岡田斗司夫プレミアムブロマガ

岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『風立ちぬ』解説:オープニングの詩の引用に込められた深い意味」

2019/04/25 07:00 投稿

  • タグ:
  • 岡田斗司夫
  • オタキング
  • アニメ
  • SF
  • 評価経済
  • ガイナックス
  • オタク
  • マンガ
  • ダイエット
  • よしもと

岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/04/25

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/04/14配信「『風立ちぬ』作品内で宮崎駿がカミングアウト!「自分は、きれいな女の子がいたら必ずチラチラ見てしまうような男だ!」」の内容をご紹介します。
岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。
サイトにアクセスするためのパスワードは、メール末尾に記載しています(2018年12月1日より新サイトに移行しURLが変更されました。これに伴い、ログイン画面も変更されています。詳しくはメール末尾の注意事項をご覧ください)
(※ご注意:アーカイブサイトにアクセスするためには、この「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」、「岡田斗司夫の個人教授」、DMMオンラインサロン「岡田斗司夫ゼミ室」のいずれかの会員である必要があります。チャンネルに入会せずに過去のメルマガを単品購入されてもアーカイブサイトはご利用いただけませんのでご注意ください)

2019/04/14の内容一覧


風が起きた

 それでは、『風立ちぬ』完全解説その1ですね。
 これは「風立ちぬ」というタイトルが出てくるところなんですけど。この「風立ちぬ」という言葉の意味は、言うまでもなく、次に画面に表れるポール・ヴァレリーの詩の引用です。
(パネルを見せる)

 「風立ちぬ いざ生きめやも」と出てきます。ここで、宮崎駿は「ヴァレリーの詩の引用」というだけではなく、「堀辰雄という小説家の翻訳だ」ということを、わざわざ載せているんですね。
 「風立ちぬ いざ生きめやも」というのは、「風が起きた。それでも生きなければいけない」という意味なんですけど。これと同じ詩は、堀辰雄の小説『風立ちぬ』の「序曲」という部分に出てくるんです。
 「風立ちぬ いざ生きめやも」という言葉が含める全体の文章というのがあります。やや長いので、僕流にキュッと縮めて紹介します。


 風が起きて、描きかけの絵を載せたイーゼル(絵を立てる台)が倒れてしまった。
 私はお前に「離れるな。離れてくれるな」と言ってしがみついた。
 お前は私の好きにさせた。
 「風立ちぬそれでも生きなければ」ふと、そんな言葉が私の口から出てしまった。


 この序曲というのは、言うまでもなく、『風立ちぬ』という映画の全体像になっているんですね。
 堀辰雄の小説において、この「イーゼルが風で倒れる」というのは「やがて恋人である彼女が死んでしまう」という前兆なんです。そんな死んでしまう女の子に対して、「俺の元から離れないでくれ」と、腕を掴んで行かせないようにする男。女はそれをやりたいようにさせている。
 そして、そこで口から出てきたのが「そういうことがあっても、私はまだ生きなければいけない」という言葉だったという、そういう話なんですよ。

 つまり、この部分がわかっていると、映画の中盤、軽井沢の高原で風がビューっと吹いて、菜穂子が描いている絵のイーゼルがバタンと倒れるところで「ああ、この子は死ぬ運命にあるんだ」とわかる。
 そんなふうに、宮崎駿は作っているわけですね。

 これを、一番最初の数秒間で「はい、わかる人にはわかるでしょ?」というふうに出しているわけですよ。
 「風立ちぬ いざ生きめやも」という言葉だけ伝えたいんだったら「作詞:ポール・ヴァレリー」って書くだけでいいんですね。それをわざわざ「訳:堀辰雄」と書いているのは「これから始まるお話は、堀辰雄の『風立ちぬ』に沿って展開します」というサインだからなんです。

 まあ「そんなこと言われてもわからない」って思うよね? いつものことだよ。わからないと思うのが普通です。
 ところが、この『続・風の帰る場所』という本の234ページで、宮崎駿はついに本音でエゲツないことを言い出しているんです(笑)。


通じない人には何も通じない。もう本当に無教養ですからね! 歴史感覚なし! 何も知らない! 「ダメだ、こいつら」って。
もう本当に無知蒙昧、覚悟も教養もない!
なんでしょうねぇ、この教養のなさは。
宇宙戦艦とか怪獣ならわかりますみたいな。自分の頃はもっと努力したと思ったんだけどな。


 ……とかって言いながら、この後、思わずすぐに反省に入って、「いやしかし、よく考えたら僕の頃もみんな勉強してなかった。やってたのは高畑さんくらいでした」っていう変なオチが入るんですけども(笑)。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

アーカイブサイトへのアクセス方法

限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画など、岡田斗司夫のコンテンツを下記のアーカイブサイトからご覧いただけます。

 

ここから先は有料になります

ニコニコポイントで購入する

チャンネルに入会して購読する

  • この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

コメント

コメント不可の記事です。

いまブロマガで人気の記事

岡田斗司夫ゼミ・プレミアム

岡田斗司夫ゼミ・プレミアム

月額
¥2,200  (税込)
このチャンネルの詳細