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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「【ナウシカ解説】オープニングから読み取れる世界の裏側」

2019/01/30 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/01/30

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/01/13配信「『ナニワ金融道』で学ぶ『風の谷のナウシカ』、『耳をすませば』でさぐる宮崎駿のすごさ」の内容をご紹介します。
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2019/01/13の内容一覧


オープニングから読み取れる世界の裏側

 じゃあ、『ナウシカ』のオープニングの始まり辺りから、ちょっと話をしたいんですけども。前回、説明した「アバンタイトル」の続きです。アバンタイトルというのは、アニメのオープニングタイトルの前の部分で展開される、ちょっとしたドラマ部分のことを言うんですけども。
 ユパが「また村が1つ腐海に沈んだ」と呟いたあと、「この世界の歴史はこういうふうになってますよ」という文言が表示されます。
 この後、オープニングが始まるわけですね。

 このオープニングっていうのは、「タララン、タンタン、タタタタン~♫」という音楽に合わせて、「そこまで何があったのか?」という、この世界が腐海に飲まれるまでの歴史を、タペストリーの形で見せてくれます。

 そのタペストリーというのが、有名なこれですね。
(パネルを見せる)
 これは、布の上に描かれた水彩画です。
 実はこれ、アニメ本編が完成した後で作られたんですね。宮崎さんが、自分のすべての作業が終わってから、水彩絵の具で描いていたそうです。

 『ナウシカ』のDVDのオーディオコメンタリーに、庵野秀明さんと片山さんとの対談が載っているんですけど。
 その中で、庵野くんが「これ、宮崎さんが自分で描いたの?」と聞いています。庵野くんは、自分の作業の分が終わったら、途中で大阪に戻ってしまったので知らなかったんですね。
 すると片山さんが、「自分の作業が全部終わってから、俺らが撮出しとかでヒイヒイ言ってる時に、一人一番楽しそうに、鼻歌を歌いながら描いてたよ」と言うんです。……まあ、そこまで憎々しげに言わなくてもと思うんですけど(笑)。

 この『風の谷のナウシカ』のオープニングというのが宮崎駿が楽しそうに描いていたという水彩画なんですけど。
 実はこれ、今言った通り「作業がすべて終わった後で描いたもの」なので、宮崎駿としては、アニメを全部作り終えた時点で振り返りながら描いているわけですね。
 ところが、絵コンテはそうではなくて、アニメを作る前に描いている。なので、完成品と絵コンテとの間には、微妙な差があるんです。

 これが、同じシーンの絵コンテです。
(パネルを見せる)
 まあ、同じようにも見えますね。ナウシカを象徴する風の谷の世界と、トルメキアを象徴とする曲がりくねった2つ頭の蛇がそれぞれ描かれているんですけど。でも、ちょっと違います。
 何が違うかというと、完成版では、トルメキアを象徴する蛇の2本の頭が、両側から「一本の剣」に向かって舌を出している。もしくは、炎を吐いている。こういう印に変更されているんですね。
 あんまり大した違いじゃないように見えるんですけど、これね、全然違うんですよ。

 実は、宮崎さんは、コンテ描いた時点では、この配置にするつもりだったんですけど、アニメを全部作り終わってタペストリーを描く段になった時に「このタペストリーの画面の、ナウシカとトルメキアの位置を逆転させたい」と言い出したんですね。
 どういうことかというと、風の谷を象徴する青い部分には、わかりやすく女の人が描いてあるから「これはナウシカを表している」ということが伝わるんですけど。このトルメキアを象徴する赤い部分については、元の配置では逆さになっているので、クシャナ王女を表す「剣」というのが伝わりにくい。だから、上下の位置を入れ替えて、剣を見やすくすることで「この映画はクシャナとナウシカの2人の話だ」という意味合いを強く出したかったわけですね。
 ところが、鈴木敏夫に「今更それは。そもそも『風の谷のナウシカ』という話なんだから、ナウシカに焦点を当てましょうよ」と言われて、渋々、元に戻したということが書いてあるんですけど。

 そうなんですよ。宮崎駿としては、本当は逆さまににしたかったんです。
 というのも、この『ナウシカ』という映画を作っているうちに、「これはナウシカの話であると同時に、クシャナの話でもある」ということに気付いたからなんです。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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