にそういうネタが出てきてます。

 あと、次週予告、つまり、7月8日からの放送の予告に、ついに出ました! 宮崎駿!
(パネルを見せる)

nico_190707_00600.jpg【画像】宮崎駿1 ©NHK

 劇中では神地航也という役名なんですけど、そんなものはどうでもいい。僕はこの神地航也という役名を覚えるつもりもなければ、この役者がどこのどいつかも知りません。……現実の宮崎駿とはエラい違うイケメンであることは確実ですけども。「背が低い」くらいしか一致点がないんですけど(笑)。
 でも、そんなことはどうでもいい。「ついに宮崎駿が出た!」というのが、まあ嬉しいんですよね。

 この宮崎駿君は、まあ、一癖あるヤツらしくて。
(パネルを見せる)

nico_190707_00626.jpg【画像】宮崎駿2 ©NHK

 これ、会議風景なんですけど。左端から宮崎駿。その隣が後の宮崎駿の嫁ですね。で、一人飛ばして大塚康生。高畑勲。そして、その奥になつがいて、ここにマコさんがいるということなんですけど。
 この宮崎駿、腕の組み方から何から、ちょっと癖のある感じですね。
 あと、これを見るとわかると思うんですけど、単なる短編アニメの企画のはずなのに、この全容。ほぼメインスタッフ全てが揃っている感じなんですよね。
 こういうところからも「短編にするはずだったのが、どんどん話が大きくなっているな」という感じがしますね。

 おまけに、またもや僕が気になったのが、この後ろにさりげなく貼っているカラーボード。
(パネルを見せる)

nico_190707_00715.jpg【画像】カラーボード ©NHK

 拡大するとこんな感じなんですけど。
 これは、例の「宮崎駿が『太陽の王子ホルス』をやった時に、単なる1動画マンに過ぎなかったのに勝手に描いて、無理やり会社に提出したカラーボード」というやつではないかな、と(笑)。
 宮崎駿というのは、そういう手法でグイグイと制作現場の中心に入って来たという、歴史的な事実があるんですけど。それを表すようなものではないかなと、僕は勝手に想像して楽しんでおります。
 なんか、ツイッターを見てたら「今、岡田斗司夫は日本で一番『なつぞら』を楽しんでいる」って書かれてたんですけど、確かにそうかもしれません(笑)。

 あと、もう1つ。大阪のDAICON FILM時代の知り合いに、須田葦也さんという友達がいるんですけど。
 その須田さんが、Facebookにこんなことを書いていたんです。


『なつぞら』で咲太郎の劇団仲間・土間レミ子は、もしかすると市原悦子さんがモデルかなあ?
以前、咲太郎が「声だけなら絶世の美女を演じることもできる」と言ってたのが伏線で、たぶん次に作るのが太陽の王子ホルスの大冒険で、レミ子がヒルダ演じるの。


 咲太郎の劇団仲間に、土間レミ子という、ちょっとデブッちょの、可愛げのある女の子がいるんですけど、そのモデルは、もしかしたら市原悦子さんなんじゃないか、と。
 須田さんは、ホームページに証拠写真まで載せてたんですね。
(パネルを見せる)

nico_190707_00845.jpg【画像】土間レミ子

 確かに、このレミ子さんは、若い頃の市原悦子にクリソツです。彼女が後に『太陽の王子ホルス』のヒルダの声優を演じる、と。
 さらに、この流れで、咲太郎兄ちゃんは声優事務所を持つことになるという説が、前からあったんですけども。

 これね、やっぱりね、オタクにとって『なつぞら』というのは、単なる朝ドラではなく、別の意味を持っている画期的なドラマですね。
 つまり、『アオイホノオ』というのが、単なる深夜ドラマではなく、何か別のヘンテコな面白さがあったように、『なつぞら』というのは、別の見方をすると、思いっきり面白いアニメ界の誕生秘話、創生神話みたいで面白いなあと思います。
 なので、「絶対に見逃さないように!」というのが、僕からのご忠告ですね。

