『NEWSを疑え!』第59号(2011年10月27日号)
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【最新発行日】2011/10/27
【発行周期】毎週月曜日、木曜日
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【今回の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆普天間特集(第1回)──日本の官僚は普天間を取り返せなかった
◆アメリカに蹴られたから「試合終了」という精神構造
◆返還合意を突破口に沖縄の自立を図るのがグランドデザインだ
◆官房長官はエリート官僚OBに丸投げ。迷走は返還合意直後に始まった
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・ウラン濃縮──なぜGE日立は制裁されたのか
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・ケニア軍はソマリアを平定できるか(西恭之)
◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・カナダの砕氷哨戒艦の任務(西恭之)
◎今週の言葉
・米海兵隊のシー・ベイシング
◎編集後記
・血で贖うということ
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◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
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◇◆普天間特集(第1回)──日本の官僚は普天間を取り返せなかった
国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川 和久
Q:野田佳彦内閣は2011年9月16日、沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間飛行場移設問題を協議する関係閣僚会議を初めて開き、その後、県が沖縄振興策で求めていた「使途を限定しない一括交付金」の創設を打ち出しました。日米首脳会談ではオバマ大統領が「進展を期待している」と述べ、9月末には斎藤勁官房副長官、10月には川端達夫沖縄・北方担当相、一川保夫防衛相、玄葉光一郎外相が相次いで沖縄を訪問しています。2年前に政権交代を果たした鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」と述べたことから始まった迷走に、新しい展開がありそうな気配です。そこで、今回からしばらく普天間問題についての小川さんの考えをうかがいたいと思います。
小川:「野田政権は沖縄に対して誠意を示す、民主党を挙げて沖縄県民に詫びる、という姿勢を示すために、相次いで関係閣僚を沖縄に送り込んでいます。ただし、沖縄に対する言い方は、『辺野古案を受け入れてほしい』という以前のままですし、環境影響評価の問題(注)も以前の流れと変わりません。私は、この動きを、沖縄県側が政府案を正式に突っぱねたという形をつくるための一種の『儀式』だと考えています。これだけ大臣を送り込んでも、沖縄は明確にダメ出しした。だから最終的には、普天間問題は新たな仕切り直しが必要だという話になるだろう、と思います」
【注】政府は10月21日、首相官邸で第2回沖縄関係閣僚会議を開き、普天間飛行場の移設先とする名護市辺野古沖への環境影響評価の評価書を年内に県側に提出する方針を確認した。
Q:いま野田政権は、「仕切り直しが必要」という新しいステージに持っていくための手続きを踏んでいる最中だと?
小川:「そう思います。次の新しい提案をするときは、野田佳彦総理自身が沖縄を訪問して沖縄県民に詫びるだろうと思います。いずれにせよ普天間問題は、2009年11月に鳩山さんが具体的な動きを始めたときから丸2年たって、非常に大きなコーナーを回ろうとしています」
「おりしもアメリカは緊縮財政を強いられており、沖縄や普天間問題についての考え方にも変化の兆しが見えます。5月にアメリカの上院議員(レビン、ウェッブ、マケイン氏)が超党派で、米海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古移設を『実行不可能』とし、空軍機のグアムや日本本土への分散によって米空軍嘉手納基地に余裕をもたせ、そこに海兵隊機を移駐させる統合案を骨子とする新たな移設案の検討を国防総省に求めた件もその一つですね。新たな騒音問題が起きると地元の反発は大きく、日米両政府とも議題にするつもりもないとしていますが、その案まで含めたスタディを十分にやったうえで新たな提案をする必要がある、と私は考えています」
「そこで、このタイミングをとらえて普天間問題を一度おさらいしておく必要があると思います。普天間シリーズの第1回は、かつてわが国は、政治家たちが問題を官僚に丸投げした結果、普天間を取り返すことすら諦めてしまっていたのだ、という情けない現実についてお話ししましょう」
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