岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/05/18
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/04/22配信「『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』レビュー」の内容をご紹介します。
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2018/04/22の内容一覧
- 今後の岡田斗司夫ゼミの予定
- 『サピエンス全史』概略
- サピエンスによる人類皆殺し事件
- 火を手に入れた後も何もしなかったサピエンス
- やっぱりホモ・サピエンスは雑魚キャラ
- サピエンスに勝利をもたらした「認知革命」
- ホモ・サピエンスの進撃
- 最強の征服者「貨幣」
- 無知を認めることによって生まれた「科学革命」
- ジェームス・P・ホーガン『断絶への航海』
- 狩猟民族の豊かな暮らし
- 狩猟民族は頭を使う
- 農業革命は、歴史最大の詐欺だった
- 小麦がサピエンスの人口を増やした
- 狩猟民族が滅びた理由
サピエンスに勝利をもたらした「認知革命」
ということで、ようやっとここからが本題です。
「認知革命」についてですね。「なぜ、ホモ・サピエンス種は、他の種属を絶滅させるようになったのか?」という話です。
ホモ・サピエンスというのは、人類の中でも、特別、強いわけでも、賢いわけでもなかったんですよ。
さっきは「ドーベルマン」と言ったんですけども、僕が思うに、人類の中でのホモ・サピエンスのポジションというのは、おそらく「柴犬」なんですよ。なんか、「ちっこいけど気が荒くて、やたらやかましい」という(笑)。
そういうのが、俺らサピエンスのポジションだと思っててください。
10万年前に、「僕らの祖先であるホモ・サピエンスの集団が、地中海にあるネアンデルタール人の集落を襲う」という事件がありました。これは、ちゃんとそれを示すような化石とかが発見されてるんですね。
その結果、どうなったのかというと、もう、ボロ負けだったんですね。サピエンスはあっという間に追い払われた。これが10万年前の出来事です。
ところが、7万年前にも、同じネアンデルタール人の集落をサピエンスの一団が襲いました。
これどうなったかというと、今度は勝ったんです。さらには、地中海どころか中東からアジアまで、ネアンデルタール人を次々と追い払った。
この7万年前からホモ・サピエンスの快進撃が始まったんですね。
そして、その快進撃は続いて、ついには僕らより強く賢いネアンデルタール人を、地球上から全部追い払ってしまいます。
さらに、4万年前には、太平洋を渡ってオーストラリアに到達します。
オーストラリアに行った時には、もうすでに、船とか、ランプとか、弓矢とか、服を縫うための針まで発明して、使いこなすようになっていたんですよ。
さっき話していた通り、250万年前から30万年前まで、サピエンスというのは、パッとしない地味な種属だったんですよ。
火を発見してから、ちょっとくらい行動範囲が広がったといっても、そこから先、20数万年間も、パッとしなかったはずのホモ・サピエンスに、一体、何が起こったのか? なぜ、ここまで強くなったのか?
「脳が大きくなったから」かというと、そんなことないんですよ。他の人類種も、みんな脳が大きかったんです。
昔の教科書には、よく「道具が使えたから」ということが書いてあったんですけども、繰り返しますけど、100万年前には、ほとんどの人類種は道具を使っているんですね。
「火を使いこなしたから」というのについても、さっきも言ったように、30万年前からいろんな人類種が火を使っています。だから、それでもないんです。
では、「言葉が使えたから」という理由はどうか? 今もコメントで「言葉」って流れてますよね。
でも、実は、言葉は人類だけのものじゃないんです。
「蜂だって言葉を持ってる」とか、「イルカも喋る」ってよく言われてるんですけど、最近では、そういった動物の言葉というのも、だいぶわかってきたんです。
それらの動物の言葉というのは、実は、わりと細かいんですよ。
例えば、これは「サバンナモンキー」というお猿さんです。
(パネルを見せる)
「スカイブルーの金玉を持つサル」として有名なんですけども。見てわかる通り、金玉がメチャクチャ綺麗な色をしていますよね(笑)。
このサバンナモンキーというのは、ちゃんと言語を持っているんです。彼らは「気をつけろ。ライオンだ!」という言語を持っている。と、同時に「気をつけろ。鷲だ!」という言語も持っているんですよ。
この2つの鳴き声は、別なんですね。
なので「気をつけろ。鷲だ!」という鳴き声を録音して、野生のサバンナモンキーに聞かせると、それを聞いた猿は一斉に上を向くんですよ。全サバンナモンキーは、共通の言語を話しているようで、他所の土地で録音した「気をつけろ。鷲だ!」という言葉でも、みんな一斉に上を向くそうです。
次に「気をつけろ。ライオンだ!」という鳴き声を録音して、他のサバンナモンキーに聞かせると、全サバンナモンキーは一斉に木に登るんですね。
つまり、人類だけじゃなく、サバンナモンキーというのも、かなり複雑な言語を持ってるんです。
じゃあ、7万年前の出来事とは何だったのかと言うと。
サピエンスたちに起きたのは、遺伝子の突然変異によって脳内の配線が変わってしまって、言葉の使い方が変わったんです。
言語自体は、イルカでもサルでも、おそらく犬でも猫でも、クジラでも、サバンナモンキーでも、持ってるんですよ。ただ、その使い方がガラッとかわってしまった。
これを『サピエンス全史』では「認知革命」と呼んでいます。
例えば、サバンナモンキーは「気をつけろ、ライオンだ!」と言うことはできるんだけど、「もう大丈夫だ。ライオンはもういない」と言うことは出来ないんです。
しかし、僕らホモ・サピエンスは「ライオンはもういない」と言うことが出来るし、「朝はライオンがいたけど、今はもういない」と言うこともできる。さらに、「今、川にライオンがいる。ということは、森は今、安全だ」と言うこともできる。
このように、言葉を繋いでいって論理的な構造を作れる。
おまけに、「あいつはライオンを倒した」という噂話ができるんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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