岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/04/21
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/03/26配信「質問スペシャル ~コレクション紹介、今週買ったもの、アニメ版GODZILLA」の内容をご紹介します。
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2017/03/26の内容一覧
- 『グラップラー刃牙』とレコダイ
- 『愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎』
- 今週買った雑誌・グッズ
- 今週買った書籍・DVD―――『“天才”を売る』、『おだまり、ローズ』、『わたしはこうして執事になった 』、『デロリアン自伝』、『10分後にうんこが出ます』、『忍びの国』
- アニメ版ゴジラ『GODZILLA 怪獣惑星』を予想する
- 映画『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』がすごいらしい
- 視聴者からの質問:緑色のドリンクボトルはどこで買ったの?
- 視聴者からの質問:ぽっちゃり女性をどう思う?
- 視聴者からの質問:同情もまた差別?
- 視聴者からの質問:ペンネームは付けた方がいい?
- GPSナビの使用中、人の脳は方向感覚がオフになる
- ナウルの悲劇
- 視聴者からの質問:はじめしゃちょーの三股問題について
- 視聴者からの質問:細田監督、神山監督についてどう思う?
- 視聴者からの質問:ゲームに興味ない?
- 視聴者からの質問:不登校の子供への対応方法
- 視聴者からの質問:『千と千尋の神隠し』幻のラストシーンについて
- 視聴者からの質問:ガイナックスについて内心思っていること
- 押井守監督のインタビュー
視聴者からの質問:細田監督、神山監督についてどう思う?
「岡田さんは細田監督および、神山監督の作品についてどのような見方、または意見をお持ちでしょうか?」
神山さんについては、見てきたんですよ、『ひるね姫』。もう本当にね、悪くはないんだけども、面白くないんですよね。
面白くなる直前のところで、全部、失速しているんですよ。キャラクターにしても、動きにしても、お話にしても、すべてが面白くなる直前で失速しているんですよ。
でも、全然悪くないんですよ。どちらかというと良いんですよ。この「良いのに面白くない」というあたりが、『サイボーグ009』にしても、『攻殻機動隊SAC』にしても、神山作品に対して僕が持っている感覚なんですよね。
今回の『ひるね姫』に関して、Facebookでも書いたんですけども、本来もっと尖った話だったはずなんですよ。
あれはいわゆる鬼ヶ島伝説、桃太郎伝説みたいなもので、鬼がやってきて夢の中で大暴れする。それと並行して、現実の世界では、自動車メーカーにかつて勤めていたお父さんとその娘が新しい自動運転の発明の陰謀に巻き込まれて、トヨタみたいな大メーカーを救ってあげて、その中で陰謀もいろいろあるんだけど、結局は東京オリンピックで自動運転が成功する、みたいな話なんですけど。
いや、裏話とか本当のところはどうかなんて、俺は知らないですよ。そんなこと、どこにも書いてないですけど。ただ、明らかに「海の向こうから巨大な鬼が現れて、それが自動車ばっかり食う」って、これは「海外の自動車メーカー」のメタファー以外にありえないんですね。「このままでは日本は海外の自動車メーカーにすべてのシェアを食われてしまう」っていう話なんですね。
その中で、日本の自動車メーカーはどうやって生き残るのかっていうと、これまで職人たちが「自動車というものは機械が運転するものじゃねえ! 人間がドライブするものだ!」という意地で否定していた「自動運転」みたいなものを取り入れなきゃいけないという話なんですけども。
これを発明した主人公のお母さんは、劇中では既に死んでるんですよね。その死んだ原因は自動車事故だって劇中で語られるんですけども、どんな自動車事故かはまったく語られない。でも、エンディングでその自動運転のステージ4の試験のシーンが流れるんですけど。いわゆる人間が乗らなくても大丈夫な状態の実証試験のために、お母さんが自分が発明した自動運転の車に乗り込んで、仲間たちや若い頃のお父さんも「行って来いよ!」って見守って、走り出したところで、スコンと切れるんですね。この後、本来ならば、事故のシーンがあるはずなんですよ。
でも、そういうのをやっちゃうと、日本で公開する時にも、海外に輸出する時にも、自動車メーカーのスポンサードとかなんとか、いろんな事情があってね。そこで、神山監督が角を丸めた感じが、ものすごい見えちゃうわけですよ。
違うだろ? 母親は自動車に殺されたんだろ? それは自分の発明だから母親は本望かもしれないけど、残された子供としてはそれだけでは納得できないよ。夢の中の鬼が海外メーカーのことだとすると、「オリンピックがすべて終わった後、主人公の自動車メーカーの他、いろんなメーカーも共同で自動化運転に成功しました」という綺麗事が成り立つのは、鬼との和解がなされた社会だから、みたいな、本来、神山監督がこの映画に込めていたであろうメッセージの残りカスが、映画の中にダーッと残っているんですね。
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