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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『なつぞら』解説:アニメーターとしての、なつの致命的な弱点とは?」

2019/06/20 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/06/20

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/06/09配信「「南キャン山ちゃん結婚」『なつぞら』『進撃の巨人』など時事ネタ+アスペルガーを天才にする脳治療レポート!」の内容をご紹介します。
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2019/06/09の内容一覧


前説と今週の『なつぞら』

 今週のというか、先週の『なつぞら』。見どころは、6月5日水曜日、第57話での「主人公・なつを罵るマコさん」です。
 マコさんという先輩で入っていたアニメーターであり、すごいやり手の女の人が、なつの派手な服装を見て罵ります。
(パネルを見せる)

 「あんた、会社に男を探しに来てるの? いい加減にしなさいよ! チャラチャラした格好して!」ってなことで、まあ、この地味な服装のマコさんが、派手な服装のなつを叱るということがあったんですけども。

 このマコさんの怒りには原因があって。実は、当時の東映動画では、正社員と契約社員の差が本当に酷かったんですね。
 マコさんや、麒麟の川島さんがやってる下山くんというのは、当然、契約社員なんです。『なつぞら』に出てくる、キャラクターデザインとかをやっているアニメーターで一番偉い人も、正社員ではないんですね。
 契約社員だから、みんなノルマがあって、1日あたり15枚から30枚くらい描かなきゃいけない。それに対して、正社員にはノルマがないので、お喋りや休憩ばっかりして遊んでる。「1日5枚くらいしか描かない社員もいた」と言われています。
 同じく、仕上げの部署にも、やっぱり、そういった条件の差が出ていて。例えば、正社員待遇の人には、いわゆるお嬢様の花嫁修業のために来ているような人もいたわけですね。
 「そういうふうな人らがキャピキャピしている」というのが、6月4日の第56話で描かれています。
(パネルを見せる)

 こういうふうに、やっぱりノルマなしの正社員たちが、ついつい遊び半分で仕事をやってることが多かった。なので、マコさんはイライラしていたわけですね。

 ちなみに、なつの隣に座っているモモッチという女の子。現実には安田さんという人なんですけど。
 彼女が、後に高畑勲や宮崎駿と共に労働組合の運動へ参加することになり、その後、長編アニメの現場からちょっと離れちゃうのも、それが原因だと言われています。

 しかし、そんな意地悪に見えるマコさんも、アニメに関してはすごく熱くて、後輩の遠藤君に対して、こんなふうに語っています。
(パネルを見せる)

 「これよ! こういう演技が必要なのよ! この悲しみの顔が!」と。6月6日の第58話では、マコさんが遠藤君に対して熱く語っている様子を、相変わらず派手な服装のなつが見ているというシーンがありました。

 だけど、やっぱりこんなことを語っていても、正社員と契約社員の格差に嫌気が指してきたのか……あと、影響が大きかったのが、『白蛇伝』の後、東映動画というアニメ制作会社自体の主力が、徐々にCMアニメの方に移っていったんですよね。
 東映動画って、もともと「東洋のディズニー」を目指して作られた会社なんですけど、いざ蓋を開けて仕事を始めてみたら、当時のテレビCM業界から「アニメを作ってくれ! 作ってくれ!」と、ものすごい数の5秒10秒のショートアニメを作る仕事が来たんですね。
 で、こっちの方が、もう完全に儲かるわけですよ(笑)。
 なので、徐々に徐々に会社の主力が……人数としては、250人くらいスタッフがいる中で、その内の100人がCM班だから、主力は長編にあるような気もするんですけど、でも、稼ぎ頭はCMの方なので。徐々に、CMアニメの方に主力が移って行った、と。
 この辺も嫌気が指す原因になって、マコさんのモデルとなった現実のワコさんという人は、その後、手塚治虫が虫プロを設立する際に引き抜かれて、なつ達、東映動画のライバルになってしまうという展開になります。

 しかしまあ、現実のワコさんというのは、なつも敵わないほどのオシャレな美人で、おまけに結婚相手は広告代理店という、「お前、『なつぞら』で言ってることと全然違うよ!」っていうキャラクターなんですけどね(笑)。
 「そんなワコさんがどんな人だったのか?」というのを、例の『ブラック・ジャック創作秘話』の作者が、今度は手塚治虫のアニメ時代のことを描いたマンガ『TVアニメ創作秘話~手塚治虫とアニメを作った若者たち~』の中で、こんなふうに描いてます。
(パネルを見せる)

 これがワコさんですね。穴見和子さん。当時は中村和子さんですね。この「和子」を、みんなは「ワコ」と呼んでいた。彼女が『なつぞら』のマコさんのモデルです。
 これは、そんなワコさんが、大塚康生と話してるシーンです。大塚康生が「お前、最近、テレビで紙芝居をやってるそうだな」と悪口を言ってます。

 ここに「穴見和子は、東映の守衛が女優と間違えた程の美人でした」って書いてあるんですけど、そうなんですよね。本当に女優より美人で、おまけに、ありえないほどのカッコいいオシャレな格好で会社に来ていたそうです。

 なんか『なつぞら』で描いているのと、ちょっと逆なんですけども。

 その上、あんなに熱く熱く「これよ! アニメーションというのはこれなのよ! 遠藤君、あなたの動きには心がこもってないの!」とか言ってたワコさんは、現実には、大塚康生相手に「やたらと動かさないことがナウなんです」って(笑)。

 TVアニメの『鉄腕アトム』というのは、アニメの絵がほとんど動かずに止まっていて、それを大塚康生から「紙芝居」と揶揄されたんですけど。虫プロに引き抜かれた後のワコさんは、それに対して「やたら動かさないことがナウなんです」と反論するような女に成り果ててしまっているというか。
 ここら辺から、当時の東映と虫プロの憎み合いというか、対立というのが語られていて、面白いと思います。

 あとは、先週の『なつぞら』、6月8日の土曜日の放送、ついに60話で、後に宮崎駿の嫁となる大田朱美……役名では三村茜という名前になってますけども。宮崎駿の嫁さんが登場しました。

 宮崎駿というのは、奥さんの三村茜さんの、だいぶ後輩なんですね。「今、『なつぞら』で作ってる『白蛇伝』を、学生の頃に見て感動して東映に入った」という流れになってきますので。

 結局、なつは、アニメーターの採用に落ちてしまうんですね。この三村茜の方が通って、なつが落ちてしまう。
 落ちた理由として、「線が汚くて、絵として使えない」と言われるんですね。
 これ、なかなか普通の人にはわかりにくいんですけども、どういう意味かというと。実は、アニメーションにおいては、動画担当者が引く線というのが命なんですね。
 原画担当者というのは、ややラフな絵でもいいんですけども。「そういった原画担当が描いた線を綺麗にクリーンナップして、トレス出来るように仕上げる」というのが、動画担当者の大事な仕事でもあるんですよ。
 そして、アニメ制作業界では、当時も今も「動画担当からキャリアを始めて、原画担当に上がる」というルートがあるんです。なつも、いきなり原画採用とかだったら、あり得たかもわかんないですけども。当時は、いきなり原画採用というのがない。
 「まずは動画担当者として、ちゃんとした線が引けるようになってから原画担当になる」と、みんな思っていたので、なつの線が粗い絵というのは、決定的な弱点だったんですよ。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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