岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/09

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/10/14配信「Googleに就職するとは、どういうことか?Googleがほしい人材とは何か?」の内容をご紹介します。
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2018/10/14の内容一覧


スクールバスの中にゴルフボールはいくつ入る?

 そんなGoogleに入社するために、もう1つよく出てくる採用試験の問題というのが、この「スクールバス問題」です。
 「スクールバスの中にぎっちりゴルフボールを詰めると、何個入るでしょうか?」という問題ですね。

 さっきの「ミキサー問題」は論理的思考を試す問題だったんですよ。
 それに対して、このスクールバス問題というのは違います。単純な算数の問題です。
 「そんなのわからない!」と思考停止したり、「ああ、こうですね」と答え始めても、途中で言葉が詰まっちゃうとダメ、という問題なんです。これも、ずーっと考えながら話さなきゃいけないんですよね。

 これはいわゆる「フェルミ推論」なんですよ。
 一見すると、絶対にわかるはずのないような問いに対して「この範囲からこの範囲じゃないのかな?」と答えるという問題です。

 例えば、有名なフェルミ推論に「世界中にサッカーボールが何個ありますか?」というのがあります。
 「そんなもんわかるはずがない!」と思うんですけども。よくよく考えれば「世界人口は70億だから、まあ、70億以上はないだろう」とわかる。
 次に、「サッカーボールって、何人に1人が持ってるの?」って考えたら「子供の数の4分の1くらいじゃない?」と予測できる。
 「じゃあ、70億人の人口の子供の数って、どれくらいなの? いや、サッカーボールを持っているようなヤツだから、子供と言っても14歳から下かな?」と考えて行って、最初の70億という数から切って行くと、最終的には「何億から何億の間くらい」というのがわかるんですね。

 この「何億から何億の間くらい」と考えるのがフェルミ推論です。
 つまり、まったくわからないところから、条件を限定していくことで、答えを絞っていくわけですね。
 この他にも「日本中に電信柱が何本あるのか?」とか、「ニューヨークにピアノ調律師は何人いるのか?」とか、そういう答えを出す時によく使われるんですけど。
 で、実際に調べてみたら……ニューヨークの調律師なんて調べられますよね? フェルミ推論っていうのは、もちろん、数字の扱い方のセンスにも依るんですけど、そんなに外れないんですよね。

 フェルミ推論の場合「一桁しか外れてなかったら、もう合格!」って考えるんですよ。
 例えば、フェルミ推論で出した数が10万個だったら「うーん、じゃあ、1万から100万の間だったら正解じゃないの?」と。
 これが、フェルミ推論の考え方です。

 スクールバスというのは、だいたい高さも幅も3メートルくらい。長さについては、勝手に計算しやすいように10メートルと考えると、バスの体積自体は3×3×10で、90立方メートルです。
 この90立方メートルの中にゴルフボールを詰めるわけですけど、これはあくまでもバスの体積であって、バスは床から下にはエンジンとかギアが詰まっていたり、座席があったり運転席があったり、つり革があったり、いろんな物がある。だから、体積いっぱいには物は詰まらないだろう、と。
 僕が考える場合は「こんなもん、計算しやすいように半分でいいや」と。バスの体積が90立方メートルなんだから、そのバスの中にゴルフボールが入る部分というのは、これの半分で45立方メートルくらいとします。
 「45立方メートル」といっても、後でゴルフボールで計算することになるから、「立方センチ」に換算しておいた方がいいですよね。
 立方メートルと立方センチは、100×100×100で考えるから、100万倍。つまり、4500万立方センチというのが、バスの中に詰め込める容積だと考える。
 ここまでは、まあ、算数ですよね。

 次に、ゴルフボールの1つの体積です。
 ゴルフボールの直径って、正確には知りませんけど、4センチか5センチくらいじゃないですか? これもフェルミ推論だから「検討」だけでいいんですよ。
 ボール1個の体積というのは「3分の4πrの3乗」なので、まあ、半径2.5センチの3分の4πrの3乗を電卓で計算して「63立方センチ」です。
 まあ、実際には、このボールの大きさについても、フェルミ推論ですから「まあ、40立方センチ以上で、80以下じゃないだろうか?」と考えるわけです。

 そして、さっきの4500万立方センチを、63立方センチで割ると「71万個くらい入る」ということになります。
 ここに、ちょっとばかしスパイスを効かせるとしたら「空間充填率」を考えるんですよ。空間充填率というのは何かというと、球形のものを入れると、どうしても隙間が空いちゃいますよね。
(パネルを見せる)
 こんなふうに、ギッチリ入らずに、何割かしか入らないんです。
 この空間充填率というのは、覚えても損がないので覚えてるんですけども、球の場合の空間充填率は大体「7割」です。真四角のものじゃなく、球形のものを詰めるとですね、7割位しか詰まらない。
 71万4285個の7割くらいだから、だいたい50万個くらいになります。

 つまり、この「スクールバスの中にゴルフボールは何個入るのか?」という問題の答えは「だいたい50万個」となります。
 「これを口に出しながら考える」というのが、有名なGoogleの試験なんですけど。
 実際に、もっと綿密に計算しても、60万個という数字になることもあるし、45万個という数字になることもあるので、「ほぼ50万個」というのは、そんなにズレてないんですよね。

 これがGoogleの入社試験なんですけど。
 しかし、ビル・ゲイツ、マイクロソフトの入試は、これとは違うんですよ。
(パネルを見せる)
 最初に説明した通り、この「富士山を動かすには?」というのが、有名なマイクロソフト社の入社試験の問題なんですけど。もちろん、今はもう使ってないとは思いますけどね。

 この問題、さっきの問題と何が違うのかというと、例えば、最初に紹介した答えよりも、もっと「とんち」な回答があるわけですよ。
 どんな山にも「標石」という、山のてっぺんを表す石があります。これ自体を動かしちゃえば、山は動いたことになるわけです。だって、国土地理院の定義によれば「山のてっぺんにある石が山のシンボル」なんだから、これを動かせばいいじゃん、と。
 あとは、富士山の隣にある山を「富士山」と改名しちゃえばいいよ、と。そうすれば地図上での位置は変わるでしょ、と。
 そんなとんちもあるんですけど、これではダメなんですよ。

 最初に言った通り、この問題には唯一の正解があるんです。

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