岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/11/17
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/10/22配信「2049公開記念!『ブレードランナー』は、35年前の『シン・ゴジラ』だった?!」の内容をご紹介します。
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2017/10/22の内容一覧
- 本日のお品書き 岡田斗司夫名言集
- 書評と映画評は違う
- 『ブレードランナー』あるある
- 24歳の岡田斗司夫と『ブレードランナー』の出会い
- ブレードランナー「映画化の始まり」
- 原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』あらすじ
- 『アルジャーノンに花束を』の映画化権
- ハンプトン・ファンチャーとは何者か
- 電気羊から離れていった『ブレードランナー』
- ファンチャー版のラストシーン
- 蚊帳の外に置かれていた原作者フィリップ・K・ディック
- 【捨ておもちゃ】『ブレードランナー』のスピナー
- シド・ミードによって完成したビジュアルイメージ
- 最初の主演候補は、ダスティン・ホフマン
- 「レイヤリング多重層表現」で未来の世界を作った
- ハリソン・フォード以外演技できない問題
- 役者の演技に期待しなかった黒澤明
- なぜロイ・バッティはデッカードを助けたのか?
- デッカードはレプリカントだったのか?
- 本当のエンディングは?
- 最初は売れなかった『ブレードランナー』
- フィリップ・K・ディックとの和解
- リドリー・スコットのやりたかったこと
- オタクは二次元嫁の夢を見るか?
役者の演技に期待しなかった黒澤明
リドリー・スコットって、本当に画作りにしか興味がないんだよね。そういった「演技より見た目で役者を選んでいる」っていうことが、あからさまにわかっちゃった。
でも、これって映像派の監督にはありがちなことなんだよ。
そもそも、そのすごいド下手な役者っていうのも、スタンリー・キューブックが使っていた人なんだよね。このスタンリー・キューブリックも映像派なんだ。
あとは日本で言うと、『天国と地獄』っていう黒沢明の映画があるんだけど。
これは実際にそのシーンを見てみたらわかるんだけども、三船敏郎演じる社長の子供が誘拐されて、社長は「うわーっ!」て不安になっている中で、刑事たちが10人くらい集まっている自宅の応接間の中をセリフを言いながら動き回るしーんがあるんだけどさ。
カメラから見たこの10人の刑事たちの立ち位置が、まったく被らないんだよ。みんな動き回りながら話してるんだけども、誰一人、重なり合わないんだよね。全部ぴったり決まった位置に次々と移動するんだよ。
なんでそんなことができたのかっていうと、黒澤明は『天国と地獄』を撮る時に、応接間の床の上にいろんな色のビニールテープをバンバン貼って、「お前は黄色、お前は赤、お前は青」というふうに振り分けた。役者は、決められた自分のビニールテープの上を、「このセリフが流れた時に、何歩動いて、そしてそこでセリフを言って、次に何歩動いて~」っていうのを全員やらされたんだって。これはもう、役者の演技の否定だよね。
黒澤明も画面のことしか考えてないんだ。役者たちも、「この秒数の中で、お前らはベストを尽くせ」というふうに言われてやってたいた。
黒澤明は、『七人の侍』の時にも、役者の演技なんかにまったく期待していなかった。
一番最初、貧乏な百姓が、いろんな侍たちがガーッと歩いて行るところを見ながら「強え侍、いないかな。侍を雇わなきゃ」と見ている、10秒くらいのシーンがあるんだけど。
この10秒くらいのシーンの撮影に6時間かかったんだって。なぜかというと、「歩き方が侍らしくないから」って(笑)。そんなふうに言われて、侍らしくなるまで6時間歩かされたんだけど。みんな、背筋を一生懸命伸ばして歩くんだけど、6時間も撮ってたら、いい加減、刀は重いし、動きが疲れてくる。そうなってはじめて「はい、これでOK」ということになった。
役者にしてみれば、それは演技じゃないんだよ。「歩き果てて疲れた演技をやれ」って言われたらできるんだけども、6時間も歩かされ続けて、本当に疲れた状態を撮られても、それは演技を撮られているんじゃないんだよね。
こういった演技の全否定というのは、映像派の監督にはよくあることで。
今回、この番組の予告にも、「実は『ブレードランナー』は『シン・ゴジラ』だった」って書いてもらったんですけど。これはどういう意味かというと、庵野秀明も同じだったんだ。
映像派の監督だから、『シン・ゴジラ』を撮る時に、カメラの位置を完全に決めた上で、役者のセリフを極端に増やして、ものすごい早口で喋らせる。役者としては、大量のセリフを覚えなきゃいけないし、決まった秒数内に喋らなきゃいけないから、全員、演技のしようがないんだよね。
そんなもんだから、撮影現場でも、スタッフも俳優も、庵野秀明に対する文句が山のようにあった。
まあ、そういった不満は、完成した映像を試写で見た時に、「ああ、監督はこんな映画が撮りたかったんだ」っていうことが伝わって、逆に、その後は一気に庵野秀明の評判が上がることになったんだけど。
『ブレードランナー』のリドリー・スコットもそれと同じで、やっぱり、俳優に演技をさせないんだよね。そもそも、演技というのをあまり信用していない。
もちろん、本人としては演技をさせているつもりなんだけども、ハリソン・フォードみたいなハリウッドでずーっと俳優をやっている人間からしてみたら、「あれは映画の撮り方じゃない。CMの撮り方だ」っていうふうにバレちゃうんだ。
もし、リドリー・スコットに、日本での黒澤明みたいな実績があったら、スタッフが「ごめんなさい。申し訳ないんですけど、監督を信じてやってください」というふうに、『天国と地獄』みたいなことも出来るんだけど。当時のリドリー・スコットって、まだイギリスから出てきて2本目の映画を撮ってる監督に過ぎないんだよ。『エイリアン』では当てたんだけど、まだまだ2本目の監督なんだ。
ところが、リドリー・スコット本人にしてみたら、それまで、CM監督として、イギリスでは20年くらいの実績がある。あいつ、CMを2000本くらい撮って、国際的な賞も山のように獲っている。だから、「俺は、そこらのハリウッドの映画監督より絶対に上だ!」って思ってるんだよ。
ところが、ハリウッドに来たら新人扱いで、映像的なものを撮ろうとしただけで「なんで役者ともっと話しをしないんだ?」とか、「演技のことを話し合え!」って言われる。
もうね、監督も監督で、そういうことにカチンと来ちゃっていて、だから、「じゃあ、俺、クレーンカメラの上に乗るわ!」と言って、10mくらい上のカメラに乗ることになっちゃったんだよね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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