岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/04
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/09/17配信「【コヴェナント公開記念】本気でまるごと『エイリアン』大特集!!」の内容をご紹介します。
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2017/09/17の内容一覧
- 前説:岡田斗司夫はどんなに『エイリアン』が好きか
- エイリアンのどこが最高か
- LSDとドラッグカルチャー
- エイリアンを作ることになる男、ダン・オバノン
- ダン・オバノンとホドロフスキーの出会い
- カネがかかりすぎて企画がつぶれた、ホドロフスキー版『デューン』
- エイリアンの元ネタ『グレムリンズ』
- 監督を引き受けたのは、無名の新人リドリー・スコット
- 捨てられないTシャツ「ノストロモ号」
- 追放されそうになるダン・オバノン
- 変態H・R・ギーガーの生み出したモンスター
- リドリー・スコットの完璧主義を描いた『イギリス人はおかしい』
- もう1人の完璧主義者、ギーガーの変態伝説
- エイリアンの姿は役者にも秘密
- 『エイリアン』の公開、そして大成功
- 世界一有名なイースターエッグ
- 『エイリアン コヴェナント』の感想
リドリー・スコットの完璧主義を描いた『イギリス人はおかしい』
このリドリー・スコット監督の、変態ともいえるくらいの完璧主義を語った人がいます。
リドリー・スコット監督の家でハウス・キーパーをすることになった高尾慶子さんという人が書いた『イギリス人はおかしい』というエッセイがあるんですけど。
これ、もうね、おかしいよ、本当に(笑)。
高尾慶子さんは、祇園でホステスをやっていた人なんですが、イギリス人と結婚してイギリスに住むことになりました。しかし、旦那と離婚して、やってた仕事も会社が潰れちゃって失業するんですね。
2年間、飼っているペットの医者代も出せなくて死んじゃうような、すごい貧乏生活をした後に、やっと偶然、リドリー・スコットのお屋敷の「ハウス・キーパー」っていう仕事を見つけます。
当時のリドリー・スコット監督っていうのは、『ブラック・レイン』をやった後くらいだったから、日本でもそこそこ知名度がありました。
ただ、ハウス・キーパーの派遣組合みたいなところから「「すごく神経質な人」だから気をつけろ」と言われます。
リドリー・スコットの屋敷に面接に行ったら、そこの家の使用人から「うちの主人は「すごく、すごく神経質な人」です」って言われます。
そして、実際に働き始めた感想として、高尾慶子さんは「リドリー・スコットさんは、「すごく、すごく、すごく神経質な人」です」というふうに書いています(笑)。
その家の主人に直接付いて回る人間のことを「執事」とか「家令」とか、いろんな名前で言うんですけども、ハウス・キーパーという役職は、それ以外では最高位に着く人なんですね。
つまり、家の使用人の一番トップに立つマネージャー、管理人みたいな人のことをハウス・キーパーと言います。
『アルプスの少女ハイジ』のロッテンマイヤーさんも、家庭教師と思っている人が多いんですけども、ハウス・キーパーですね。だから、あの家の執事のジョセフ以外ではロッテンマイヤーさんが一番偉いんですよ。
このスコット監督は、どれくらい神経質かというと、家の中にペンキが塗ってあるんですけども。家の屋敷、木戸、庭にあるベンチ、あとは門とか、とりあえず一か所でも乾いたペンキが剥がれたりしていると、リドリー・スコット監督は「塗り直せ」って言うんですね。
この場合の「塗り直せ」とはどういう意味かというと。リドリー・スコットの家にいる、王室御用達のイギリス一のペンキ職人というのがいるんですよ。「この人を呼んで、家中のペンキを全部塗り直せ」ということなんですよ。とりあえず、どこか1か所でも剥げてたら、家中のペンキは塗り直しなんですね。なので、1年12カ月の内、ペンキ職人が9か月通っているんですよ。
それと同じような理由で、電気職人とか大工とか水道職人が、1年の内6か月から8か月くらい、リドリー・スコットの家に通ってるんですね(笑)。
スコットは、それだけでは我慢できず、「とりあえず、俺の家の中は完璧に綺麗なんだけど、家の周りにある、この通りの街灯の色が気に食わん!」と言って、そのペンキ職人に、家の周りの通りの街灯の色も全部塗り直させるくらい、完璧主義なんです。
それも、1か所でも剥げたら、「家、込で」全部塗り直しなんですよ。そこまでやってるような人なんです。
リドリー・スコットは、朝起きたらまず「庭掃除」をするんですよね。本人自身も掃除が好きなんですよ。
屋敷には庭が2つ、公園みたいにすっごい広い庭と、わりと狭い庭があって、リドリー・スコットは朝6時に起きたら、嬉しそうにこの狭い庭を、箒を持って隅々まで掃除して、いろんなところをピカピカに磨くんですよ。
そうやって、変態みたいに掃除して、それと同じレベルを家中に求めるんですよね。
屋敷でのハウス・キーパーの仕事は何かっていうと、「1年中、屋敷に出入りしている職人たちに、絶対にドアノブや蛇口を触らせないこと」なんですよ。
その理由は、リドリー・スコットの屋敷では、蛇口とかドアノブとか、すべての金具が純金か「コッパー」と呼ばれる本物の赤銅で出来てるんですよ。そういった純金とかコッパーというのは、人間の手に付着しているわずかな油分で曇るんですね。
その曇りというのは一度付いてしまうと自然には二度と取れないから、誰かが触ったら、その後、キツい臭いのする、肌に悪い専用の洗浄液で1時間磨かなければいけないんですよ。
なので、リドリー・スコットの家では、誰かが動こうとするたびに、手袋をしているハウス・キーパーの高尾さんが、先回りしてドアを開けるんですよ。絶対に誰にもドアを触らせない。
出入りの職人とかが自分でトイレに行こうとしたら、高尾さんがドアを開けて、トイレに入れて、トイレのドアの前で待ってる。トイレから出る時は、「出ます」って言って高尾さんがドアを開ける。「あなたたちは絶対にドアに触ったらダメ! 蛇口をひねったらダメ! 手を洗う時は私が蛇口をひねる!」って。
なぜかというと、「職人がうっかり自分で触っちゃうと、その後、蛇口1つにつき1時間、延々と磨かなきゃいけなくなるから」なんですよ(笑)。
リドリー・スコットというのは、もう本当に変態みたいな人で。
庭掃除の後にシャワーを浴びるんですよ。家にいる時は、毎日シャワーを5分浴びるんですけど。このシャワーの口金も純金なんですよ。シャワーに入ると、この口金の純金というのにも水垢がつくから、一度シャワーを使うたびに、4時間磨かないとダメなんですって(笑)。
だから、リドリー・スコットの家は、5分シャワーを浴びると4時間磨くというんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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