岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/06/20
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2016/10/09配信「決着!ネットは読書の代わりにならない問題~秋の夜長はやっぱり紙でしょ!」の内容をご紹介します。
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2016/10/09の内容一覧
- パソコンの買い替え時期とテレビと紙の本
- 読書特集「読書は必要か」
- 「ネットは読書の代わりにならない」仮説と「脳みそのジム」
- 本の読み方の理想は「立ち読み」
- 立ち読みのコツ「ボツ・クリア・採用」
- 読む時間を作るコツとキャッチアンドリリース
- すごいテレビドラマを見てるような『家康、江戸を建てる』
- 三代に渡る利根川治水プロジェクト
- 家康の企んだ貨幣経済
- 「井の頭」から「マス」を使って江戸に水を引く
- 天才的な石読みが見つけた一枚岩が使われるまで
- なぜ白い天守閣が必要なのか
- 明治維新と「社会資源大国」日本
- 社会資源を損なう「自民党の作りたい空気」
- 本を読まなくなったアメリカ人と識字率上昇をもたらした第二次大戦
- スリック雑誌とパルプ雑誌、郵便法改正による雑誌の衰退
- 作家マイケル・クライトンが書いた『アンドロメダ病原体』
- 映画監督マイケル・クライトンが撮った『ウエスト・ワールド』
- 『ER』とスピルバーグ、モノレールと『ブレードランナー』のつながり
- 質疑応答「500円と5000円」「採点」「イラストやに勝つ方法」「貯金」
- 次回告知
明治維新と「社会資源大国」日本
『家康、江戸を建てる』で思ったんだけどさ、江戸時代の遺産の上に僕ら、暮らしてるんだよなというのが、最近思うことです。
たとえば、識字率の高さだよね、識字率というのはさ、字が読めるかどうかなんだけども、幕末で武士階級はほぼ100%読み書きができたと言われている、庶民層で見た場合、男子で50%以上、女子でも20%以上の人が字が読めた。
江戸に限定すれば、それがさらにあがって7、8割くらいの庶民が字を読めたし、江戸の中心部に限定すれば、つまり小田舎とかではなくて、江戸の中心部になれば9割以上の人が字を読めたといわれてるんだ。
これに対して他の国はどうだったかというと、19世紀中頃のイギリス、だいぶ後だよね、明治時代のイギリスの、いわゆる一番景気の良かったビクトリア王朝でさえロンドンの下層階級の識字率は10%程度。フランスでは1794年に小学校の授業料が無料になった、そこまでやってたのに10歳から16歳の子供達の就学率、学校に行った率は1.4%にしか過ぎなかった。
なんでこんなに、江戸時代の日本人の識字率が高かったのかって言うと、これも家康が、江戸を作った時に「こういう町にしよう」というグランドデザインがすごく上手かったので豊かになったからだといわれていると。
もちろん子供たちがどうやって江戸時代、字を教わっていたのかって言うと、寺子屋制度というのがあったんだけど、寺子屋制度って面白いことにイギリスとかフランスがどうやっても公共教育というのをやろうとして、国家が国民を豊かにしようとして、教育機関というのを一杯作ろうとしたのに対して、日本では庶民が勝手に、字を知っているものが知らない子供に教え合うという、なんでしょうね、私塾みたいなものをいっぱい開いたんだよね。
これは世界的にも希有なものだといわれてるんだ。どうやっても文字なんか読めてもしょうがないというふうに考える庶民層に対して、これからの時代、国民が字を読めたほうが国が豊かになるという国家との対立って言うのが必ずあるんだけどもさ。日本はそこの時代がほとんどなかったと。
これは簡単な話で、当時流通していた絵草紙とかそういう判事ものとか貸本とかを楽しもうとしたら字が読めるしかないんだ。ひとつ切迫した理由はあらゆるお布令とか文字で出たし、年貢とか納める時とか証文書く時とかすべて、取引するとき、文字が書けたり読めたりするのが当たり前だったから、人から騙されないためには庶民レベルで字が読めることが必要だったんだけどさ。
それ以上に大きかったのが貸本文化とかさ、庶民の楽しみっていうのが芝居とかにも行くんだけど、それと同様にその芝居が終わったら、即その芝居のことを書いている号外新聞みたいなものを買って読むとかさ、そういう楽しみ方が重層的にあったので字が読めたほうが絶対に楽しかったんだよね。
現代の僕らがマンガが読めるみたいに、もしくはスマホが見れるみたいな、おじいちゃんおばあちゃんとかが見れなくても僕たちスマホって扱えるじゃん、あれと同じようにそれが扱えたほうが世の中が安く楽しめるという理由でみんな文字が読めるようになったと。
そこらへんが他の国との違いみたいなんだ。あくまで楽しくてっていうのが理由なんだよね。こういう庶民の文化層というか教養がすごい分厚かったから、僕が考えるには明治時代の富国強兵策の成功というのはこれが原因だと思ってるんだよ。
べつに明治維新というのは成功して当たり前で、官僚とかが偉かったわけでもなんでもない。よく明治の官僚偉かったとか幕末の人たちがすごかったというふうにいうんだけども、凄かったのは庶民の教養レベルで、あの教養レベルの人たちが一旦開国して儲けるという路線に変換したら、そりゃね、10年や20年で国がころっと変わるってどんなにね、賢い人立派な人が上にいても、庶民レベルが低かったらね、絶対にそんなこと起きないんだよ。
フランス革命のあと、アンシャン・レジームでもう一回王政復古になった例を見てもわかる通り、庶民の考え方がトップの指揮層について行かなかったら、そこらへんは分断が起きちゃうんだよね。
官僚というのはあの時代、頑張ったんだろうけども、それが偉かったから日本の富国強兵策が成功したんじゃないと僕は思ってるんだ。こういう庶民は字が読めるとか生活感を持っているとか真面目に働くという、こういうあんまり形にならないものを社会資産というよね。
つまり天然資源みたいな資源とべつに社会資源みたいなものをあって、そのなかに国民の教養とかどれくらい学校に行くのかとかまじめにどれくらい働いたりするのかっていうのが僕はあると思っている。あんまりね、ここで国の資源というのを語るっていう人が不思議なことにいないんだけどね。
天然資源に乏しかった日本は社会資源大国だったからこそ、明治時代の躍進というのがあったんじゃないかな。それがあったからこそ、太平洋戦争に突入できる訳でさ、太平洋戦争は確かに愚かなんだけどさ、あの当時アジアの国で列強諸国を相手にあんなに戦える国って日本以外になかったわけだよね。
それはなんで可能だったのかって言うと、もともとが社会資源大国だったのがその社会資源を傾けてやったからだというふうに、注ぎ込んでやったからだと僕は思ってるんだ。でもね、その社会資源というのを犠牲にしようとしている流れもあると思ってるんだけどさ。
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