突然できたなあとびっくりすると共に、人類が新たな一歩を踏み出したと勝手に認定して感慨にふけっています。
人類はついに光合成を手に入れた!人工の葉が酸素を作り出す奇跡 | FUTURUS(フトゥールス)
天然絹から取り出したタンパク質に植物から取り出した葉緑体を封じ込めて、その葉緑体に光合成を行わせることで人工の葉っぱを作ることができたという話です。
水を循環させる仕組みも作ってあり、光合成に必要な水を供給しながら光に当てると、その水と大気中の二酸化炭素から酸素を作り出すそうです。その時に糖類ができるようで、それは循環させている水で回収するようです。回収しないとすぐにそれら生成物で葉緑体が動かなくなりそうです。(参考サイト(英語))
この人工の葉っぱのニュースを人類の新たな一歩と大げさに言うのは、単に個人的な思い入れからです。
はっきりしたことは覚えていませんが高校から大学の頃でしょうか。私は理系でしたが、ポジティブな向上心から、「科学はものすごい発展しているように見えるけど、実は葉っぱ一枚作れていない、科学なんてまだまだだ」と思っていました。今までの科学を悪く言いたいわけではなくて、自分が科学の世界に進んでも、やれることはまだまだたくさんあるという意味です。
別に私自身が葉っぱを作りたかったわけではありません。作り方も、生命工学を駆使して植物の葉っぱを培養してもよし、半導体技術を使って人工光合成をしてもよし、でも葉っぱと呼べるものはまだないと当時思っていたのです。
それから約30年。人工光合成の世界には進んでいませんが、人工光合成の話題を見かけたら気にして読んでました。ずっとまだまだだなあと思っていました。
が、突然「アガリ」級の成果が発表されたのです。葉緑体を利用してますから、もちろん光合成が行われ、しかも見た目も葉っぱそっくり。まさに人類が「葉っぱ一枚」を作った瞬間です。
タイムマシンに乗ったような感覚です。たとえば子供の頃から、宇宙戦艦ヤマトのような空飛ぶ戦艦とか、仮面ライダーのような変身とか、鉄腕アトムやドラえもんのようなロボットとか、大人になる頃にはできると思っていたものは一向にできていません。所詮人生なんてそんなもんかと思いがちですが、「葉っぱ一枚」に関しては、昔思い描いていたものが現実になったわけです。
ということで大変ひとりよがりな「人類の新たな一歩」なのですが、ひとりよがりなりに、「葉っぱ一枚」というのは科学にとって象徴的なステップだと考えています。
なぜか。高度成長期の頃は、科学の象徴的な成果は機械でした。巨大な機械が作り出す、ビル、橋などの様々なインフラ、自動車、列車、飛行機などの乗り物、生活品や加工食品を安価に生み出す生産機械、まさに工業の時代です。そして現在の科学の象徴的な成果は情報。バソコン、携帯、スマートフォンなどのデバイスのおかげで情報サービスが爆発的に発展しています。
そして、「人工の葉っぱ」こそ、次の科学の爆発的な発展を象徴するできごとなのです。次は人や自然と調和する科学です。
機械って危ないじゃないですか。車に轢かれて死ぬとか、農機具に巻き込まれて死ぬとか。今どんどんロボットが実用化されていますが、ロボットと人が近づくにつれ、ロボットと人がぶつかる問題が出てくることでしょう。ですから、今後はやらかく軽いロボットも発展します。ちょっとくらい人とぶつかっても平気なように。それは難しいです。ロボットの骨組みがしなると、自分の姿勢を把握するのがより大変になりますし。
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