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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「オンエア中にフィルム納品!?悪夢の制作状況だった手塚治虫の『バンダーブック』」

2018/09/12 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/09/12

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/08/26配信「ジブリ「本当の」都市伝説」の内容をご紹介します。
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2018/08/26の内容一覧

全部リテイク!

 (24時間テレビのスペシャルアニメ『バンダーブック』は)そうやって、ようやく少しずつ製作は進み始めます。
 コンテが出来て、原画が上がって、動画が上がって、仕上げに回されて色が塗られ、背景が作られて、撮影され、やっと試写の段階までこぎつけます。

 これが、試写のシーンですね。
(パネルを見せる)
 初めて試写を見るこの新人社員は「すげえ! ちゃんと動いてる!」と喜んでるんですけども。
 手塚治虫が言った言葉は「リテイク(やり直し)!」なんですよね。

 もう、とにかく、上がってきたアニメの出来が気に食わなくて、出来たカット、出来たカット、リテイクを掛けるんです。
 自分で描いた原画や動画はともかく、「撮影のタイミングが合ってない」とか、「背景を引っ張る速度や、角度が違う」というようなことで、手塚治虫はほとんどのカットにリテイクを出していくんですね。
 「これで大丈夫」と言われた時、一瞬安心したんだけど、やっぱり、手塚治虫が担当するとダメだった。それでも、なんとか上がってきたものに、頼み込んで色を塗って撮影してもらったら、次は上がったフィルムに対して、手塚治虫がダメを出す。
 でも、手塚治虫が監督でありプロデューサーだから、そう言われたらリテイクするしかないんですよね。

 ということで、ここから先は、終わりのないリテイク地獄が始まります。
 そんな中、制作担当がキレて、「先生! これのどこが悪いんですか! このシーンのどこがダメなんですか!」と追い詰めると、「ブラックジャックはこんなふうに歩かないんですよ」と言われる(笑)。
 もう、ここでブチギレてもしょうがないから、みんな黙々と作業をするんです。
 ここでキレた制作担当に対して、先輩が「もういいんだよ、清水君」と言ってるんですけど、この「いいんだよ」という言葉はどういう意味かというと、「ここで文句を言って先生の時間を取るよりは、とにかく前に進めるしかない」ということなんです。
 もう、手塚先生が「作者」なんだから。ブラックジャックというキャラクターを考えた本人なんだから、ゲストキャラとして登場するブラックジャックの作画について「こんなふうに歩かない」と言われたら、従うしかないんですね。

 その結果、なんと、奇跡的なことに、『バンダーブック』はオンエアされることになりました。
 まあ、「オンエアされた」と言っても、ギリギリの状況だったんですけども。

 当時のアニメーションというのは「フィルム」に現像されていました。2時間分のアニメだから、35ミリフィルムにすると、10巻くらいの束になると思うんですけど。
 どれくらいギリギリだったかと言うと、「1巻目をロールにかけて映写している時に、まだ最後の巻が納品されてなかった」と伝えられています。
 つまり、テレビ局でのアニメ放送が始まっているのに、最後のリールは、まだ現像所で現像して乾かしているような状態だったんです。だけど、アニメは作られました。本当にすごいです。
 よく、アニメ界の伝説として「放送当日にギリギリ間に合った」という話があるんですけど、それどころの騒ぎじゃないんですね。「1巻目を放送している時に、最終巻が出来上がった」んですから、もう日本のアニメ放送史上、空前絶後の事態です。

 ところが、そんなアニメだったにもかかわらず、『バンダーブック』の視聴率は、24時間テレビの中でトップの28%を取っちゃうんですよね。
 日本テレビの24時間テレビ『愛は地球を救う』の第1回放送なんですよ? だから、24時間テレビの中の他の番組も、軒並み視聴率が良かったんですけど。その中でも、ぶっちぎりの1位を『バンダーブック』が取ってしまったんです。
 なので、その後も、延々と手塚治虫のアニメが作られることになってしまいました。「アニメ地獄」というのが、ずーっと続くことになったんですね。
 この後も、何回もスペシャルアニメをやって、その度に、視聴率的には大成功したんですよ。でも、ギリギリの進行は相変わらずです。

 しかし、実際に放映された『バンダーブック』を見た手塚先生が何と言ったか?
 「全部、リテイクです」というふうに言い放ったんです(笑)。
 で、本当に全部リテイクしたんですよ。
 『バンダーブック』のリテイクって、必要ないんですよ。だって、日テレの『愛は地球を救う』のために作ったアニメなんだから、その日にしかオンエアする予定はないんですよね。当時はビデオ化とか、そういう話も全然なかったので、まったく無駄なんですよ。
 ただ、24時間テレビというのは、日テレ系列で日本全国同時生放送のはずだったんですけども、地方局によっては「この時間はダメだ」というようなものが、いくつかあったんです。なので、2ヶ月後とか3ヶ月後、地方局でのみ、細々とリテイクされた『バンダーブック』がオンエアされたんですけど。
 もちろん、後年、『バンダーブック』というのは、ちゃんとDVDにもなったんですけどね。

 この「全部リテイクです」と言う、手塚治虫の鬼気迫る勢いは何かというと、やっぱり「アニメを作りたかったから」なんでしょうけども。
 その他にも、ぶっちぎりで28%の視聴率を取ったことで、「やっぱり俺のやり方は間違ってなかったんだ! みんなからは反対されて、いろいろ言われたんだけど、こだわってこだわって作って良かった!」という手塚治虫の叫びもあると思うんですよね。

 だからといって、「『バンダーブック』というのは全部リテイクしたから、すごいんだろうな」と思って、DVDを借りて見たりしないでください。
 手塚治虫の24時間テレビのスペシャルアニメというのは、正直言って、あまりまともな作品がないんですよね。
 そもそも、視聴率が良かったのは、当時はアニメブームの頂点みたいな時代だったからなんですよ。だって、この1978年というのは、『機動戦士ガンダム』のオンエアの前の年なんですよ? 無料のテレビで、それも1時間半もある劇場アニメが見られると言われたら、それはもう、みんな見るに決まってるんですね。
 だから視聴率が良かったんであって、「質が良かったからとか、作品が素晴らしかったから、視聴率が良かったわけでは決してない」ということだけは押さえておきましょう(笑)。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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