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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「漫画村騒動が示す、恐ろしい未来とは?」

2018/02/16 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/02/16

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/01/21配信「史実として語る『ゼルダの伝説』と,違法マンガアップロードサイト問題」の内容をご紹介します。
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2018/01/21の内容一覧

マンガ無料サイトを語る

 pixivコミックで『うらみちお兄さん』を連載している久世岳さんという方を始めとして、いろんなマンガ家さんがマンガ無許可掲載サイトに対してアンチの怒りを表明しています。

(中略)

 ところが、悲しいもので、騒ぎになって、これが報道されればされる程、利用者も増えていくということにもなっております。
 「マンガを無許可でアップロードする」という部分は、日本では違法なんですよ。
 でも、マンガサイト側の言い分としては、「作品をアップロードしてるのは、誰かを特定できない個人の利用者であって、おまけに、アップロードされているサイトのサーバーは、日本と国交のない、例えば北朝鮮みたいな国にある。うちはそのリンク貼ってるだけですよ」って言って、儲けているわけですね。
 まあ、そんなことを言ってるわけですけど、「お前ら、それ、ワザとだろ!」っていうのがわかりきっているから、怒る人もいるわけですね。
 しかし、さっき話したように、この問題が報道されるにつれて利用者は増える一方というジレンマもあるんです。

 僕に思いつく、現行の日本の法律で考えうる対抗手段というのは、「違法サイトを使うとウイルスが侵入するぞ!」みたいなデマを撒き散らすことくらいしかないんですね。
 というのも、こういうサイトを最も多く利用しているのは「何も考えてない人」なんですよ。少しでも物を考える人、「著作権とは何か?」とかを考える人は、まず利用しないんですね。
 僕も「ジャンプ+」っていうサイトに金を払って、毎週毎週、デジタルでジャンプを読んでますし、Kindleでマンガの単行本を買ってるんですけども。何かを考えるヤツは、やっぱり、そういう違法サイトみたいなところをあんまり使わないんです。
 何も考えてないヤツほど、こういうサイトを使う。だとすれば、そういう考えないヤツらに一番効くのは「デマ」なんですよね(笑)。

 なので、「そんな違法サイトを利用したら、ウイルスが移ってしまうぞ!」とか、「iPhoneがダメになったそうだぞ!」というデマをガンガン言っていくくらいしか……まあ、これは冗談半分にしても、今の法を前提に考えると、それくらいしか対抗手段というのはないと思うんですね。

 なぜ対抗手段がないのかを、評価経済を復習するつもりでまとめてみると。評価経済という考え方は、アルビン・トフラーの「第三の波」をベースにしています。
 まず、人類にとっての第一の波として「農業革命」があった。これは「新石器革命」とも言われているんですけど、紀元前1万年から5千年前までの時期に、人類は農耕牧畜を行うようになって、定住生活を送るようになったんです。この時に貧富の差というのが発生し、国などの巨大な組織も発生した。これが、農業革命という第一の波です。
 では、第二の波が何かというと、それは「産業革命」です。18世紀の半ばから20世紀の初頭にかけて誕生した機械生産によって、すべての人が豊かになれるようになった。もっとも、その代わりに、それまでは基本的に持たざる農民と持てる王様、貴族くらいの階級しかなかったところから、その間に中間層が発生して、無限に貧富の差が生まれてしまったというのが産業革命です。
 これに対して、現代は第三の波である「情報革命」の真っ只中だというふうに言われています。こういうものが、20世紀末から進行している、と。

 この情報革命の時代、ネット時代の特徴としてこれは僕のオリジナルなんですけど、「中間層絶滅の法則」というのがあると考えています。
 どういう意味かというと、Amazonというネットの巨大サービスが生まれたおかげで、町の本屋さんは潰れてしまう。あるいは、YouTubeが生まれたおかげで、TSUTAYAみたいなビデオレンタル店がどんどん潰れてしまう。
 だけど、そんな中でも、大型書店だけは逆に増えているんですね。NetflixやHuluみたいなサービスも、逆に増えているんです。では、何がなくなっていくのかというと、町の中で個人規模や中間規模で続けられていた本屋さんだけが、どんどん潰れてしまうんですね。
 これまではどこの駅前にもあった小さな本屋が潰れて、ブックファーストのようなチェーン店の大型書店だけが増えていく。こういった、「中間がなくなってしまって、トップしか生き残れない」というのがネット時代の特徴です。

 これに関連する話として、この間、ついにYouTubeさんが利益配分率を変えました。これについては、色々と騒ぎもあったんですけど。
 この数年で、YouTubeの利益配分というのは、だいたい5分の1くらいになったと言われています。まあ、人によっては「10分の1になった」と言う人もいるんですけど、僕自身の実感としては、だいたい、4分の1から5分の1くらいになったと思っています。
 弱小のYouTuberにとってさらにショックなのは、この間、YouTubeが発表した新しいガイドラインにて、「チャンネルへの登録者の数が1000人以上で、なおかつ、年間の再生時間が4000時間未満のYouTuberには、お金は支払いません」というふうに宣言したことなんですね。おかげで、これまで「YouTuberです」って言っていた、月当たり数万円から20万30万くらいの売上だった人達が、一斉に脱落していったんです。
 なぜかというと、実は、「YouTuber」というふうに言われている人達のほとんどが、引っ掛けみたいな動画を作って、番組の冒頭の数秒間だけを見て貰って、再生数を稼いでいたような人達だったからなんですね。後は、自分で暇な時に、ひたすらカチカチと自分の動画を再生するというのを繰り返していたんですね。しかし、これまで視聴回数でカウントされていたところから、視聴時間でカウントされるようになってしまうと、自分でカチカチ再生するということが不可能になってしまうんです。
 ということで、YouTuberの中でも、中間的な人……と言っても、日本のYouTuberの中で10万20万稼いでいる人というのは、かなり上の層だと思うんですけど。そういう人達が一斉に食えなくなってくるんですね。
 つまり、このネット時代に適していたように思えたYouTubeですら、中間層絶滅の法則に遭っているわけです。

 この中間層絶滅の法則をマンガ界に当てはめるとどうなるのかというと、「メガヒットでないプロは食っていけない」という意味になるんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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