岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/07/06

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/06/10配信「ひとりでもふたりでも楽しめるディズニーランド後編~現在のジャパニメーションの源流はディズニーランドにある!」の内容をご紹介します。
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2018/06/10の内容一覧

ウォルト・ディズニーは何を作ろうとしたのか

 ウォルト・ディズニーが一番最初にやったのは「絵を動かす」ことなんですよ。
 つまり、「止まっている絵を動かして、生きているように見せる」ということ。これは、うさぎのオズワルドとかミッキーマウスでやったことですね。
 次に、「絵と音楽の融合」。「絵が動いている中に音が入り、音楽も入る」というものですね。『蒸気船ウィリー』というアニメを作って、絵と音楽が融合すればもっと面白いということを証明しました。
 そして、「アニメと実写の融合」。TVシリーズの『アリス』というのを、初期のモノクロの作品の時点ですでにやっているんです。
 さらには「長編ストーリー映画をアニメでも作れる」ということを証明しました。これは『眠れる森の美女』として、第2次大戦の前に成功しています。
 他にも、「カラーにしてセリフをなくす」ことを目指した『ファンタジア』とか、「徹底的なリアリズムで動物アニメを作る」という『バンビ』とか、いろんな実験を繰り返してるんです。
 その後、1950年代のTVの時代になったら、「アメリカの建国神話を作る」ということで、TVシリーズとして西部の時代の『デイビー・クロケット』というお話を作ったり、『メリー・ポピンズ』で「人間ドラマとアニメの融合」というのをやってきたんですけども。

 「絵が動いて演技をする」中で、「ミッキーマウス」というキャラクターが生まれて、映画俳優以上に有名なキャラクターになれたわけですね。
 さらに、「アニメでも長編ストーリーができる」とわかった。
 こういった流れから考えたら、このオーディオ・アニマトロニクスを使ってウォルト・ディズニーは何をやりたかったのかというと、これは僕の考えなんですけども、1回乗るのに1時間以上かかる、「長編のオーディオ・アニマトロニクス・アトラクション」をやりたかったんだと思うんですよ。
 カリブの海賊とかホーンテッドマンションという、今、僕らが見ているものは、名場面のみを集めた5分間のダイジェストなんですよ。いわば、短編の『蒸気船ウィリー』みたいなものなんですよね。
 おそらく、ウォルトが次世代のディズニーランドのアトラクションとして考えていたのは、アトラクション1つでディズニーランド1つ分くらいのサイズが必要になる、1周回るのに60分以上かかるアトラクションじゃないかな、と。
 アニマトロニクスには難しいアクションシーンとかはさすがに無理だろうから、そこは実写で撮影してアトラクション内のスクリーンに上映して見せるにするにしても、基本のドラマとか演技はすべてアニマトロニクスでやって、臨場感というのを見せたかったんではないのかな、と。
 絵を生きているように見せるディズニーだからこそ、人形とかロボットを生きているように見せたかったんじゃないのかなというのが、この流れで大体考えたら、僕が思うことです。

 「アニメというのは「セルアニメ」だけじゃなくて、こんなやり方もできるんだ」ということを証明し続けてきたディズニーだからこそ、「今のロボットは、ぎこちない反復運動をしているだけに見えるんだけど、実はやり方によっては生きてるように見えるんだよ」ということを、何よりも感じていて、表現したかったんだというふうに思います。
 そう考えると、ウォルト・ディズニーの実質的な遺作と言える、死んでからやっと完成した『メリー・ポピンズ』っていう映画あるんですけども。この映画、改めて見てみると、実にオーディオ・アニマトロニクスを使ったアトラクション向けに作られてるんですね。

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