岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/26
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2016/06/26配信「英国EU離脱を騒ぐ前にこの本を読んで落ち着け!~『アメリカを変えた夏 1927年』」の内容をご紹介します。
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2016/06/26の内容一覧
- 本日のお題
- 「何歳のときに何が世界にあったのか?」で見る自分と世界のつながり
- 19世紀のツケを払った20世紀、20世紀のツケを払う21世紀
- 世界大戦が作った航空産業、「平均余命6日」のパイロットたち
- 飛行機乗りの失業と『紅の豚』、世界恐慌を知らなかったイタリア人
- デパート屋上への着陸競争と大西洋横断競争
- シコルスキーに続く挑戦者たちの失敗とリンドバーグの登場
- タブロイドがもたらしたアメリカの新聞ブーム
- 禁酒法のために毎年1万3000人が毒殺された
- ドイツ人差別から作られた禁酒法、禁酒法がもたらした社会の闇
- パリの地図も燃料計もない、徹底した軽量化で挑むリンドバーグ
- アメリカを襲った大災害と黒人の移動、パリのリンドバーグ
- 高層ビルとスプロール現象、景色を変えるほどのパレードの紙吹雪
- 禁酒法とアル・カポネ、ストライキと賄賂
- 質疑応答『アドベンチャー・タイム』「28歳童貞」「EU離脱」
- 次回告知
パリの地図も燃料計もない、徹底した軽量化で挑むリンドバーグ
1927年にリンドバーグは大西洋に離着陸飛行にようやっと挑むんですが、25歳のチャールズ・リンドバーグはヨーロッパの有名な探険家とか飛行機乗りが次々に失敗しても、じつは気にしなかったんですね。何でかというと、リンドバーグ、彼に言わせると、あいつら、難しいことをしすぎていると。
たとえば新型の飛行機を作ったり。みんな、大西洋を渡るのに、三発エンジンの飛行機を作ったんですね。三発エンジンというのは、前と両翼それぞれにエンジンがついているやつです。
三発エンジン使うのはあたりまえでしょう。当時はさっきも言ったように、エンジンなんて、2時間とか3時間連続で動いたら万々歳な時代だったんですね。
なので、エンジンふたつとか、三つとかないと恐くて大西洋飛べないですよ。それまでは、第一次世界大戦というのはヨーロッパの陸地の上でやってて、飛行機の事故があっても、不時着してればすんだんですね。ほとんどの飛行機が不時着して難を逃れたことがあるというくらいエンジンの不調というのは当たり前だった
だから、エンジンというのは2発3発。ということは、そのぶん余分に燃料も積まなきゃいけないし、そのぶん燃料のバルブとか、あと管も複雑になっていくんですね。
でも、リンドバークはすごく単純に考えたんですね。
まず、借金をして極単純な単発機を買った。エンジンがひとつしかないちっちゃいセスナみたいな飛行機で、それを徹底的に改造しました。
まず、ありえないくらい大量の燃料タンクを載せた。それによって、リンドバーグのスピリットオブセントルイスという、有名な飛行機あるんですけど、前が全然見えないんですね。リンドバーグは飛行機があったら、飛行機の一番前にはエンジンがついているんですけど、普通、エンジンのすぐ後ろにパイロットいて、その後ろに燃料タンクがあるんですね。
これが、いろんな事故の元になる。飛行機が不時着したときに燃料タンク、凄く重いのが、前にドーンとずれていって、エンジンとパイロットを挟み撃ちにしちゃうんですね。エンジンでパイロットをバンと挟んで、これでパイロットが死ぬという事故が続出したんですね。
リンドバーグはこんなくだらないことをしなくても、エンジンの後ろに燃料タンク、ごんっと置いちゃって、おれ、メチャクチャ後ろに座るよっていったんです。
というので、スピリット・オブ・セントルイスという飛行機、あとで資料、いやネットで見てください。
えー、おもいきり、パイロットが後ろに座っています。
お陰で、パイロットは前が見えません、リンドバーグは飛行機会社に改造を出したときに「いや、リンドバーグさん、これムチャですよ。前見えませんよ」と言ったら、リンドバーグは、何で前見んの? おれ、ひとりで飛行機操縦して、海の上飛ぶから、前見なくてもいいよ。前見てもどうせ空と海しかないし、どっちがパリかわかんないじゃん。どっちがパリかというのは、コンパス見て、手元でコンパス見て、それで見るしかないから、前見る必要ないよ」って言ったんですよ
じゃあ、着陸のときにどうすんですか?
まあ、着陸のときに、コレ(アヒルの玩具)を仮に飛行機だとしますね。すいません、こんな物しかなくて。
で、まあ、これ、リンドバーグ乗っている部分だとしたら、リンドバーグの飛行機というのはちょうど、こう(後部)だったんですね。リンドバーグ乗ってるのは一番後ろで、この前に飛行機の前がだーっとあって、ココに翼があるから、全然コックピットから前が見えない。
どうすんですか? って聞いたら、んー、おれ、飛びながら飛行機を横にこうずらすわと。横にずらして窓からチラ見して、また直ぐに戻して着陸すると言ったんですよ。
で、そんなことできるもんかなと思われたんすけど、リンドバーグそれでちゃんと離陸して、最後にパリに着陸するとき飛行機を横にズラして、めっちゃムチャなドリフト着陸ってのをやったんですけどね
で、燃料計もなかったようなんです。リンドバーグのスピリット・オブ・セントルイスには燃料計も。
なんで? って聞いたら。リンドバーグから燃料計なんてあったりしたら燃料の中にメーター入れたり機械入れたり余分な装備付いちゃうだろう、燃料なんて足りるか足りないかどっちかだから、つけても無駄だと。今半分だとわかってても、海の真ん中で足りないとか足りてると言ってもしょうがないじゃんか。そうじゃなくて、おれ、紙と鉛筆くれたら1時間につきどれくらい燃料減るか知ってるから、自分で計算して頑張るよって言ったんですよ。
あと、ブレーキ。ブレーキも要らないと。飛行機なんて着陸したらもうあと手で押すから要らないよと。
あとでこれ、リンドバーグ、えらい目に遭います。
パリとか、ロサンゼルスとか、ニューヨークとか色んなところに着陸したんですけど、リンドバーグ、自分が英雄になって人が山ほどいることをわかってなかったんですね。
なので着陸した後、群衆に、スピリット・オブ・セントルイスが突っ込むっていう事件が何回も起こって。このブレーキを付けなかったことだけはリンドバーグ大反省でした。
で、エンジンカバーとプロペラ以外は全部木と布でできてます。
スピリット・オブ・セントルイスって資料で見たら金属ふうに見えるんですけども、ほとんど木と布だけでできてます。
で、もうとにかく何から何まで軽くしたと。ほとんどのもの、リンドバーグ要らない、要らない、要らない。
最後にはサンドイッチ、4回分持っていくのを1回分しか持って行かなかったんですね。
44時間(33時間?)飛ぶのにサンドイッチひと切れしか持って行かなかったんですね。
そのサンドイッチ1切れも、結局44時間ひとりで操縦するから一口も食べれずに、パリまで飛んだそうです。
で、徹底的に軽くするために──地図ありますよね、海の上で見るための地図──この地図の余白部分を切ったそうです。それぐらい飛行機、軽くした。
最後にパリの地図も、「うーん、パリに着いたらなんとなくわかるからいい」と言って、これはあとで後悔したそうです。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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