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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「アニメにおける、「作画」と「演技」の差とは?」

2018/11/10 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/10

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2013/05/20配信「岡田、ハルヒ観たってよ~『涼宮ハルヒの憂鬱』から『エンドレスエイト』まで~」の内容をご紹介します。
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2013/05/20の内容一覧


作画と演技の差、動きはいいけど演技はイマイチ

 はい、では作画です。
 『涼宮ハルヒの憂鬱』の作画レベルはものすごく高いです。ただ演技レベルは低いです。みなさんたぶん、作画と演技をわけて考えてないと思うんですね。『ハルヒ』の作画がすごいとか神っていう意見もよく聞きますし、読みますし、僕も見たんです。で、見たらたしかに動きはすごくいいんですけども、演技はあまりよくないです。
 じゃ、動きと演技の差はなにかって言うと、これ、なんでしょうね、僕、実写版の『宇宙戦艦ヤマト』をかなり期待して見たんですけども、やっぱりもうがっかりしちゃったんですよね。ちょっと関係ない話になるんですけど。
 それはなにかって言うと、宇宙戦艦のブリッジのなかの演技が単調なんですよ。
 ブリッジのなかに人がいますよね。そうすると、ミサイルが来たら「ミサイル接近します!」っていうふうに怒鳴るんですよ。怒鳴っちゃダメだろうと。そこは違うよって思うんですけども、日本の俳優さんの演技は全員、ド下手なんですよ。すごく下手と、下手と、ちょっとうまいやつがいるんですね。
 で、山崎努なんかは「すごくうまい」んです。だから、沖田艦長を山崎努にやらせるのはいいはいいんですけど、沖田艦長っていうのはさっきの話で言うと、演技の幅が作れない人だから、山崎努なんか持ってきてもしょうがないんですね。山崎努がどれぐらい演技がうまいか、『マルサの女』っていうやつをDVDで見てください。とてつもなくすごい、奥行きと表現力と、解釈の多様性を持った演技をできます。

 で、動きと演技の差です。
 この「ミサイル接近します!」これが動きなんです。ミサイルが接近しているっていうのを、バカにでもわかるように見せるのが動きです。動きは見るもので、演技は読むものです。演技はその通りのことをしていないから、見てる人間が解釈して読む必要があるんですね。動きっていうのは解釈の必要がないです。「ミサイル接近します!」って怒鳴ったら、だれが見てもパニクってるのがわかると。
 しかしこれを演技でやったら、「ミサイル接近します」っていうふうにつぶやくかもわかんないし、「ミサイル」まででやめなきゃいけないかもわからない。それは見ている人が緊迫感を読み取らなきゃいけないから、すごく難しくなっちゃうんですね。
 で、『HUNTER×HUNTER』というマンガのなかで、かなり後半のほうなんですけれど、自分の大好きな師匠だった人を殺されて、ゴンが、ゴンという主人公が行く時に、キルアっていう友達が「待て」って言うんですね。
 そしたらゴンがキルアに対して「キルアはいいよね、関係ないから」っていうふうに言い放つ、その時にゴンの顔は見せないんですね。後ろの顔しか見せなくて、次にキルアが歯を食いしばってる顔っていうのを描くんですけども、そんな強い描き方しないんですね。
 これが見せるだったら、つまり動きだったら、歯をぐっと食いしばる演技を見せるんですよ。
 で、次に食いしばった口を見せるはずなんですけれども、作者がやってるのはキルアの普通の顔を書いて、口の端だけのクローズアップを描くんですね。そうすると、口の端にやや影が入っていると。
 これで、キルアがくやしくて歯を噛み締めてるのかもしれないっていう、読み取りの演技の幅が出てくるわけですね。絵としてはあきらかにくやしそうな顔をしてないんだけども、見てる人間がくやしそうだっていうふうに解釈してしまう。これを演技を読むといいます。
 これは、スタニスラフスキーシステムとかいろんなその、旧ソ連で開発された映画の見せ方の技法とかいろいろあるんですけれども、基本的に映像作品ていうのは見せるっていうのは簡単だけども、演技を読ませるっていうのはなかなか難しいんですね。
 『ハルヒ』は話数もなかなかあるから、本来、読ませることっていうのは、演技読ませることはできたんですけども、やっぱり動きを見せるほうに安直に動きすぎちゃったんですね。だから、そこらへんで僕は『ハルヒ』の動きはすごくいいんだけれども、演技はイマイチ、というふうに考えてます。

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