鹿児島知事が「女子に三角関数教えて何になる」 と失言して以来、なぜ三角関数が必要かという記事をよく見かけるようになりました。つい先日も、こんなエントリが。

 三角関数は何故重要か - 続・ユビキタスの街角 

 語り尽くされているネタですが、あえて取り上げてみようと思います。

 なぜ三角関数が必要か。

 そこにクリックしないといけないクッキーがあるからです。

 そのあの無限クリック地獄ゲー、cookie clicker。その画面はこんなです。
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 クッキーの周りには、10秒に1回自動でクッキーをクリックしてくれるカーソルが所狭しとクッキーを囲んでいます。

 もしあなたがこんなゲームを作ろうと思ったら、このカーソル配置に三角関数が必要になります(あと、その上にうごめくWrinklerも)。10秒ごとにピコピコ動かすのにも三角関数が必要になります。

 「俺/わたし、ゲームなんて作んないし」

と言うかもしれません。確かにプレゼンのスライド作るくらいだったら、三角関数使わなくてもこんな図が描けます。7つのキーワードを円形に並べたいみたいな時です。
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 これはパワポで描いたのですが、まず七角形を描いて、その頂点を中心とする円を配置しました。

 しかし、言うのは簡単ですが、円の中心と七角形の頂点をアラインメントするには、けっこう小技を重ねないといけません。

 では、 photoshop ではどうか、gimp ではどうか、ツールが変われば、ちょっとずつやり方も変わるでしょう。頻繁に描くならやりがいもありますが、一回描きたいだけなのに、いろんな工夫を調べたり、自分で開発するのは、時間をいくら取られるか分からず、踏み込むのに躊躇しそうです。

 さらに、B3の紙でポスター作りたいとか、ウェブページとかアプリでそんな風にボタンを配置したいとか、そんなことになったらどうでしょう。

 どのような場合でも、初歩的な三角関数が扱えれば、すぐに円の中心の座標を計算することかできます。三角関数を使わずに実現する方法をあれこれ調べたり工夫する時間はまったくいりません。

 ポスターに上記の図を描くことを考えましょう。半径20cmの円周に7つの円の中心を配置することにします。

 ポスター上に全体の中心を決めます。

 一つ目の円の中心は、全体の中心から上に20cmのところ。これは簡単です。

 二つ目はどうでしょう。iphone なら、計算機を立ち上げ、横にすると関数電卓が出てきます。まず 360/7 = 51.4285.... が出てきます。これを "m+" でメモリにいれておいて、sin を押します。

 sin(51.4....)= 0.7818...

x 20 します。

 20 sin(51.4...) = 約15.6 

次に cos を計算します。"mr"を押して 51.4... を呼び出し、cos を押して x 20 です。

 20 cos(51.4...) = 約12.5

 ということで全体の中心から上に12.5cm、右に15.6cmのところが時計回りに二つ目の円の中心になります。

 51.4.. を2倍、3倍すれば三つ目四つ目も計算できます。関数電卓の代わりにエクセル使えば、もっと効率よく計算できるでしょう。

 きちんと初歩を身につけておけば、こういうとき、ちょいちょいと活用できるのです。

 でも、もし「うーん、三角関数使えばできるんだろうけど、もうよく覚えてないなあ」という場合はどうなるでしょう。

 このデザインがどうしても必要であれば、頑張ってもう一度勉強して「三角関数ってそういうことだったのか!」とかつて学んだ時には得られなかった感動があるかもしれません。

 でも、いまいちそこまでこだわらないのであれば、諦めて、デザインそのものを変えてしまうかもしれません。

 頭の中では、「こういうの!」というイメージがせっかくあったのに、三角関数を忘れ去ってしまったために、諦めてしまうことになるのです。