先日、今春が96.7%とリーマンショック後最高になったと報じられました。
就職率:今春大卒 リーマン後最高 - 毎日新聞
文部科学省の平成26年度大学等卒業者の就職状況調査によれば、バブル崩壊後2001年に91.9%まで下がった後、いったん2008年に96.9%まで回復しました。
しかし、リーマンショックで2011年に91.0%とバブル崩壊後最悪にまで落ちましたが、この春 96.7%と2008年の水準まで回復したのです。
とりあえずはほっと一息というところでしょうか。
もっと昔はどうだったのでしょう。実はこの統計はバブル崩壊後の 1999年からしかないため、バブル崩壊前はどうだったのか知ることはできません。
そこで、1948年からある学校基本調査を調べてみました。年次データで一つの表にはなってはいないので地道に各年調べています。昔の方は、飛び飛びに 1958年、1970年、1980年を拾い、1989年からは2014年まで全て拾いました。
まずは生グラフ。
下から大きなものとしては、大学院などに進学した人進学者、就職した人正規の職員等、就職しなかった人左記以外の者となっています。
進学者は2010年までは増加してその後減少に転じてるんですね。知りませんでした。
同様のグラフで百分率に直したもの。
90%から70%の間をうねうねしている線が、いわゆる就職率に連動した線です。進学や就職する人の割合がハブル崩壊頃に最高になり、その後低下して回復するものの、リーマンショックでまた落ち込み、回復してきた様子がわかります。
さて、冒頭の就職率というのは、「就職を希望している人のうち、どれだけの人数が就職したか」といういまいち微妙な定義なのですが、このグラフから「左記以外の者」、つまり「不詳・死亡」を除いて大学卒業後行き場のなかった人の割合を取り出すと次のようになります。
バブル崩壊の頃もっとも低く5%ほどになった後、20%以上まで跳ね上がって、10%近くまで回復するも、リーマンショックで15%を超え、今また10%を目指して下がっているという変化です。
実は元記事の就職率96.7%という数字を見て、もう現実的な上限に来ているのかなというのを確かめたくて調べ始めたのですが、実際はまだ10人に一人以上の人が大学を出た後進路がなかったということのようです。96.7%というと残り 3.3% である一方、この「左記以外の者」は10%以上いるわけです。その一部は「就職を希望していない」人なのかもしれませんが、少し無理があるような気がします。この辺のギャップがどうして起こるのか気になるところです。
バブル崩壊頃の5%という低さは当時の異常な状況を思い出すに低すぎるとも考えられます。実際、すでに「売り手市場」と言われて始めている現在も、「それでもバブルの頃のように安易に採用基準を下げたりしない」という企業の声はよく取り上げられています。そう考えると今後10%前後が理想的な状況と考えられるようになるのかもしれません。
さらに、もう一つ調べようと思うきっかけになったのは、就職する人のうちの正社員がどれくらいかということでした。
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