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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「生まれるのが早すぎた!ロケットの基礎を作り上げた悲劇の天才達」

2018/10/13 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/10/13

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/09/30配信「白い悪魔“フォンブラウン” 対 赤い彗星“コロリョフ” 未来をかけた宇宙開発戦争の裏側」の内容をご紹介します。
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2018/09/30の内容一覧


ヴェルヌとウェルズの後継者たち

 さて、ウェルズとヴェルヌがこんな不毛な喧嘩をしているちょうど同時期。ロシアの奥地にツォルコフスキーという中学校の先生がいました。
 耳が悪い、というか、もうほぼ耳が聞こえない中学校の先生だった、このツォルコフスキーは、ジュール・ヴェルヌから影響を受けて『反作用利用装置による宇宙探検』という論文を書きました。
 「反作用利用装置」というのはロケットのことですね。つまり「ロケットによる宇宙探検」です。
 彼がこれを書いたのが1903年。ライト兄弟がキティホークで飛行機を飛ばしたのと同じ年です。

 この論文に書いているのは「多段式ロケット」なんですよ。
(パネルを見せる)
 レールの上を走っている図がありますが、一段目、二段目、三段目と加速していく形で人工衛星を空に飛ばすという内容なんです。
 ツォルコフスキーというのは、ものすごい貧乏で、死ぬまで恵まれなかった人なんですけど、人工衛星や多段式ロケット、軌道エレベーターなんかも、1903年の段階で、すべて彼が考えていたんです。
 つまり、「現代の僕らは、このツォルコフスキーが考えたことを、ようやっと現実化している」ということなんです。
 そんな原理を考案してくれたのがツォルコフスキーです。

 ソ連でツォルコフスキーが論文を書いていた頃、一方、アメリカではH・G・ウェルズの小説を読んでメチャクチャ感激したゴダードという男がいました。
 この相関図には、ゴダードの名前の横に「人間不信」と書いているんですけど、そうなんですよ。やっぱり彼も大学の先生をしていたんですけども。
 そんな人間不信のゴダードが、1926年、初の「液体燃料ロケット」を作りました。

 これが、有名なその写真なんですけど。
(パネルを見せる。液体燃料ロケットの横にゴダードが立っている写真)
 実際に空を飛ぶロケットは、この大きな装置の一番上の部分だと思ってください。装置の下部には燃料タンクがあって、上にはロケットモーターがある。つまり、下から上へ燃料を送ってるんですよ。この細い針金の真ん中辺の部分だけがロケットなんです。
 彼は、初の液体燃料ロケットの打ち上げに成功しました。
 この写真自体は、ゴダードの家の近所に住んでいたエフィおばさんの農場で撮影されたものです。

 ゴダード自身は人間嫌いで、ほとんど誰とも喋らずに1人で研究してたものだから、なかなか援助してくれる人が現れなかったんですよ。
 ところが、この農場で撮影された写真がきっかけとなり、大西洋を単独飛行で横断した英雄であるチャールズ・リンドバーグが、彼に援助を申し込んできたんです。それで、ゴダードは大喜びしたんですけど。
 ただ、運が悪いことに、このチャールズ・リンドバーグというのは、ゴダードに輪をかけて人間嫌いだったんですよ。そんな人間嫌いの2人同士だったもんだから、話もあんまり進まなかったんですけども(笑)。

 しかし、とりあえず援助だけはもらったゴダードは、新しい研究所を建てることに成功しました。
 その新しい研究所の場所というのが、ニューメキシコ州の「ロズウェル」なんですよ。これ「本当かよ?」ってくらい、うまくできた話なんですけど。

 ニューメキシコ州のロズウェルの研究所で、ゴダードが何を始めたのかというと「リニアモーターカー」の研究を始めたらしいんですよね。
 ツォルコフスキーにしても、ゴダードにしても、とにかく早すぎるんですよ。時代を先取りし過ぎている(笑)。
 しかし、そんな時代の先を行き過ぎたゴダードは、真面目な話、結局は誰にも理解されることはありませんでした。
 この世界で初めての液体ロケットにしても、当時のアメリカ陸軍なんかはまったく価値を見いだせずに「飛行機を飛ばす時の補助エンジンとして使えるかな?」と言って研究費をちょっと渡したくらいで、そのまま死んでしまいます。
 ツォルコフスキーもゴダードも、死んだ後で「あいつら、すごかったんだな」と言われたんですよね。

 さて、このゴダードの研究とまったく同時期のドイツでは、ヘルマン・オーベルトという男が現れました。
 はい、今度は名前の横に「頑固」と書いてあります(笑)。

 もうね、この初期のロケット開発を担った人たちが、なぜうまく行かなかったのかというと、まず、シンプルに長老であるウェルズとヴェルヌが喧嘩しているということ。
 そして、その弟子筋のツォルコフスキーは、耳が悪くて他人と会話が出来ず、ゴダードは人間不信だったからなんです。そんな彼にリンドバーグは「頑張れ!」って言ってくれてるんだけど、リンドバーグ自身も人間不信です(笑)。

 さて、その次に出てくるドイツのヘルマン・オーベルトは、超がつくほどの頑固者で、他の人間と話が出来ないような人なんです。なので、なかなか大規模な研究ができませんでした。
 彼は、「納屋を改造して、たった1人で錬金術みたいな怪しげな実験を繰り返し、発明品を作る」という、いわゆる18世紀、19世紀型の研究者なんですね。当時の天才とか発明家というのは、そういう人ばっかりだったんですけど。
 実は、ここまでのロケット開発者というのは全員そうだったんですよ。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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