岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/05/31

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今日は岡田斗司夫のゼミ室通信をお届けします。
DMMオンラインサロンの岡田斗司夫ゼミ室では月に1回オフ会があり、ここで質問や相談を受け付けています。

今日はDMMオンラインサロン【岡田斗司夫ゼミ室通信】から、5月19日 特別講義をお届けします。

ミライの的確な指示がブライトの自身を奪った

(ホワイトベースの司令室で)

「なに?!」と驚くブライトさん。
「じゃあ」と、右手に電話をとって、指示を出そうとした瞬間、ミライさんが横から入ってきてしまいます。

「捕虜はセイラがなんとかしてくれるはずよ。リュウとカイを。それにアムロをガンダムに換送させて」

このミライの指示が的確なことが、後のブライトの自信を奪ってしまう原因になります。

昔見た時は、僕はあまりその点に気がまわらなかったんですよ。

ブライトがアムロを嫌っていて、アムロをはずそうしていた。それをアムロに聞かれて、アムロがすねて出ていった。
これが、昔僕が捉えていたプロットでした。

でも、40歳、50歳を超えてからこのドラマを見ると、違うものが見えてきます。
ブライトがいかに自信を奪われていったか。
そのせいで自分が言ったことにこだわって、こういうふうになってしまうという過程を、すごく丁寧に描いているということが、よくわかるのです。

ミライが、ブライトが指示を出そうとした瞬間、横から入ってきて指示を出すなんて、この回しか無いんですよ。
ちょっと、これは注目です。

ブライトは、ミライに自分の味方になってもらいたかった

(中略)

ブライトさんとミライさんがやってきて、二人がこんなふうに並んで、いい感じで話をしています。

ミライがいきなり
「あんまり賛成できないんだけど」
と言うと

「リュウにガンダムを任せたほうがいいと思う」
とブライト。

「ブライトは決めたんでしょ?アムロをガンダムから降ろすって。」

ブライトは
「あぁ。我々は一人の成長を待っているほどのんびりしている暇はないからな。」

「教習所じゃないことは確かだけど。一時アムロを休ませるってことね。」

ミライさんは「一時、アムロを休ませる」と、ブライトの決定を一段ゆるくして言い返すんですね。

「しかし」
と言いかけたブライトにミライさんは、

「アムロは特別な子よ。私、そんな気がするの。」
とかぶせます。

ブライトはこのとき、自分の命令をきかないアムロを完全にクビにするつもりでした。

それに対してミライは、あくまで過労なので一時期、パイロットの担当をはずそうと主張します。

その前にもミライは、ブリッジで自分がなにか指示を出そうとしたら、間に入ってきたりしています。
ブライトは、自分に賛成してくれないミライにどんどんイライラしてきます。

こういう場合、例えば、セイラさんだったら独房に入れる、アムロだったらつるしあげて怒るということができたんですけれど、ミライさんにはなぜか頭があがらない。

ミライに対しては、そういうことをするかわりに、ついつい肩に手をかけて
「ミライ、賛成してほしいな」
とちょっと本音を出してしまいます。

ミライは、そういうことがイヤなので逃げ出すんですね。

ブライトはミライに、自分の味方になってほしいんです。
自分の判断に賛成してほしいのではなくて、このホワイトベースという人間関係の中で味方になってほしい。

ブリッジで指示に割り込んで命令を出す。
その命令も的確だから、ブライトとしては尊重せざるをえない。
そんなミライだからこそ、自分の判断が正しかろうと、まちがっていようと関係なく、自分の味方になってほしいんです。

でも、ミライという女性は、そういう考え方が好きじゃないし、おまけにそれで口説いてくる男も大嫌いなんです。
アムロに対しても誠意がないと考える人なのです。

ほんとに今回は、ハモンさんにしても、ミライさんにしても、女のキャラがたって、男のダメな部分を見せる回なんですよ。

『機動戦士ガンダム』第17話『アムロ脱走』解説より

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