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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『風立ちぬ』解説:実は上から目線のイヤな奴、主人公二郎という人間」

2019/05/01 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/05/01

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/04/14配信「『風立ちぬ』作品内で宮崎駿がカミングアウト!「自分は、きれいな女の子がいたら必ずチラチラ見てしまうような男だ!」」の内容をご紹介します。
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2019/04/14の内容一覧


二郎の上から目線

 さて、下級生を助けるために河原に下りて行くと、いじめていた少年たちは、わけのわからないセリフを言います。しかも、超悪役顔です。
 もう1つのポイントは、やっぱり「悪い少年たちは誰1人、眼鏡をかけていない」っていうことですよね。
 それに対してですね、二郎少年は「下級生をいじめるのは良くない! 子供をいじめるな!」という正論を言うんですけど。
 彼らは、河原を見下ろしたカットの時には、別に普通の顔つきをしてるんですよ。そんな悪い顔はしてないんですけども。ただ、二郎の目に写ったカットになった瞬間に、メチャクチャ悪役顔になるんですね。
 つまり、これって「二郎には彼らがそう見えている」という意味なんですよ。

 ここで彼らが言うセリフには意味がありません。まったく日本語になってない。コンテにも、わざわざ「日本語にしないでください」と書いてあるんです。「なんをー! おわえ! じゃめってー!」みたいなセリフを言うんです。
 この意味をなさないセリフは、後に、陸軍や海軍の人たちと会社の偉い人が会議をするシーンでも同じです。
 ジブリアニメを「良いアニメ」として見ようとしている人には、「そんな上役とか軍人たちの意味のない言葉なんか退けて、堀越二郎は自分の意思を貫いたんだ!」みたいに捉えるんですけど、宮崎駿が描こうとしたのは、それじゃないんですよ。もしそうなら、『天空の城ラピュタ』の時の将軍たちのセリフのように、ハッキリ喋らせるはずなんです。

 ここで描こうとしているのは何かというと「堀越二郎は、自分より格下だと思っている者を人間だと思っていない」ということなんですよ。彼らの言葉は理解不能だし、理解する必要がない。だから、いきなり一本背負いを決めちゃうんですよね。

 もちろん、彼には正義感があって、行動力があって、運動神経がないだけなんですけども。同時に、すぐに他人を「自分より上か下か」と判断しちゃうところがあるんです。そして、自分が「値打ちがない」と決めた相手には、徹底的に冷たい。彼らが言っていることを端から聞こうともしない。会議とかでも、ただやり過ごすことだけを考えている。だから、彼らが言っている言葉が意味をなしていないわけですね。
 いじめっ子たちが悪役顔になっているのは、この二郎の見た風景のカットの時だけなんですね。その時にだけ、すごい悪者の顔になっている。これは「二郎にはそういうふうに見えちゃっている」ということなんです。

 この堀越二郎の上から目線というのは、本人の人生でも、最後の最後まで直りません。宮崎駿もそれに関して述べています。
 宮崎駿によると、実在の堀越二郎というのは、終戦後の晩年、大学で教えていた時も、声が小さくて評判の悪い教授だったそうです。「何を言っているのかわからない」と。
 国産初の民間機「YS-11」を開発する時も、尾翼の担当として呼ばれたんですけど、その時の担当者によると「堀越さんは自分が作った零戦の話しかしない。まったく新しい飛行機の開発とかをせずに、自分の昔話しかしない」という人だったそうです。この話を佐貫亦男さんという、航空技術者であり、航空ジャーナリストとして大変優秀な人が、取材して書いています。
 晩期の、人生の最後の方の堀越二郎というのは、ちょっとそういう人であったと。エリート意識が強くて自分を語らない。相手の言うことも聞かない。
 天才技術者として日本中から必要とされていた時代には、堀越二郎というのはすごく役に立つ人物だったんですけども、一旦、そのルートから離れてしまうと、世間に背を向けた孤独な老人という感じになっていたんじゃないかなと思います。
 宮崎駿が描こうとしたのは、そういうところも含めた堀越二郎なんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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