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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「イギリスのEU離脱をガンダムで説明するよ!」

2017/09/09 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/09

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/07/03配信「日本と核兵器と英国EU離脱問題にスターウォーズとガンダムを添えて、ついでに領土問題」の内容をご紹介します。
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2016/07/03の内容一覧

「イギリスのEU離脱」を「ジオンの独立戦争」で解説

 ニコ生を見ている方から質問が二つ来ている。

「イギリスがEUを離脱することについて、よくわからないので『ガンダム』に例えて教えてください」

 ちょっとムチャクチャ難しいお題が来ました。
 イギリスがEU離脱、これに関しては、僕は何も意見がないんですよ。相変わらず。
 ただ「イギリス離脱に関して『ガンダム』に例えて言われろ」というと、猛烈に中二心が燃えて、面白そうじゃないかと思いました。
 もうひとつの質問。

「イギリスのEU離脱の若者と高齢者の投票、大阪都構想の若者と高齢者の投票。何か似ている気がします。ある程度の年齢がいったら、現状を守りたがる。若者は今のままがイヤ。国民投票をすると否定になりやすい。国民投票って、あまりうまい方法ではないのかな。使う側の使い方によるのかな?」

 そういう質問が来ております。
 よく言われるのが「イギリスがEUから離脱したら、次はフランスじゃないのか? スペインじゃないのか?」とか「離脱すると中国が近づいてきて、中国マネーによってEUの一体性が崩れてしまう」とか、そういう現実の話はつまらないから『正義のミカタ』とかに任せてですね。
 僕のほうは大好きなアニメの話をしたいと思います。

 この『空想政治学教室』っていうのは『ガンダム』にしても『スター・ウォーズ』にしてもそうなんだけど、僕らの現実の世界と合わせてみると、余計に『ガンダム』や『スター・ウォーズ』が面白く見えるって発想なんですね。
 つまり、普通に『スター・ウォーズ』を見るよりは「あれ? デススターって、核兵器みたいだね。 じゃあ核の抑止力っていうのがあるんだから、反乱軍のレイア姫のほうだって、デススターを持てばいいのに」って発想を、さっきは説明しました。
 同じようにイギリスのEU独立にしても、ちょっと『ガンダム』に当てはめて考えてみたら、面白いものができるんじゃないかなと思いました。
 そもそも「ジオン公国は、地球連邦に対して独立戦争を挑み……」というところから、『機動戦士ガンダム』は始まるんですけど、この地球からの独立について、ジオン国民は全員賛成だったのか? という疑問が、僕にはあります。つまり、あの時のナレーションには「ジオン公国は」と、ひとくくりにして語られるんですけど、イギリスの選挙でもEU離脱に関して賛成・反対が別れるぐらいだから、地球に対して独立を仕掛けるジオンの国民にしても、賛成派と反対派に別れてたんじゃないかなと思うんですね。

