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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「「萌え文法」を確立したアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』」

2018/11/03 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/03

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2013/05/20配信「岡田、ハルヒ観たってよ~『涼宮ハルヒの憂鬱』から『エンドレスエイト』まで~」の内容をご紹介します。
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2013/05/20の内容一覧


アニメとしての『ハルヒ』と「萌え演技の文法」

 では、内容について語ります。
 アニメとしての『ハルヒ』をまず語りますね。
 なにを語るのかって言うと、アニメとしての『ハルヒ』と作品としての『ハルヒ』とSFとしての『ハルヒ』、この三つを語ります。

 では、アニメとしての『ハルヒ』です。
 萌えアニメの作画とか動きの文法化、つまり萌えるときに『ハルヒ』以前ではなんか「きゃ〜ん」とか、これしかなかったわけですよ。よくよく思い出してみると。
 で、ところが『ハルヒ』でこういう「きゃ〜ん」は相変わらず、みくるさんとかであるはあるんですけども、いろんな「きゃ〜ん」みたいなものが出てきたので、すごく進化してます。
 萌えアニメの作画とか動きの文法化ではたぶん、これがトップじゃないのかなと思います。それはいろんな文法の作り方があるんですね、たとえば宮崎アニメではリアルに見せるっていう文法を使っています。
 で、出崎演出──いわゆる昔の『エースを狙え』とか『あしたのジョー』を作ったアニメの監督さん、さっきの『ガンバの冒険』もそうなんですけど──その人は歌舞伎、歌舞伎映像っていうか、ものすごく傾(かぶ)いている映像を出すんですね。たとえば止め絵で、ものすごくバシンと止めるとかにあるんです、そういう傾いている映像演出では文法を作った人です。
 『エヴァンゲリオン』っていうのはケレン味、もうほんとにロングで、引いた絵で見せるとか、寄った時に眼の眼球のアップまで寄るというようなケレン味ある映像っていうのを見せました。
 こういうふうな意味で、宮崎アニメっていうのはリアル文法、出崎アニメっていうのは歌舞伎文法、『エヴァ』っていうのはケレン味文法、これ、一般的なアニメ用語じゃないです。今僕が、『ハルヒ』を説明するために作ってる言葉ですけど、を作ったのに対して、『ハルヒ』はここでようやっと、萌え文法っていうのを確立したんですね。
 それまでは基本的にかわいいっていうふうな時にはこういうふうにやるんだよっていう記号を集大成して、アニメのなかで萌えっていうのは作画的にこういうふうにすればいいんだっていう文法を作りました。
 これがやたら高いので、動きもこまかいので、こっから先のアニメはえらい苦労することになります。それまでの美少女アニメっていうのはなんだかんだ言って、止めシーンに気合込めてたら、日常の演技の動きとかそんなに枚数使わなくてもよかったのが、『ハルヒ』以降は『ハルヒ』と比べられちゃうもんだから、どんどんどんどんアニメを作るのが大変になっていくようになりますよね。

 で、さっき『セーラームーン』を僕が例で出してきたのはなにかっていうと、『ハルヒ』の動きの面白さっていうのは『セーラームーン』の変身シーン、『セーラームーン』って日常シーンは手抜きの動きなんですけども、変身シーンだけやたら動きがいいんですよ。やたらかっこいいんです。
 その変身シーン、『セーラームーン』の変身シーンが日常シーンになったみたいなのが、『ハルヒ』なんですね。
 だから、溜めの演技と日常との融合っていうのをやってるところが、萌え演技の文法を作ったというふうに僕が思ってるところです。
 だから、さっきコメント欄で「じゃあ『まどマギ』はどうなんですか」って聞かれたんですけれど、『まどマギ』は『エヴァ』のケレン味の映像っていうのを日常の演技に落としこんできたものなんです。だから『まどマギ』っていうのは『エヴァ』っていう特殊兵器があって、そのなかでものすごい極端な、ケレン味のある逆光の映像とかを日常シーンに落としこんできたものだとすれば、『まどマギ』っていうのは『セーラームーン』なんかの変身シーンの、いつまでも見てられる動きの美しさとかドッキリするセクシーな感じとかを日常の演技にまで落としてきたものなんですよ。

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