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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『アナ雪』解説:実は「ダース・ベイダーの誕生」を描いている「Let It Go」の名シーン」

2019/02/22 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/22

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/01/27配信「『アナと雪の女王』“Let It Go”の意味から見えるヒットの秘密」の内容をご紹介します。
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2019/01/27の内容一覧


「ダース・ベイダーの誕生」を描いた『アナ雪』

 『アナ雪』の「Let It Go」で、「何も怖くない」と松たか子が歌っているところです。
(パネルを見せる)
 「I don’t care what they’re going to say(私は気にしないわ。彼らが何と言おうとも)」というシーン。
 ここで、エルサはマントを脱ぎ始めるんですね。
 そして、松たか子が「風よ吹け 少しも寒くないわ」と歌うところで、マントを脱ぐんですけども。
 英語版では「Let the storm rage on.The cold never bothered me anyway(嵐よもっと吹き荒れろ。私はもともと寒くなんかなかった)」って言うんですね。

 ちょっと思い出して欲しいんですけど、冒頭のシーンで、エルサはちゃんと寒くなっているんですよ。自分の両肩を抱えて。
 では、なぜ、ここで寒くなくなっちゃったのか? なんで、ここでマントを脱ぎ捨てることが出来るのかというと、氷を自由に操る能力を使い始めたから。人間をやめてしまったんですね。
 つまり、ここは「おれは人間をやめるぞ! ジョジョーーッ!!」という、例のあのシーンだと思ってください。
 人間社会の象徴であり、自分の立場の象徴であり、自分を後ろに引っ張っていく、重いマントというのを脱ぎ捨てるんですね。
 だから、もう本当に、すべてが演技なんですよ。人間社会の象徴であるマントを脱ぐと、それが風に飛ばされていく。エルサはそのマントを振り返って見もしないんです。

 冒頭、一番最初は、自分の足跡が消えていくことすら気になって、振り返っていたエルサが、自分がマントを脱いで、それが風に吹き飛ばされて行ったた時に、見もしない。
 手袋を捨てる時は、まだちょっと上を見てたんですよ。でも、マントになると、もうまったく見もしない。
 これが何を意味するかというと、「自分が捨てて行った人間の世界に、まったく未練がなくなっちゃった」ということを表現しています。

 本当に、この歌のシーンは、エルサの動作1つ1つに演技としての意味というのを探していくと、ものすごくわかりやすくなってきます。
 もう、自分の足跡を探したり、手袋を投げる時にも気にしていたエルサはもうどこにもいない。エルサは氷と雪のモンスターになりつつあるんですね。
 「Let the storm rage on.(嵐よ吹き荒れるがいい)」と言うですけども、「Let」ですから、この歌の後半では、自分からわりと積極的に吹雪を吹き荒れさせようという立場になっていきます。
 この時のエルサは「嵐を吹き荒れさせよ!」と言って、「雪山の下の国で何百人という人が凍死しているかも」なんてことは、まったく思い描いていません。
 ディズニーアニメですから、当然、人が死ぬシーンなんて描かないんですよ。しかし、人が死ぬシーンを描かないからといって、このアニメの中で人が死んでいないということはないんですね。
 こうやって、夏と冬のギリギリで暮らしているような国に、夏なのに雪がどんどん降ってくるというような状況が来たら、当たり前ですけど、凍死者も出たに決まってるんですよ。
 でも、そういう部分はまったく描かないので、想像力があまり働かせられないと、そこら辺がわからないように作ってるんですね。

 そろそろ前半が終わりますけども、『アナと雪の女王』というのは、実は「ダース・ベイダーの誕生」なんですよ。
 正義感が強く、人一倍フォースがあって、でも、何もかもに絶望しちゃったアナキン・スカイウォーカーは、ダース・ベイダーになった。それと引き換えに最強のフォース、最強の戦闘力を手に入れた。
 同じく、エルサも、魔法の力がが強くなると同時に、どんどん人間性を失っていく。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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