 『機動戦士ガンダム』のジオン独立のモデルになった、ロバート・アンソン・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』という小説があります。
 その『月は無慈悲な夜の女王』では、地球に対して月が独立を挑むんですね。その時の理由は「対等な取引をするため」だったんですよ。
 月は地球に対して、すごい格差があった。
 月が作ってる資源に対して、地球は一方的な搾取・安く買い叩くことしかしてくれない。だって月っていうのは、元々人が住めない所だから、ご飯を作るにしても、廃棄物を処理するにしても、すべては地球が頼りなんですね。
 なので、月の人間っていうのは、地球から下に見られてたし、どんなものを作っても、地球に安く買い叩かれるという経済的な格差みたいなのがあった。で、あるにも関わらず、じつは月に住んでいる人の大部分は、地球との独立戦争なんて、まったく望んでなかったんですね。
 まったく望んでなくて「地球連邦のヤツらは大キライだ」とか、地球から来たヤツらへの嫌がらせしか考えていなかった。地球からの旅行者に対して「意地悪しよう」とか、そんなことしか考えていない。
 それに対して主人公が「そうじゃなくて、独立を挑んでみよう。何故かと言うと、俺たちのほうが圧倒的な優位にあるから」って。「何で優位なんだ?」「地球から食料も輸入しなきゃダメだし、水とか空気とかも全部輸入しなきゃダメだ。俺たちは圧倒的に不利だろ」って言うんですけど、主人公チームは「僕たちは重力井戸の上に居る」と。
 重力井戸っていうのはSF業界でよく使われることで、重力の大きい惑星の上っていうのは、重力井戸の底なんですね。
 宇宙空間っていうのは、重力井戸の上に位置するから、上から下へ降りるのは簡単だけど、下から上へ上がるのは、井戸の下から物を上げるのがごとく、すごく大変だと。
 この重力の井戸の上と下を利用すれば、勝てると。
 『月は無慈悲な夜の女王』では、リニアカタパルトが月の上にいっぱいあるんですね。これが地球上に対して物資を送る装置になってる。
 年がら年中、でっかいドラム缶みたいな物の中に物資を入れて、地球に対して納品してるわけです。
 これを、ただ単に石ころにして、海の上に落とすんじゃなくて、ヤツらの大陸の都市の上に落としてやろうと。巨大な岩が地球上に落ちれば、その重力エネルギーだけで核爆発並みの爆発力がある。
 おまけにこれは核じゃないから、きたない廃棄物も出てこない。放射性物質も出てこないので、安全な兵器だと。
 自分たちはじつは「重力井戸の上」という軍事上、というか地政学上の圧倒的優位にいることに気が付いた。
 だから地球に対して戦争を挑もうということになった。主人公たちが「どうにか月の人たちが一体になって、地球人に戦争を仕掛けよう! 勝てるぞ!」というキャンペーンをする話が半分ぐらいあるんですね。
 かなり長い小説なんですけど、どうやって独立をやりたがらない月の人間を説得して、次にどうやって「月と戦争なんか、するもんか」という地球人に対してケンカを売って、最後はどうやってお互いが面子を潰さずに戦争を終結させるのかというのを、1冊の本をまるまるかけて書いたハインラインの名作小説が『月は無慈悲な夜の女王』なんですよね。

「ジオン独立」3つの理由、経済・格差・農作物

 では、『機動戦士ガンダム』のコロニーですね。
 なんでジオンの人たちは地球に対して独立戦争を挑みたいのか? です。
 何かを貢いでいて、格差があったからなんですよね。たぶん、1つは経済難民の吸収だと思います。
 つまり今イギリスがEUから離脱するのは何故かというと、EU圏内での移民問題ですね。EU圏内で貧しい国の人たちが、社会保障が充実しているイギリスにドンドン住所を変えてた。だって、EU内では移動が自由だから。
 移動することによって、イギリスの中の経済負担がドンドン増えてる。そのことに関して、イギリス国内で不満が続出したと。
 同じように、ジオンが地球に対して「独立したい」と思うということは、経済難民の吸収を言われている。
 地球というのは、住みよい地球を作るため。元々コロニーが出来た理由が「人類は人口の何割かを住ませて」という使役動詞ですね。つまり「人類が地球に住んでいる人たちを強制的に移動させる」というニュアンスで、『ガンダム』の中では語られている。
 というわけで、貧乏人をどんどん宇宙空間に追いやった。
 なので、すべてのコロニーは「やっと空気システムが出来て、やっと水循環システムが出来た」「やっと経済が確立してきた」と、言うたびに、地球からどんどん新しい貧乏人を輸出されてしまって、それを受け入れるしかない。
 そのことによって、各コロニーとも経済的にギリギリの状態にあったんじゃないかな。
 というのが、1つ目。

 2つ目は「格差の担当」っていうんですかね。
 つまり格差の担当というのは、経済的な格差だけじゃなくて、地球人が気持ちよく暮らす為には、宇宙にいる貧乏人とか、宇宙に暮らしているかわいそうな人たちっていうのが、必要だったんじゃないかと。

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