岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/03/14
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/02/25配信「『ノートルダムの鐘』の謎 ~ほんとは怖いノートルダム」の内容をご紹介します。
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2018/02/25の内容一覧
- 平昌オリンピックが終わってホッとした
- 近況報告
- なぜ今『ノートルダム・ド・パリ』か?
- サイレント映画『ノートルダムのせむし男』
- カラー映画版『ノートルダムの傴僂男』
- ディズニー映画『ノートルダムの鐘』
- なぜディズニーは、難解な『ノートルダム・ド・パリ』をアニメにしたのか?
- 『ノートルダムの鐘』はピノキオ+フランケンシュタイン
- 原作では錬金術師フロロが主役
- 1482年のフランスはどんな社会だったか?
- ユーゴーが守ろうとした「石の書物」とは?
- 捨て子だったカジモドと、原罪
- 「カソリックの敵」の集会場でもあった教会
- ノートルダム寺院の彫像やレリーフの意味を解き明かしたフルカネリ
- なぜ、錬金術師の言うことはわかりにくいのか?
- この世界に知識を与えるわけにいかない
『ノートルダムの鐘』はピノキオ+フランケンシュタイン
このディズニーの『ノートルダムの鐘』は、さっきも話したように、『ピノキオ』のオマージュなんですね。
ゼベット爺さんに作られたピノキオが「人間になりたい」と願って冒険するのが『ピノキオ』なんですけども。
これを、スピルバーグは、『A.I』という映画の中で、「人間に作られたロボットが母親に捨てられて、母親の愛が欲しいために人間になりたいと願う」という冒険の話にしました。
スピルバーグは、元々はスタンリー・キューブリックが作るはずだった『A.I』という作品を自分のものにするために、「これはもう、『ピノキオ』をやろう!」と決めたんですね。そんな、「『未知との遭遇』をやった時から、俺はとにかく『ピノキオ』がやりたかったんだ!」というスピルバーグの思いが入っているのが、『A.I』という映画なんですけども。
それと同じく、このウォルト・ディズニー社が作った『ノートルダムの鐘』というアニメも『ピノキオ』なんですね。
錬金術師のフロロという男から、合理主義を叩き込まれて育てられたせむし男の怪物カジモドは、本来だったら醜い身体と理性を持った存在になるはずだったんです。
なんせ、フロロは、このアニメの中では徹底したひどいヤツとして描かれているんですけども、それでも、カジモドと毎日ご飯を一緒に食べて、家庭教師をやっているという、かなり熱心な教育者なんですね。
にもかかわらず、そうやって教育されたはずの怪物が、最後には育ての親であるフロロを殺してしまうんです。つまり、ディズニーは、『ノートルダム・ド・パリ』という物語を、『ピノキオ』プラス『フランケンシュタイン』という話に変えたんですね。
その上で、こんなとんでもない話をハッピーエンドのミュージカルにしています。
だって、『ピノキオ』と『フランケンシュタイン』を足したら、最後、ピノキオはゼベット爺さんを殺さなきゃいけなくなるわけですよ(笑)。それをハッピーエンドのミュージカルにしてしまうという荒業が、この『ノートルダムの鐘』なんですね。
では、なぜ、ディズニーはこれをアニメ化しようとしたのかというと、さっきのコメントにあった通りなんですよ。
実は『ノートルダムの鐘』という作品は、原作の「モテない男は報われない」という話を、どうにかしてそうじゃない話にしようとのたうち回った結果、生まれたものなんですね。
ディズニーのクリエイターっていうのは、やっぱり、メイキングとかを見たらわかる通り、みんな学生時代に100%モテなかったようなヤツらばっかりなんですよね(笑)。
アメリカ人の平均体重よりも、絶対に20%以上は多いヤツらばっかりが、今も昔も、ディズニープロに勤めている。そんな、学校でイジメられたオタクなわけです。
そういうヤツらというのは、ついつい「醜いカジモドがエスメラルダと結ばれる」という話を描いちゃうものだし、ディズニーが原作を無視して、いくらでもストーリーを変えられるんだったら、それをやってもいいはずなんですよ。「ついにエスメラルダにも、カジモドが姿は醜いけれど心は美しいことがわかって、恋をした」という話にしても全然構わないんですけれども。でも、彼らは、そうはしなかったんですね。
なぜかというと、そんなことをしても嘘になるからです。1996年のウォルト・ディズニーのアニメとしては、そんな嘘は作れないわけですよ。そういったハッピーエンドは信じられないし、描けない。
では、なぜ嘘になるのかというと、彼らは「エスメラルダみたいないい女っていうのは、結局は見た目だけで中味は空っぽのフェビュス隊長みたいなやつと恋をして、結ばられるんだよ! これが現実なんだ!」って、嫌というほど思い知っているからです。
『アラジン』や『ライオンキング』以降、ディズニー社はヒット作をどんどん発表しました。そうなると、ディズニープロの人達はもうわかってくるわけですね。
どういうことかというと、この時期から、声優さんにハリウッドのスターとかを使い始めるわけですよ。ハリウッドスター達との付き合いも出てきて、アカデミー賞の舞台に一緒に立つこともあるわけです。
すると、ハリウッド女優みたいな美女たちは、みんな、口では「内面が大事」とか言いながらも、結局はイケメンの俳優とか、プロデューサーと結婚しているという現実がわかってくるんです。
そういう現実を見て、「やっぱりそうなんだ。俺達みたいなオタクには、女優やアイドルは無理なんだ」と思い知ることになるんですね。
でも、美女と結ばれることはできなくても、才能を認められてアカデミー賞の舞台に立つことはできるんです。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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