岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/18
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/10/01配信「いせスマ、ヤマカン、けもフレ、ガンダム、総選挙……「今」を肴に大雑談祭!」の内容をご紹介します。
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2017/10/01の内容一覧
- 本日のお品書き
- 『けものフレンズ』大騒動
- 『メイドインアビス』がすごすぎる
- 『ラピュタ』隠れた演技
- 『ガンダム』読み解きランバ・ラルとハモン
- ハモンのクレバーさ
- 『君の名は。』実写化
- ハリウッドの描く『君の名は。』は、「イロコイ連邦」が舞台?
- 『異世界はスマートフォンとともに』11話12話大炎上
- ヤマカンが罵っているのは自分自身
- 日本の初代大統領は初音ミクでいい
- 人口知能の話
- 有権者のすべてのデータを「ソシオグラム」化しよう
『君の名は。』実写化
じゃあ、次の話題は「『君の名は。』の実写化」だな。
「東宝が、アメリカのパラマウントピクチャーズと、『バッドロボット』と共に実写化に向けて「開発」をスタートさせた」とのことで。
この「開発」っていう言葉は、「デベロップメント(development)」の直訳で。映画というのは、基本的に、このデベロップメント、いわゆる開発の段階から始まるんですね。
実は、このデベロップメントの段階というのは、「まだ、ほとんど何も決まっていない」というのと同じなんですね。ただ予算の枠が決まって、どの規模でやるかが決まっているだけなんですよ。
なので、脚本がエリック・ハイセラーっていう人が決まっただけで、監督も何も、現段階では決まっていない。
エイブラムスはプロデューサーをやるんだけども、たぶん、実際の内容は今のところはエリック・ハイセラーに任せて、もうちょっと色んなことが決まってから、監督を選んでいこうとしているんだと思います。
つまり、ここでのJ・J・エイブラムスは、「この内容で、この予算だったら、誰を監督にすべきだろうか?」と探す立場にあるんだよね。
(中略)
2つ目は、脚本を任されることになったエリック・ハイセラーというシナリオライターがすごい面白いヤツだってことなんだ。
今年、このエリック・ハイセラーが脚本を担当した映画が2本公開されました。
1本目は、僕らが大好きな『メッセージ』だよね。タコみたいな宇宙人が来て、不思議な文字で人間とコンタクトをとるというSF映画。これは、シナリオ的にもすごい優れているんだけども。
もう1本が『ドント・ブリーズ』っていう、なんか目の見えない黒人のおじいさんの家に強盗団の若者が忍び込んだら、それが元・海兵隊のめくらの爺さんで、若者たちをバンバン殺しまくるっていう、誰に感情移入していいのかわからないようなホラー映画。めっちゃ怖いやつがあって(笑)
ハイセラーってものすごくテンポを重要視する脚本家で、『ドント・ブリーズ』って、肝心の状況が開始するまでに15分程度しかかかってないんだよね。そういうふうにどんどん話を進めるから、メチャメチャうまいんだよね。
メッセージについても、テッド・チャンというSF作家が書いた原作である『あなたの人生の物語』っていうのは、すごい名作なんだけども、「映像化は不可能」って言われてた作品でもあったんだ。それをちゃんと仕上げた手腕はすごい。
ああいう映画を作る時って、普通は、ビジュアルのためにテーマを捨てるものなんだ。普通、優秀なシナリオライターだったら、こういう話を引き受けた時点で、「内容を優先するか、画面を優先させるか?」のどっちかを取るものなんだよ。そして、内容を優先させると、なんか、ちょっと救いのない話になったり、後ろに行くにつれて画面が地味になるような作品になっちゃうから、こういう時に画面を優先させるのがハリウッド流なんだけども。
だけど、メッセージって、原作のテーマ性を残しつつも、さっき『メイドインアビス』の話題の中で話した、「この世界の美しさ」をちゃんと描いているんだ。
