『NEWSを疑え!』第63号(2011年11月10日号)

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【価格】1,000円/月(購読料のうち半分は、研究所の活動に対する維持会費とお考えいただき、ご理解をいただければ幸いに存じます。) 
【最新発行日】2011/11/10
【発行周期】毎週月曜日、木曜日 

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【今回の目次】 
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye) 
◇◆普天間特集(第3回)──原点を忘れなければ、解決は可能だ
◆米軍の運用に無知だった日本政府
◆着地寸前だった2010年5月の下交渉
◆原点に戻り、危険性を除去せよ
◎セキュリティ・アイ(Security Eye) 
・米国の石油自給率が大幅に改善した!その先には?
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之) 
◎ミリタリー・アイ(Military Eye) 
・原潜を選ぶか、豪州の潜水艦整備計画(西恭之) 
◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・テロリストの携帯型地対空ミサイルから旅客機を守るには(西恭之) 
◎今週の言葉
・横路ミッション
◎編集後記 
・「ヘリポート」が象徴する空理空論

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◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
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◇◆普天間特集(第3回)──原点を忘れなければ、解決は可能だ

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川 和久

Q:今回は普天間特集の第3回です。前回は、自民党政権時代に普天間が政治に翻弄された話でした。埋め立て方式にしたい業者が運動し、有力国会議員までも動かすなか、V字型滑走路が2006年の最終案となり、しかも、少しでも埋め立て土砂を増やそうとズルズル海側に引きずり出されていったと。これに対して、2009年8月末の総選挙で歴史的な大勝を収めた民主党は「県外移設」ということを言い出し、政権交代以前とは違う迷走が始まりました。小川さんは鳩山由紀夫首相から首相補佐官就任を要請され、米国と下交渉を進めており、決着が近かったことは、限られた関係者の間では周知の事実です。何があったのですか。鳩山政権が発足した09年9月から今日までの動きについて聞かせてください。

小川:「普天間問題についての民主党の基本的な立場は、2002年の発表以来2度にわたって改定された『民主党・沖縄ビジョン』に示されています。総選挙の前年の『沖縄ビジョン2008』によれば、『普天間基地の辺野古移設は、環境影響評価が始まったものの、こう着状態にある。米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指す』というものです」

「総選挙直前の09年7月末に出た民主党のマニフェストでは、『緊密で対等な日米関係を築く』という外交の項目に『日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む』と短く書かれているだけで、県外や国外という文言はありません。しかし、普天間飛行場については、自公政権時代に決まった現行案を見直して、県外移転や国外移転を模索することが、事実上、民主党の選挙公約でした」

「民主党代表として首相になった鳩山さんの言葉を借りれば『最低でも県外』という表現でしたね。だから、可能なら『国外』ということになる。総選挙では、沖縄県小選挙区(1~4区)選出の国会議員は国民新党1、社会民主党1、民主党2という結果になりました。この人たちは県外・国外移設を訴えて旧与党系候補を破ったのですから、沖縄は『県外・国外』が当然というムードに包まれていきました」