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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「歴史を駆け抜ける少女の冒険記『チャーチル閣下の秘書』」

2017/02/13 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/02/13

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2017/01/01の内容一覧

歴史を駆け抜ける少女の冒険記『チャーチル閣下の秘書』

 年末に読んだのが、SFでもなんでもないんだけど、『チャーチル閣下の秘書』という小説。第2次大戦中のチャーチル首相のタイピスト秘書になった女の子の冒険記なんだけど、これがやたら面白いんだよ。主人公の女の子は、まだ女王になる前のエリザベス王女の家庭教師になったり、その後アメリカに行って大統領に出会ったりする。小説自体も面白いんだけども、第2次大戦中の大英帝国の描写が中学や高校で習ったのとずいぶんずれていて面白いんだ。戦争が始まるとすぐイギリスは物資不足になって、すごく日本に似た状況になる。
 どんどん物資が欠乏していって、国民も「欲しがりません勝つまでは」みたいになっていくんだ。ついにドイツ軍の空襲、バトル・オブ・ブリテンで、イギリス本土の制空権をスピットファイアとメッサーシュミットが争うことになるわけだけど、女の子の目線で見た空中戦の描写とか、ものすごく面白いんだよね。
 『スター・ウォーズ』や戦争ものを見ていると、僕らはどうしても上空からの目線になるでしょ。つまり、戦争をやっているパイロットの目線になる。だけど、この小説では、空襲を下から見るということがどんなに恐ろしくてどんなに美しいものなのかというのが伝わってくるんだ。
 もうひとつ、小説の中で驚かされたのが犬の殺処分だね。僕もこの本を読んでにわかに信じられなくて、Wikipediaで調べてしまったんだけど。まずイギリス人はペット、特に犬が好きでしょ。犬の権利のためだったら、人間の1人や2人、死んでもいいっていうくらい。ところが第2次大戦中のイギリスがドイツの空襲におびえた時期には、空襲時もしくはドイツ軍が上陸してきたときに犬が吠えたら作戦遂行、防衛が困難になるということで、ロンドン全域で犬を殺せというお達しが出たんだよね。できる人は、犬を田舎の親戚に送ってください。それが無理な人は、自分の家の犬をちゃんと殺してくださいというんだよね。

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