例えば、主人公の女性言語学者がモンタナ州にヘリコプターで連れて行かれる時に、ロッキー山脈から吹き下ろす風によって雲が生まれるという「フェーン現象」によって、雲がまったくない山の向こうから来た風によって、雲がザーッと流れてくるところをバーンと見せている。そういう情景とヘリコプターの中の狭い画面というのを交互に見せるという手腕は、本当にすごいんだよ。
この実写版『君の名は。』について、今からいろいろ言ってる人はいるだろうけども。
たぶん、『ドラゴンボール』とか、『リング』とか、『ゴースト・イン・ザ・シェル』などの、これまでの日本のアニメ漫画原作もののハリウッドリメイクというのとは、まったく違うものになると思うね。
エイブラムスが「予算をかけて、まず、エリック・ハイセラーを押さえた」というところから、メチャクチャ「本気度」がわかる(笑)。
(中略)
原作版というのか、アニメ版の『君の名は。』の舞台は、新宿と飛騨高山じゃん。この「大都会と田舎」っていう風景で出来ているんだけど。
日本人にとって懐かしい田舎の風景とともに、今の自分たちが暮らす新宿の街を描いている。僕らは、この新宿という街が、この作品で描かれるほど美しいものだなんて思ってなかったんだよね。描かれた信号や歩道橋を見て「俺達って、こんな綺麗な世界に住んでたんだ!」って教えてくれたのがあの映画なんだけども。それと同時に、田舎っていうものの美しさを伝えているところがある。
問題は、「これをハリウッドがどのように映像化するのか?」なんだよ。
たぶん、舞台はアメリカになると思うんだけども。そうなった場合の新宿は、まあ、ニューヨークかロサンゼルスに置き換えられると思うんだよ。
で、もう1つの飛騨高山の山奥っていうのは、普通に考えたら、「オレゴン州のとかモンタナ州の山奥」っていうふうにするんだろうと思うところだけど。
でも、俺はそうじゃないと思うんだよね。というのも、思想性とかメッセージ性を必ず入れたがるから。
もうこれは、完全なる妄想なんだけども、俺は「ハリウッド版の『君の名は。』が扱うのは「イロコイ連邦」なんじゃないか?」って思ってるんだ。
イロコイ連邦っていうのは何かというと、ニューヨークの北の方にある、カナダとの国境にまたがるインディアンの居留地なんだよ。
「6つの部族がまとまったインディアン国家」って言われている。実はこれ、「国家」なんだよね。「別名:シックス・ネイションズ」と言われているほど。6つの部族が集まっているからシックス・ネイションズなんだけども。これが成立したのは1600年代という、すごい古い歴史を持っているんだ。
それまでは、ずーっと内紛を続けていたネイティブアメリカンというのが、「入植してきたイギリス人たちがアメリカ大陸を侵略している! 我らも1つにならなくては!」ということで、かなり早い段階から、言葉も違えば、お互いの祖先の神であるトーテムポールも違うような、ものすごく仲の悪いインディアンたちが6部族集まって1つの国家を作った。
これは、実はかなり画期的な出来事で。なんかね、16世紀とか17世紀頃から既に、ものすごく優れた仕組みで運営されてたんだって。
どれくらい優れていたかというと、イロコイ族のところに見学に来て、「どうやって会議とかをしているんですか?」と聞いたベンジャミン・フランクリンが、長老たちから「こういう仕組みだ」というのを聞いて、「なるほど! そんな方法があったか!」と言って、アメリカ合衆国という仕組みを考えたという説があるくらい、すごい優れている仕組みだったそうです。
このイロコイ連邦っていうのは、国連にも認められている、アメリカ国内にある「国家内国家」なんだよね。立法、課税、通貨発行、外交の権利を、アメリカとは別に持っていて、交戦権すら持っている。だから、やろうと思えば日本と戦争することもできるし、アメリカとも戦争できる。そんな、ものすごいところなんだけども。
このイロコイ連邦だったら、「アメリカの原風景」でありながら、一方で、「アメリカ人が抑圧してきたもの」と言えるし、サンフランシスコかロサンゼルスのような都市とイロコイ連邦を並べて、それぞれに暮らす男女の話とかにして、そこに隕石が落ちてという話にすれば、すごくうまく回るんじゃないかな?
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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