岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/11
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/09/24配信「映画『ドリーム』が100倍楽しめる宇宙講座」の内容をご紹介します。
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2017/09/24の内容一覧
- 『異世界はスマートフォンともに。』11話どうした?
- マーキュリー計画を支えた3人の黒人女性を描いた映画『ドリーム』
- マーキュリー計画の舞台となったラングレー研究所
- 最先端のプログラミング言語を誰よりも早くマスターしたドロシー・ヴォーン
- 空力計算のエキスパート、メアリー・ジャクソン
- カプセルがどこに着地するのかを計算した、キャサリン・ジョンソン
- 捨てられないTシャツ「ジョンソンスペースセンター・ヒューストン・テキサス」
- 宇宙飛行士は主役にあらず?『NASAを築いた人と技術』
- マーキュリー計画のために集められたテストパイロット「マーキュリー7」
- 人間では操縦できない月着離船
- 自動操縦プログラムを書いた、マーガレット・ハミルトン
- ヒーローのいないところにお金は集まらない
- 『アポロ管制センターの英雄たち』"Mission Control: The Unsung Heroes of Apollo"
- だれかが「くだらない決断」をくださなければならない
- 誰が宇宙船を飛ばしているのか?
- アポロ13号記念写真
- アルバカーキ行ってきます
- 次回・初音ミクを初代大統領に
ヒーローのいないところにお金は集まらない
僕は昔からこういう話が好きで、いろいろ調べてるんですけど。その中で「宇宙飛行士って、実はいらないんじゃないのかな?」と考えることがすごく多かったんですよね。
例えば、フォン・ブラウンっていう、ドイツから来たロケット博士は、もちろん宇宙開発に貢献した偉大な技術者だったんですけど。それと同時に、まあ「政治家」でもあったんですね。
でも、この人は、宇宙飛行士の悪口を絶対に言わないんですよ。
なぜかというと、宇宙飛行士たちっていうのは当時のアメリカでは本当に「ヒーロー」だったからなんですね。「そういったヒーローがいるおかげで予算が出る」というのもあったんですよ。
実は、アポロ計画やマーキュリー計画の前から、「月とか火星を探査するために、無人ロケットを打ち上げて、ロボット衛星で探査しよう」という計画はあったんですよ。
だけど、予算が一切おりなかったんですね。やっぱり、議会というのは、そういったヒロイズムのない、ハッタリの効いてない、派手でない、人の心が動かないことに関して、お金を出してくれないんですよね。
なんでしょうね、やっぱり普通の中学校とか高校でも、サッカー部とか野球部にばっかり予算が行って、他の文化部は年間10万20万の予算もないのと同じようなもんだと思うんですけど。
「ヒーローがあるところには金が出て、ヒーローが生まれにくいところにはお金が出ない」という、この不公平というのは、もうどうしようもない。
でも、NASAの技術者は、心の中では、みんなけっこう思ってたんですよね。「宇宙飛行士なんて必要ないんだけどな」と。
宇宙飛行士は言うんですよ、「もし、機械が故障したらどうするんだ!」って。
だけど、「いや、宇宙空間で機械が故障したら、宇宙飛行士がいてもいなくても同じだよ」というのがNASAの技術者の考え方なんですね。
例えば、「宇宙空間でカメラが故障したらどうするんだ?」って言ったら、「カメラが故障したら、お前らがいてももう一緒じゃん? その時は最後だよ」と。「その時に必要なのは宇宙飛行士じゃなくて、バックアップのカメラだ。予備の分を3つ4つ積んでおけば、カメラが1台壊れても平気じゃん? でも、お前ら宇宙飛行士を乗せてたら、お前ら自体の重さももちろん、消費する酸素とか、食料とか、トイレの設備とか、まるごと必要になる。実は探査機が載るスペースのほとんどをお前らの生命維持に取られちゃってるんだよ」って言うんですね。
つまり、「何かが壊れたらどうする? その時のために俺たちはいる!」っていうふうに宇宙飛行士は言うんだけども、「宇宙飛行士さえいなかったら、バックアップのマシンとか探査機を山のように積めるから、絶対にいらない!」というのが技術者の考え方なんですよ。
(中略)
そういう「宇宙飛行士いらない論」というのが、実は、ずーっとあったんですよね。
アポロ計画さえなければ、つまり「「人間を」月に行かせる」という計画さえなければ、たぶん、20世紀の後半、1970年か80年くらいには、宇宙ステーションがもう作れていたはずだ、と。
宇宙ステーションが作れていれば、衛星軌道上での宇宙船の組み立て基地も作れるし、たぶん、火星にしても木星にしても金星にしても、絶対に探査ロボットを使って、もっと早いうちに探査が出来た、と。そんなふうに思われていました。
(中略)
実は、はっきり絶対に宇宙飛行士が必要な理由って「人体実験」だけなんですよね。
結局、「宇宙空間に1週間、人間を置いておいたらどうなるのか?」とか、「月まで行って帰ってくると、人体にどんな影響があるのか?」という人体実験は、機械ではどうしても出来ないから。だから、宇宙飛行士は身体中にセンサーをつけられているんですね。
そして、それがわかってるから、宇宙飛行士はすぐに身体中のセンサーを外したがる。これによって、プライドが傷つくから。
『ライトスタッフ』っていう、トム・ウルフの書いた僕の好きなノンフィクションでも、第1章のタイトルが「実験ネズミ」なんですよ。「延々と医者たちから屈辱的な人体実験をされて、それが嫌で宇宙飛行士をやめてしまった男たちが何人もいた」ということを、1章を丸々使って書かれているんですね。
どういうことかというと、こんなにプライドが高くて、自分に自信があって、「自分がいなければ世の中が回らない」と思っているような、テスト・パイロット上がりの宇宙飛行士という、「人類で一番プライドの高いヤツら」が、「実は、自分らは役立たずで、本当はいらない部品で、人体実験の道具でしかないんだ」ということを知らされるから、なんですね。
「そんなすごいストレスの中、それでも万が一の可能性を信じて頑張ってたヤツらだけが、マーキュリー7と呼ばれる最初の7人に選ばれた」っていうのが、第1章の内容なんですよ。
まあ、これについては「すげえな」と思うんですけど。
でも、「やっぱり、宇宙飛行士っていらないよな」って、正直、思ってたんですよ。
ところが、去年、1本の映画がアメリカで公開されたんですよ。"Mission Control"っていう映画です。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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