岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/05/15
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2015/04/19配信「Apple Watch買うならグランカルビーのポテトを買うよ!」の内容をご紹介します。
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2015/04/19の内容一覧
- 本日のお題
- 『バードマン』全編1カットの仕組み
- 『ジヌよさらば』と論理で作るコメディ映画
- 僕がApple Watchを買わない3つの理由
- 『スター・ウォーズ』サーガの未来
- おやつタイム/グランカルビーと限定キットカット
- おやつタイム続き/限定版ポッキーシチリアレモン
- 質疑/『赤毛のアン』での富野監督と高畑監督の関係
- 質疑/アニメの「質感」問題とわらび舞妓ちゃん
- 質疑/ローカルアイドルが新潟で生き残るには?
- 質疑/なぜ人に「素直じゃない」と言われるのか
- バーチャルセックスと「カップラーメンの進化」の関係
- ドローンと農業から見える未来
- 次回告知
『ジヌよさらば』と論理で作るコメディ映画
『ジヌよさらば~かむろば村へ~』ってこれ邦画なんだけども。
これは二階堂ふみを見るというのが僕の今、映画人生のテーマの一つになっているんですけども。
映画人生のテーマの一つになっている割には味園映画も見てないしなぁ。あんま良くないんだけども。
『ジヌよさらば』、ジヌっていうのは東北弁で銭、お金のことなんだけども。
田舎住まいに憧れて、もう完璧な典型的な都会人が『ソトコト』かなんか読んで、ジブリの映画見て、田舎暮らしに憧れてみたいな話なんだ。
行ってみたら、ものすごい限界集落みたいなところで、まあ先週も話したんだけれども、村長さんにすごい怒られて。
村長さんがとにかくこの村では金がなければ生きていけないし、田舎なんだから携帯がなければ生きていかないしっていうのを散々説教するんだけれども、それでも主人公はお金に触らず生きていきたいっていう思いを最後まで貫き通すって言うので、そこのところに、メインキャストに入ってないんだよね。
二階堂ふみって、キャストで言えば上から5番目か6番目ぐらいで、1番上が主演の、僕がもう名前も覚えられないようなイケメン俳優がやってて、2番目が僕が嫌いな邦画を必ずダメにする阿部サダヲが入ってて(笑)
今回でも、阿部サダヲは良かった。すごく良かった。
今回の阿部サダヲは本当に良かった。
「自給自足の話?」(コメント)
いや、そんな話でもなんでもない。
何が良かったんだろうなぁ。
やっぱコメディをすごい細かく積み上げて作る。
コメディーやっぱりね、作るの難しいんだよ。
去年『チャンス』見た時も、本当にセンスない奴がコメディ作ると、特に邦画はダメだなと思ったんだけども。
劇団ひとりが監督した『青天の霹靂』にしても今回の時に『ジヌよさらば』にしても、コメディって本当に論理で出来ているからさ。
いわゆる恋愛映画みたいなものとかサスペンス映画とかいうのはかなり感覚っていうのかな、感情で撮れるんだよ。センスで撮れるんだけども。コメディとホラーだけは完全な論理性でなければ撮れないんだよね。
なんでかって言うと、両方とも何でかっていうのに違いはあるんだ。
ホラーは見てる人間をいかにホラーの世界に叩き込むのかが重要で、その時に冷めさせないかが重要なんだ。だってさ、『リング』シリーズだって貞子が最後テレビから出てくるわけじゃん。
テレビから女が出てくるシーンって普通、笑うわけよ。
そうだよね。あれものすごいちゃんと撮ってるから、貞子が最後テレビから出てくる時に、ウワーって思うわけだけどさ。
『呪怨』も、小学生の白塗りした男の子にしても、テレビから出てくる貞子にしても、よくよく考えたら怖くないんだよ、そんなもの。たかだかテレビから出てくるんだから。
そんなもの、テレビがさ、テレビだっていろいろ大きいサイズ小さいサイズあるわけだから、ワンセグで見てたらこんなの出てくるのかよとか(笑)
アルタで見てたらすげーでかいの出てくるのかよとか、ツッコミどころあるわけ。
ところが映画館で映画見ている時は、そういうツッコミが出てこない。なんでかって言うと、論理性でダーッと構築されているから、見ている人間が「あ、もう、こうしかないんだ」っていう、見てる人間がその一本道にはまり込む。
で、はめ込むために、ホラー映画は普通の映画よりも遥かに強い論理性が必要なの。
なので、それが逆に『最終絶叫計画』みたいなホラー映画あるあるみたいな笑いになるぐらい。
でも、あんなあるあるがあってお約束だとわかりながら、僕らはホラー見たら怖いじゃん。
それはなんでかって言うと、徹底的な論理性で映画が作られているから見ている人間はもう「こちら側は塞がれた。こちら側塞がれた。じゃあこれしかないな」っていうふうにザーッと視野が狭くなってくるから怖いわけ。
コメディはこの逆で、主人公にかなり感情移入しないとおかしくなれない。っていうのは、笑いって何かって言うと、誰かが不幸になっているのを見ながら、安心したり笑ったりすることを僕らは笑いと呼んでいるんだ。
笑いに至るためには誰かの目の前の不幸がないとダメなんだよね。
だからコメディ映画っていうのは、一歩間違うとすでに失敗している人を笑っているだけの後味が悪いものになっちゃうんだ。
『クレヨンしんちゃん』もテレビシリーズのやつなんか見ると失敗してる回はそうなんだよ。『クレヨンしんちゃん』嫌いな人もいるんだけどさ、そういう人はなんでかって言うと、幼稚園児のしんのすけが迷惑なことをして、大人が迷惑していると。それを見て何で笑うんだっていうことなんだけども。
コメディっていうのは基本的に誰かが不幸な目に遭ったり、誰かがかわいそうな目にあったりしてるのを何故かこちらが笑ってしまう仕掛けのことを言うんだ。
これが100%の共感は無理なんだ。さっきのホラーみたいに見てる人のほとんどを怖がらせることは可能なんだけどさ。
コメディ映画の不幸なところって、見てる人のほとんどを笑わせることができないんだ。
せいぜい打率6割ぐらい。
なので、できるだけ笑う人を増やすためには論理性でもってガチガチにかわいそうな目に遭っている人とか、そういうふうにシチュエーション徹底的に感情移入させるしかないので、すごい論理的なシナリオが必要なんだけど。
『ジヌよさらば』は、そのシナリオが上手くできてたね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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