岡田斗司夫プレミアムブロマガ「冬休みに読みたいマンガ特集：島本和彦の傑作『逆境ナイン』、超リアル変身ヒーロー『ラストマン』、名作のトリビュート『ネオ寄生獣』」:岡田斗司夫プレミアムブロマガ: 岡田斗司夫ゼミ・プレミアム(岡田斗司夫)

岡田斗司夫プレミアムブロマガ　2019/01/01

明けましておめでとうございます！　岡田斗司夫です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は、過去記事から「冬休みに読みたいマンガ」の特集をお届けします
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お勧め記事一覧

繊細でクレバーな島本和彦の『逆境ナイン』

【全文を読む】

　今回取り上げるのはこれです。島本和彦先生『逆境ナイン』ですね。
　すごくいいですよ。これ（笑）。
　あのね、『逆境ナイン』は島本和彦先生自身も自分の一番の作品と言ってるんだよね。
　今はもちろん『アオイホノオ』と言ってるし、あとは、人によっては『燃えよペン』『吠えろペン』がものすごく好きな人がいるんだけども、僕が思うにやっぱり島本和彦の魅力・面白さがすべて入ったマンガっていうのは『逆境ナイン』です。

逆境ナイン 1

（中略）

　島本和彦ってちょっと見には、絵、見たら、元気、ヤンキー、力押しに見えるんだけど、じつはすごい繊細でクレバーな作家なんだよな。論理性をすごい大事にする男。
　だから、そんなことが出来るはずがないのに『無謀キャプテン』というのを始めた。で、『無謀キャプテン』ていうのは第1話、墓穴を掘る男で、すごいよ、さっきと同じように主人公が登場する時に「もう、おわかりであろう。この男こそ、僕たちの主人公」みたいのがあるんだけども、こいつは墓、墓穴を掘るんだ。
　つまり、自分で自分を逆境に追い込んじゃうんだ。
　『逆境ナイン』というのは逆境が向こうからきて、それを乗り越える話なんだけども、『無謀キャプテン』ていうのは自分から無理な、無謀なことをしてすごく苦しむっていう。
　今考えたら、おいおい島本、やめとけと。なんで誰も止めなかった、なんだけども。
　もう第1話の僕の一番好きな台詞は、もうここだよね。
　「自分の墓穴」
　これね、友達にいうんだよ。「自分の墓穴くらい、自分で掘れなくてどうする。自分で掘るのが怖いのか。いったい誰に掘ってもらうつもりだ」っていうことで、もう墓穴を掘ることが当たり前になったんだけども、墓穴を掘るというのはやっちゃいけない意味で使うんであって、「俺だ、俺は数限りなく自らの墓穴を掘り、そしてそれを飛び越えてきた」っていう（笑）。
　最初から掘らなきゃいいんだよっていう（笑）。

無謀キャプテン 1

鳥人間とセックスしてウンチを漏らす江川達也『ラストマン』

【全文を読む】

　4巻から『ラストマン』って、江川達也が一番調子が良かった時代、いわゆる『東京大学物語』がドラマ化されてすごい仕事がいっぱいきて、何でも描いていいようになったというときに、描いたスーパーヒーローものなんだ。

（中略）

　『ラストマン』の話なんだけども、『ラストマン』はその江川達也が『仮面ライダー』を映像で、自分でちゃんとやりたいと。ちゃんとやるっていうのはなにかっていうと、ライダージャンプとかライダーキックっていう破壊力っていうのは「俺はアニメでっていうか、ドラマで見た破壊力っていうのがほんとにあると思ってる」って。「仮面ライダーがキックしたら、ショッカーの怪人が死ぬくらいすごい、爆発するくらいすごいんだ」と。
　じゃぁ、そのショッカーの怪人を一撃で殺すようなライダーキックっていうのをやるためには、ライダーキックの力っていうのは高い所にジャンプして飛び降りてくるときの、重力加速度しか、つまりライダーの体重×重力加速度しか力がないわけだ。
　ということは、どれくらいの高さに飛びたたなきゃいけないのか、考えたら、おそらく数十メートルから数百メートルだろうと、数十メートルから数百メートルまで飛べるような人間って考えたら、あのデザインでは無理だろうということで、なんかその、江川達也が考えた『ラストマン』っていう『仮面ライダー』みたいなものなんだけど、昆虫型っていうか、完全に筋肉が昆虫になってるんだよな。
　そういうふうにして怪人を作り出したら、ショッカー側の怪人、ショッカーも『ラブ&ピース』っていう、渋谷にある団体なんだけども、その怪人というのもこういうのを考えるわけだよ、見ても良くわからないんだけども、じつはこれ、セックスしてるんだよね。
　ラストマンっていうのは、何が地球上の最後になるのか、どの怪物が、人間を含めたいろんな生物が、どの生物が地球上の最後の1匹になるかの戦いなんだ。
　この鳥型の、裏表紙を見ると正体がわかってこういうふうになってるわけだよな、鳥型の怪物で、女の子をバックから犯してるんだけどさ、こいつはこいつで自分の遺伝子だけを残そうとして、優秀な女の子を全部はらませるというのをやってんだ。
　この4巻5巻6巻っていう、この6巻がラストマンのこの時の形態だね。
　江川達也が考える、昆虫の力を利用したライダーっていうのは、ここまでのデザインじゃなきゃほんとじゃないだろうというふうに考えてるんだよね。

ラストマン 1

お勧めマンガ『ネオ寄生獣』の嬉しさ

【全文を読む】

　『ネオ寄生獣』っていうのは『寄生獣』っていうマンガ、岩明均さんの描いた、これをいろんな少女マンガ家たちが描いたトリビュートっていうのかな、まぁ続編というか、やつですね。
　だからあの、『デビルマン』のネオ版ありますよね。
　『デビルマン』のネオ版はそうそうたるマンガ家が、誰もが知ってるような超有名なマンガ家が『デビルマン』の続編を書く、誰もが知ってる『デビルマン』の意外な続編って書くんですけども。
　これが面白い、『ネオ寄生獣』が面白いのは、マンガ家自身が誰もが知ってる大御所ではないところなんですよね。少女マンガ家のですね。

（中略）

　遠山えまさんっていう人ですね。「危ない放課後」っていうタイトルのやつなんですけども。
　ここから始まるんですよ。どーんと。
　これ、『寄生獣』の3巻か4巻あたりの、島田事件のはじまりですね。
　「やあ泉君だね」「貴様は」ってなふうなことで。
　そう、似てるんですよ。あの、岩明均の絵にすごい模写のレベルで似てるんですね。
　この下のほうでびっくりしてる女の子が、この島田事件の中核となる、女の子ですね。
　警視庁で、モンタージュのイラストを描いてる捜査官がいるんですけど、彼の妹っていう設定なんですね。
　これが本編の中では、島田が、最初に変身して襲われる。
　まぁ死ななかったんですけど、女の子になったんですけども。
　「うちのクラスに転校してきた能面男こと島田秀雄」「あの獲物を狙う目つき。これはもしかして」って言ったら次で、バーン！
　「マジでガチでホモかもしれないわ」っていうところから始まって、ミギーがこっちでBLっていう形になってるんですね。
　で、ミギ子っていう名前で、これページ全般を映してくれればわかるんですけども、これだけで丸々1話やってるっていう。
　すごいですよ。
　こっちは思いつかなかったっていうことでですね。

（続きはアーカイブサイトでご覧ください）