 その他、僕にとってはわりとどうでもいいんですけど、メインストーリーとしては「生き別れになった妹・千遥」の話が語られました。
(パネルを見せる)

nico_190707_00947.jpg【画像】千遥 ©NHK

 これですね。妹の千遥は、置屋、つまり、芸者さんの所属している組織みたいなところで育てられて、もうすぐ結婚することが決められているそうです。
 で、「すごく良いところに結婚に行くから、戦災孤児だという過去がバレたら、この縁談がダメになってしまう。だから、もうお姉ちゃんとは会えない」というようなことを言って、涙、涙の別れになったんですけど。

 この、千遥のシーンも、僕の見どころは、千遥が家の中に入って来た時の場面なんですね。
(パネルを見せる)

nico_190707_01016.jpg【画像】千遥とポスター ©NHK

 「ちょっと待て!」と。「千遥のこの左側を見ろ!」と。「カメラさん、もうちょっと左! 左を見せて!」と。
 そう。またもや、『どうぶつ三国志』のポスターが、チラッと映っているではないですか。
(パネルを見せる)

nico_190707_01029.jpg【画像】どうぶつ三国志ポスター ©NHK

 「これを見ると、関羽は虎で、張飛はワニだということがわかるぞ!」と。「ああ、どんなアニメか知りたい知りたい! 早くこのアニメが見たい!」と(笑)。

「え?そこ?」(コメント)

 そこでしょう! それ以外はどうでもいいと思っちゃうんだけど、俺。
 それは、俺がサイコパスだからかもしれませんね(笑)。

 まあ、そんな悲劇のヒロインになっている千遥さんなんですけども。
 「彼女はここから先、どうなるのか?」と、まあ、どうでもいいと言いながらも、僕も気になっております。
 そこで、この先の展開予想として、本命、対抗、大穴、というのを考えてみました。

 本命というのは「たぶん、こうなるんじゃないかな?」という予想。
 それに対して対抗というのは「いや、ひょっとしたら、こっちをやるかもしれないぞ」という予想。
 大穴というのは、「まさかとは思うけど、こういう可能性もあるかもしれない」という予想。
 こういう3つの予想を考えてみたんですけど。

 本命は「名家にお嫁に行った後、夫や家族、生まれた自分の子供に、お姉ちゃんが作ったアニメを見せて自慢する」というもの。
 まあまあ、ありがちなハッピーエンドとしての終わり方ですね。

 それに対して、対抗の「いや、ひょっとしたらこっちもアリかな?」というのが、「ここから先、なつが会社の社会運動、労働運動、あと男女の格差問題とかに目覚めて運動を始めた結果、自分の妹の千遥に対しても、『自分で選んだ相手と結婚しなさい!』というふうに救い出す」というもの。
 まあ、ドラマとしては、こういうこともやるかもしれないということで、対抗です。

 で、大穴なんですけど。
 大穴は、「実はこの千遥の結婚相手はスカルノ大統領ではないか?」という、千遥=デヴィ夫人説ですね。
(パネルを見せる。千遥とデヴィ夫人の写真を並べた画像)

nico_190707_01231.jpg【画像】千遥とデヴィ夫人

 これ、時代的にピッタリ合うんですよ。おまけに、それくらいの相手だったら、これは戦災孤児であったことは内緒にしなければいけない。そして「もう二度とお姉ちゃんには会えない」と、彼女が言い出すのもわかる。僕的には全てが繋がるんですね。
 『なつぞら』のラストでは、この千遥役の女の子に変わって、デヴィ夫人本人が出てきて「わたくしのお姉ちゃんも~」って言ってくれたら、超面白いんだけど。「まあ、大穴狙いだよなあ」と思います(笑)。

「このかわいい女の子が、これになるのか」(コメント)

 まあまあ、それは『天空の城ラピュタ』で、若い頃にあんなに美少女だったドーラが、婆さんになった今、どんなに恐ろしくなったかというのを、僕らは散々見てるじゃないですか。
 『千と千尋の神隠し』の湯婆婆も、たぶん、若い頃メチャクチャ美少女だったんですよ。その末路を見ている我々にとっては、そういうラストも面白いなというふうに思います。

 ということで、また来週も『なつぞら』を語ろうと思います。
 とりあえず、7月8日からの週は、アニメの方にも大きく動きがあると思うので、ナンボでも語ることがあるでしょう。


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